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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
一話:弟子入り
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004

時間は昼になっていた。

お盆休み、親戚の家に行った。

今更というわけでもないが、祖父から臨時収入のお小遣いをもらった。

俺の財布事情は、現状かなり裕福な状態であったわけだ。


夏休みの宿題がほぼ終わった開放感から、俺はゲームをやっていた。

といっても一階のUFOキャッチャーも、近くにあるプリ機にも興味を示さない。

中学時代ちょっとだけハマったメダルゲームも、体感ゲームも素通りしていく。

そして、俺はいつもの椅子に座っていた。


(よし、十五連勝)

俺がやっていたのは、ビデオゲームだ。

中でも大好きなのは『リアルファイター6』というゲームだ。

3D格闘ゲームで、長いこと人気のあるゲームだ。

最初のナンバリングは、二十年前だから俺が生まれる前からあるゲームだ。


「なんだよ、また負けたし!」

乱入台という二つのゲーム筐体が向き合った奥から、子供の声が聞こえてきた。

小学生だろうか、夏休みシーズンだからゲーセンは人が多い。


(なにより、ここは涼しいな)

エアコンがガンガン効いているので、家なんかよりもずっと涼しい。

乱入者を撃退した俺は、再びゲームを続けていた。


ちなみに俺が使っているキャラは、『ファン・チャンシー』。

中国拳法の男で、おっさんだ。髪の色は黒いが、ヒゲが生えていてなにより頭がツルツルなハゲ。

中国拳法の服を着ていて、最初の方のナンバリングから居るおっさん。

特別強いわけでもないが、見た目がいいわけでもない。

どちらかというと、イヤミな顔をしていた。


「ええっ、あいつ『ナリカズ』じゃん!」

横から覗いた小学生に、目が合って俺は見つかった。

『ナリカズ』というのは、このゲーセンにも張り出されている名前だ。

近くの壁に、『リアルファイター6』の店舗大会のトーナメントの結果が表示されていた。

そして、そこで優勝したのが『ナリカズ』……つまり俺なのだ。


「バレないと、思ったけどな。カード使わなかったし」

「どうりで、いくらやっても勝てないわけだよ」

小学生は首を横に振った。どうやら小学生は二人組らしい。

一人が太っている男の子で、もう一人がガリガリ足の短パンの男の子。

年齢的には小六あたりといったところか。

割とここでよく会うので、顔なじみだったりする。

こいつらとは、確か前の大会の時に知り合ったよな。


「そういえば『ナリカズ』は、県大会行ったの?」

「優勝したし、全国もいったし」

「マジかよ、すげーじゃん!」

俺の話に、驚いている子供たち。

だが、そんな中でも俺の前にあるゲーム画面は動いていた。


レバーを握ったたま、子供の話に適当に合わせていた。

目で画面を見ながら、ストーリーモードで六面のライバルキャラを楽々撃破していた。


「で、全国優勝した?」

「それは、無理だった」

苦笑いしながら、それでも手の動きはやめない。

そんな中で、一瞬だけ画面が暗転した。

そして、俺は後ろの視線をはっきり感じて驚いていた。

そこには見たことのない女が、腕を組んで怖い表情で俺を睨んでいたのだから――



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