017
夏休み、一日だけ行ったあとすぐに日曜日。
夏休みボケが全く抜けない。寝苦しいのも変わらない。
夢の中にいた俺は、不規則な生活に慣れていた。
水色のパジャマを着て、ぐっすり熟睡中。
自分の部屋には、大きなベッドと大きなタンス、薄暗い部屋にベッドの上。
そんな俺は、体に重量を感じた。
汗が、顔から吹き出しているのがわかった。
「あ、暑い……重い……」寝言だ。
だけど俺はその苦しみから逃れるために、手をばたつかせた。
そして、なにか柔らかい何かに当たった。
「ん、なんだ?柔らかい」
「お兄ちゃん……そこ」
「ああ、祈里か……祈里?」
もちろん祈里と部屋が違う。俺一人の部屋だ。
だから、祈里が居ること自体が違和感なのだ。そしてゆっくりと目を開けた。
「あれ、なんで祈里が……俺のベッドに……って、お前!」
「ああ、お兄ちゃん起きたのね」
「起きた?今日は学校じゃないだろ、日曜じゃないか」
「日曜だけど……お客さん来ているよ」
「お客さん?」ぼんやりと目をこすりながら、本棚にある時計を見た。
時刻は七時、学校に行く時間とほぼ変わらない。
「うん、女の子。あの子は誰?すごく、可愛いい女の子だけど」
祈里がそう言いながら、なぜか俺の頬を、強くつねっていた。
それは強く、思いのほか痛かった。
そして、それに関してはたった一つだけ、心当たりがあった。思い出した、あいつの顔が。




