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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
三話:コンボ・コマンド
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竜二の話、それは兄との確執から始まった。

竜二の兄は優秀で、高学歴と高身長だ。

二人兄弟の弟で劣等生の竜二は、家に居場所がなかった。

竜二とは俺がこのゲーセンで、何度か会うことも増えて話すようになった。

最も初めは、ただのチンピラのような不良のような出会いだったが。


「兄は優秀なのに、なぜ俺は何もできないだろう。

俺はずっと思いながら、生きていた。家庭に居場所がなかった」

「だがら、グレたのか。わかりやすい」

「簡単にまとめるとそうだな。だけど俺にとって、それでも居場所がないのは本当だ。

学校を辞めて、今はダチの家にいる」

「家を出たのか?」

「ああ、出たさ。両親は俺に医者をやらせたかったらしい」

「そうなんだ……」

「やっぱ、ダメだ。俺の話はどうしてもつまらない」

竜二が首を横に振って、頭を抱えていた。


「その感じだと、家に帰りたいのか?」

「ああ、帰りたい。本当は俺が悪いのはわかっているんだ」

「そうか……あとは伝える方か」

杏那の父も、そういう伝えるのが苦手なのかもしれない。

だから杏那に難しい課題を与えて、逃げる口実を作った。

家族の話を聞いている杏那は、どう思っているのだろうか。


「伝えるのは、決して難しくないわ」口を開いた杏那。

「杏那……」俺は事情を知って、杏那なりの答えを出そうとしていた。

「磯貝、簡単なのか?」

「難しくはないわ。だって、あなたはゲームの時にいつも迷いがないもの。

迷いなくコンボを決めて、ゲームをしているでしょ」

「ゲームならば、コマンドが決まっているし」

「大丈夫、ゲームの時の迷いがなければ」

杏那は、不意に可愛く笑ってみせた。

その顔に、竜二も思いのほか照れているようにも見えた。


「あ、そうだ杏那!」

「なによ?」

「明日からゲーセン禁止な」

俺は突然、竜二もいる前でそう言い放った。

「えっ?」それは杏那と竜二がほぼ同時に驚いていた。



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