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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十二話:県大会
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季節はすっかり冬だ、厚手のジャンパーを俺は着込んでいた。

それでも、東京のこの場所は熱気で熱かった。

ここは東京の白い建物。それは『リアルファイター』全国大会の会場でもある聖地だ。

大会に集まっているのは、各都道府県を勝ち抜いた強者ばかり。


俺はそこの一室に入っていた。半年ぶりに帰っていた。

前室は、参加者全員四十人が使っているのでかなり広い。

試合開始に向けて、俺は二人の人間を招き入れていた。


「お兄ちゃん、大丈夫?」

受験生の祈里が、激励に来ていた。

既に冬休みに入っている受験生だが、この日は激励のために来てくれた。

もこもこの白いガウンを着て、俺の前で攻略本を見ていた。


「しかし、強そうなやつらばっかりだな」もう一人は竜二だ。

なぜだかわからないが、髪を直して短い七三分けになっていた竜二。

「まあ、全国大会だからな」

だが不思議と緊張も、震えもない。

今の俺は、はっきりと戦う目的が出来ていた。


「ああ、ちゃんと勝たないと杏那や竜二に申し訳ないからな」

「あたりめぇだ、俺たちが最強であることを示して来い!」

「うん」俺は迷いがなかった。

決勝戦、リーグ戦を三連勝したのは俺だけだ。

県大会を連覇し、俺は再びここに来ているのだ。

去年とは違う、迷いがあって漠然と戦っていた俺ではない。


「参加者のみなさーん!そろそろ、袖入りしてくださーい」

関係者らしきスタッフが、声をかけてきた。



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