表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十二話:県大会
149/152

149

俺はステージの上に立って……というより座っていた。

ステージの上には、二台のゲーム筐体が向き合っていた。

中央には大型スクリーン、クレーンカメラもあって、店舗大会なんかと規模がすべて違う。


去年も来たが、大会ごとに豪華になっている。随分と金をかけているイベントだ。

それもその筈、テレビガメラも着ていてネットで全世界に配信されているのだ。

しかも中にはプロなんかも参加している。


『ファン・ジャンチー』を使い戦った俺、相手のキャラは『ジョニー』。

そして、決勝の結果が画面に出た。


「ウィナー、ナリカズ、長野代表っ!」

俺は、とうとう全国制覇を達成した。

実況をしている売れない芸人が、盛り上げようと声を張り上げる。

俺は立ち上がって、観客席の声に応えた。


「おめでとう」売れない芸人が、俺にマイクを向けていた。

「ありがとう、ございます」

嬉しそうな顔で俺は、インタビューに答えていた。

その後、トロフィーと賞金を受け取っていく。

そのままネット中継も終わって、俺は幕の袖に戻ってきた。


「御厨君、おめでとう」

そこにいたのは、杏那の父親だった。

頭が剥げているが、スーツを着ていてかっこよく決めていた。


「はい、ありがとうございます」

「やはり君は、本当にすごいよ」

「いえ、優勝したのは杏那のおかげでもあります」

「僕の娘が、信じられない」

「本当です、彼女に僕は教わりました。

なぜ、前回の大会で勝てなかったのかを。彼女に教えるつもりが、いつの間にか教わっていました」

俺は、自然と杏那の感謝の言葉が出ていた。


「そうか……あの子は強い子だからな」

「はい、強いです」

俺は、杏那のことを思っていた。

目的を与えてくれて、目的を持つことを教えてくれた俺の大事な弟子。


「それより、杏那とは……」

「その話は、杏那から聞いたほうがいいだろう」

俺が話している杏那の父親の後ろには、杏那が立っていた。

目に、涙を浮かべながら。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ