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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
二話:キャラ選び
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全て格闘ゲームは、選択から始まるのだ。

キャラ選択こそが、戦いを行う上で重要なファクターだ。

テレビ画面には、キャラクター選択画面が見えた。

そこには二十五人の顔が、表示されていた。


「キャラクター選択でしょ、ずっとこれを選んでいたけど」

「杏那がよく選んでいたのは、『ユウト』ってキャラ。攻撃は、キャラクターによって攻め方が違う。

パンチボタンとキックボタンを使うのは、変わらないが」

「何が違うの?」

「攻撃の速さとか、攻撃リーチ距離とか、あとは特殊なコンボや強い技があり……」

「この子、強い?」

そして、杏那がカーソルを合わせていたのが『ユズ』だ。


「ああ、ユズか。女キックボクサーで、攻撃のスピードが速い。

連続コンボ……スピードにものを言わせてガンガン攻めるタイプだ」

「この子にする、なんか可愛いし」

確かに、ユズのリアル設定はカワイイを意識した女キックボクサーだ。

見た目もピンクのホットパンツで、ポニーテールにも小さなリボンをつけているし。


「本当にいいのか?」

「いいわよ、見た目がよければ全て良しっていうでしょ」

「あまり俺は進めないけど、本音なら『ユウト』とかが初心者向けのキャラだし」

「いいのよ」一切杏那に、ブレがない。

杏那は、あくまで自分の選択を貫いていた。

だから俺は、それ以上にほかのキャラを勧めるのをやめることにした。

杏那は、常に選ぶことに迷いがないので決断も速い。


これは格闘ゲームをやることに関して、極めて有効な性格だ。

一瞬の判断で、流れが変わるのが格闘ゲーム。

ミスを引きずって、迷っていては逆に格闘ゲームには向いていない。

ただし深く考えない故に、根拠が薄くて考えることもあまりない。

いずれ実力が拮抗した相手になると、壁にぶち当たるかもしれないが。


「わかった、じゃあ俺はこれを選ぶか」

俺は少し考えてから、動きの遅そうな『デス・ストロング』を選んでいた。



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