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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
四話:アーケードモード
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047

負けるたびに、コンテニュー画面が出てきた。

負けず嫌いの杏那は、一秒も経たずにコンテニューした。

ゲーセンではないので、お金がかからないのが最大の魅力だ。

そして、お金を気にしなくてもいいことを知った杏那はそのまま三回コンテニューしていた。


「だー、また負けた!」

そして、デス・ストロングに一ポイントも取れずに三ポイントを奪われていた。

ゲーム画面にコンテニューが出てくる。家庭用ゲーム機なのでコンテニューのカウントダウンはない。

もちろんゲーセンの方は、そういうわけにはいかないのだけど。


「ねえ、なんか強くない?」

「負けにはちゃんと理由がある」

「理由?なによ」

「一個だけ、理由があるとしたら相打ちが多い」

俺はソファーに座って、ずっと杏那のプレーを見ていた。

杏那のユズは手数が早く、動きも早いだろう。


だけど、ダメージでは相手に分がある。ましてやデス・ストロングは覚醒して、ダメージカットもあるからな。

相打ちで同時に攻撃を喰らった場合、相手の方がダメージは圧倒的に少ない。

一方、自分側は相手の大ダメージをくらって、それだけで不利になる。


「つまり、相打ちにするなら痛いダメージにしろというわけね」

「まあ、そうだけど。はっきり言って相打ちになるような攻撃モーションの早い技は、ユズにはない。

だから相打ちにならないように、戦わないといけない」

「それって難しくない?」

「相打ちになっているのは、攻撃入力はこっちが若干遅いから……まあコンボを練習すれば克服できるし」

「後は、何かある?」

「自分で考えろ!ただこれは、コンピューターだからな」

「コンピューター?まさか……」

その一言で、杏那はあることを理解した。

そして、杏那はコンテニューをしていた。


(理解したようだな)

俺の言葉に、杏那はじっと画面に集中して見ていた。


「あくまでコンピューターなら、ある程度行動が決まっているわ!」

杏那は、自分に言い聞かせるようにゲーム画面に向かう。

コントローラーを握り、ガードを固める戦い方に切り替えていた。


そう、杏那は理解した。杏那は、全て同じ技で負けていたのだから。

技を見切れば、パターンに合わせて敵は行動してくるのだ。

つまりいくら能力が上がっても、ダメージが通らないハンデを背負っても充分に戦える。

そうなれば、後は杏那がデス・ストロングをストレートで下すのに時間がかからなかった。


「よし、勝った」杏那の操作する、ユズが勝利のポーズを見せていた。

「そうだな、一つ目の壁は突破したか」

「あたりまえでしょ!」

「じゃあ次の壁は八人目だろうな」

「八人目、次は七人目でしょ」

そう言いながら杏那が見ているテレビ画面は、七人目の挑戦者を写していた。



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