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攻略本を見せたある日、杏那に聞かれたことがあった。
それは、『当て身』ってどんな技なのか。
攻撃を当てさせて、攻撃の勢いを利用して投げる技。
白白山は、その『当て身』を持っているキャラだ。そこから発生するコンボもあるぐらいだ。
画面を見ながら、杏那は難しい表情を浮かべていた。
隣の白白山が、攻撃を待ち構えていた。
(当て身を警戒してユズは、これで簡単に攻め込めない)
当て身は、攻撃側からしたらこれほど嫌なものはない。
投げ扱いなので、カウンターにこそならないがダメージは低くない。
俺は椅子に座ったまま、杏那の戦いを見入っていた。
(近づけば、白白山は投げもある)
白白山は見た目通りに力士だし、投げ技が充実している。こうなると、スピード勝負は難しい。
リーチも短いので、白白山の投げの間合いに入らないといけない。
(だが、当て身には、欠点もある)
決して万能ではない。攻撃のパターンがわからないと、当て身は使えないのだ。
上段か下段かと張るのだけど。次の攻撃が読まれたら、杏那の負けだ。
(どうする?杏那)
俺はアドバイスができない。だから見守るしかない。
時間が過ぎる、無理に白白山は攻めに来ない。
それでも杏那は、諦めなかった。顔がしっかり画面を見ていたからだ。
(まさか、クイーンスタンプ?)
そして、ユズが思い切り前蹴りを見せた。
不意に見せたのか、当て身は完全にミスした。上段を取るつもりだったのだろうか。
クイーンスタンプが、命中すると一気に間合いが狭まっていく。
白白山は、なんとか投げようとした。
だがユズは、杏那はコンボの入力が早かった。
「勝者、アンナっ!」
最後は、ユズが勝利のポーズを決めていた。




