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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十二話:県大会
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翌日のゲーセンにも、俺と杏那は来ていた。

土曜日は、午前中で学校が終わるからだ。

いつもどおり昼を学校で食べて、制服のままゲーセンに向かう。


ゲーセンの中には、竜二の優勝の写真が貼られていた。

トーナメントの結果も張り出されていて、応援ムードが見えていた。

そして、ゲーセンの乱入台でそのチャンピオンがゲームをしていた。


「やっぱりいたか、『ドラツー』」

「俺のプレイヤー名で言うな、和成」

喋りながらもラスボス、サイクロプス・改をしっかり倒す。

そのままエンドロールをショートカットして、立ち上がった。

古風な不良の竜二だ、相変わらずの姿だ。


「なんだ、磯貝も来ていたのか?塩尻で優勝したのは、本当だったのか?」

「当たり前でしょ、今度こそ倒すから首を洗って待っていなさい!」

「ほう、面白い。できればいいがな」

竜二は余裕を見せ、杏那は宣戦布告だ。二人の間に、既に火花が散っていた。


「にしても、和成。お前は、県大会シードだったとはな」

「俺は一応、全国行っているぜ」

「初戦敗退だろ!」

「うるせー!今度は勝つ」

「威勢はいいな。だが今回は、俺もかなりパワーアップしているぜ。

お前は、弟子の育成であまり練習していないようだが?」

「ところが、そうでもないんだな。これが」

余裕を見せて俺は、軽く笑ってみせた。


「えらい自信だな、和成」

「俺の自信は、必ず根拠がある」

「楽しみだ、決勝トーナメントで待っているぞ」

竜二は最後にかっこつけて、肩をいからせて歩こうとしたが、反対側から猛スピードでやってきた女がいた。

その女が現れて、竜二は足を止めた。


「ちょっと、ちょっと待ちなさい!」

そこに出てきたのは、制服姿の歩美。走ってきたロングカールの女。

呼吸を乱し、竜二の前に立ち止まった。

「歩美じゃねえか?なんだ?」

「竜二、歩美に地区大会優勝の証明証を売りなさい!金はいくらでも出すわ!」

「はあ、どうしてだ?」

「歩美は、今度こそそこのあんこ餅にリベンジするのよ!」

歩美が杏那を指差して、すごく睨んでいた。

負けず嫌いの杏那も腕を組んで、鼻で笑う。


「あんた、そんなにしてまで県大会に出たいの?」

「そうよ、出たいわ。って、竜二待ちなさいっ!」

歩美を無視して、竜二がゲーセンの出口の方に歩いていく。

顔を赤くして歩美は、竜二を走って追いかけていった。


「ねえ、あれって……」

「仲がいいよな、あの二人」などと俺は、適当に言っていた。



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