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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
二話:キャラ選び
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021

昼食を食べ終えると、祈里と杏那は再び戦っていた。

俺が入る隙間はなく、二人がコントローラーをずっと握っていた。

戦いの結果は、相変わらず祈里の連勝街道をひた走っていた。

つまり、杏那はずっと負け続けていた。


「これで二百六十連勝」喜ぶ祈里に、杏那はじっと見ていた。

「あー、さっきは惜しかったのに!」

「でも、負けは負けよ。弱いわ、弱すぎるのよ」

初心者相手にも、祈里は本当に容赦ない。

祈里の使う『デス・ストロング』が、テレビ画面上では喜んでいた。

『デス・ストロング』の見た目は覆面プロレスラー、戦い方もプロレスラーで動きはかなり遅い。

ただ投げ技や関節技、更にはパンチからの投げ技に変化する技もあった。


「祈里、そろそろ俺と……」

「もう一度勝負よ」

杏那が再戦を求めようと知る中、祈里が俺にコントローラーを渡してきた。


「お兄ちゃん、変わって」そう言いながら祈里は、疲れた顔でテレビの前から立ち上がっていた。

暇をしていた俺は、素直にコントローラーを受け取った。


「ちょっと、祈里ちゃん……あたしはあなたと戦いたいのよ!」

「トイレに行くのよ。あなたはしつこい人なんだから!」

祈里も流石に、杏那が負けても向かってくるのでしつこさを感じていた。

祈里は、そのまま逃げるようにトイレに向かう。


「まあ、杏那。だいぶ動きもわかっただろうし、ボタンも覚えたな」

「でも……全然勝てないわ」悔しさを表情に、はっきり表す杏那。

「格闘ゲームが強くなるのは、やり込みしかない。やった分だけ、金を使った分だけ強くなる」

「それでもあたしには……」

「わかっている。それじゃあそろそろ第二段階に行こうか。絶対、祈里に勝ちたいよな?」

俺の質問に、杏那は顔を赤くして素直に頷いていた。

この杏那の気持ちは、俺もちゃんと理解できたから。


「じゃあ、持ちキャラを決めるか」

俺はそう言いながら、祈里から受け取ったコントローラーのスタートボタンを押していた。



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