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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
四話:アーケードモード
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やはりラスボスであるサイクロプスは、一味違う。

というより『リアルファイター』シリーズのラスボスは、全てインチキのような強さだ。

杏那は、サイクロプス相手に五回コンテニューしたが全く歯が立たない。ポイントすら奪えない。


「苦労しているな、杏那」

「コイツ、むちゃくちゃ強いんだけど」

俺の母親が出したケーキを食べながらコンテニュー画面を、口惜しそうに見ていた。


「負けの理由は、わかるよな」

「近づけないし、ガードは遠ざけられる。サイクロプスがでかくて強すぎ」

ふてくされても、美味しそうな顔でケーキを食べていた。


「わかってはいるようだな」

「それに、ロックブラストも苦手」

サイクロプスが離れると、絶対に使ってくる技。

飛び道具で、ガード不能技で、ダメージも高い。

しかもサイクロプス自体はキャラの中で一番でかいのだけど、動きは決して遅くない。

攻撃のモーションが、スピード型のキャラとそんなに変わらない。

だけどデカさがあるので、スピードがあるけどダメージ判定のある攻撃をしてきた。

まさにチートだ。戦えば戦うほど、このサイクロプスがチートキャラだとよく分かって絶望させられた。


「これ、本当に勝てるの?」疑問の杏那。

「勝つんだよ」

「だけど、どうやって?」不安そうな顔の杏那。

「考えろ!俺は今回、ヒント出さないからな」

俺はそっぽを向いて、杏那を見守ることにした。

ケーキを平らげた杏那は、ふてくされながらも難しい顔で考えているようだ。


もちろん、そう簡単に攻略法は分からないようにしていた。

実は今までやった中に、そのヒントがあった。

それに気づくことができることこそ、今の杏那には必要だった。


「いったいなんなのよ、どうやって?」

杏那は愚痴ったあとに、カバンを取りだした。

通学カバンから出てきたのが、俺が貸した攻略本だった。

それを見て、俺は杏那の成長を感じていた。



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