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俺は、トーナメントDの王者と戦う。リーグ戦の二戦目。
中学生の相手が使うのは、『デス・ストロング』か。
投げ技を主体に戦うが、それでも俺の敵ではない。
多彩な攻撃で、俺はあっさり五連勝をしていた。
勝ち名乗りを上げる俺は、いつの間にかギャラリーのヒールに近い。
強すぎる王者は、どうも嫌われるらしい。
(さて、俺の隣はというと……互角だった)
俺の戦いより注目が集まるのは、親子の直接大会。
もちろん、それだけで注目を集めていた。
(四対四、テンポが速いな)
杏那の隣には、杏那の父親。父親は、参加者の中でもかなり年長の部類に入っていた。
実年齢は、そういえば杏那の父親はいくつだろうか。
(それにしても、白白山ねえ。渋い選択だな)
『白白山』は相撲取りだ。力士なので動きが遅い。
ユズとは、ほぼ真反対の属性といってもいい。
(白白山にはただ、あれがある)
それはユズがパンチを放った時だった。
ユズの右腕を掴んで、力を軽くいなしていた。
そのままユズの体を投げ飛ばした。投げ飛ばされたユズは、大きく体力が減っていた。
(当て身技だ)俺はそれを知っていた。




