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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十一話:悩みもがく者
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ゲーセンで、ビデオゲームを全くやらないのは久しぶりだ。

子供の頃、お小遣いが少なくてゲームをやらないで他人のプレーを見ていた頃を思い出す。

いや、杏那の練習に付き合うようになってから、ゲームをやらない日も随分増えたよな。

まあ、他人のプレーを見ても自分の練習になるからな。

そんな中、パンチングマシーンに来ていた。


「いやあ、すごいな、杏那」

「な、なによ!そんなに、たいしたことないわ」

「193キロ……由人より上だし……」

パンチングマシーンで、由人の記録を軽々と超える女。

流石に由人が褒めて倒すほどの、素晴らしい身体能力の持ち主だ。


パンチングマシーンから、近くのベンチに座っていた。

ここからは、ちょうどメダルゲームとビデオゲームが見える場所だ。

無論、『リアルファイター6』の乱入台も見えていた。


今日は、プレミアムフライデーということで人も多い。

子供だけではなく、大人の会社員も多いようだ。


「気になるのか?」

大きなぬいぐるみを抱いたまま、杏那は『リアルファイター6』をじっと見ていた。

俺はそんな、杏那の真剣な横顔を見ていた。


「別に……遊ぶんでしょ」

「ああ、遊ぶ。リフレッシュは大事だ」

「あのさ……和成」

「なんだい?」

「リアルファイターで、一番好きなキャラは?」

「うーん、唐突に……『レイナ』かな?」

俺が名前を挙げたのは幼女の魔法少女、レイナだ。

ツインテールの可愛い女の子で、ゲームのデモ画面でよく出てくるキャラクター。


「やっぱりロリコンね」軽蔑の目を送る杏那。

「いや、そうじゃなくてなんというか、可愛らしいのもあるけど……」

「だからこういうこともするのね」

スマホを取り出した杏那は、前に見せた俺のプレー画面を見せてきた。

『レイナ』のスカートの下を見せるような、エロプレーの数々だ。


「あれはその……頼む、消してくれ」手を合わせて懇願する俺。

「どうしようかしら?友達の新聞部にでも、売ろうかしら?」

「それだけは、やめてくれっ!」

俺は杏那のスマホを奪おうとするが、杏那に手が早くて届かない。


「でも、そんなに好きなの?見た目じゃないの?」

「ほら、レイナってバカ正直に頑張るっていうか、素直っていうか。

世界の平和のために戦う、シンプルな言葉だけどそれは凄く重い言葉だと思う」

「どうして?」

「戦うんだよ、痛い思いをするかも知れない。怖い思いをするかもしれない。

しかもあの年齢で、あの若さで、あんな小さな体で。

迷わないでレイナは戦う、まっすぐ世界平和を見ていて、戦いを諦めない。だから単純に好きだ。

まっすぐで頑張っている子は、単純に好感が持てるから」

「そう……和成らしいわね」

杏那もまた、俺の言葉を理解したということにしよう。

それでもスマホ画面を、ジーッと見ていたが。


「それにしては、このエロ行動は頂けないわね」

「あっ、だからそれは……」

「消してあげるわ、ただし……」

そう言いながら、杏那は俺に一つの提案をしてきた。



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