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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十一話:悩みもがく者
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俺と杏那は、まだゲーセンにいた。

そしてやっているのはUFOキャッチャー。

ここのエリアも、あまり来たことがないな。

今、UFOキャッチャーではいろんなモノが取れるのだな。

ぬいぐるみはもちろん、ポスターや、お菓子、更には枕まで。


「あのぬいぐるみ、取って欲しいけど……」

「あれか?」それは腐女子に人気のある、日本の兜を擬人化したイケメン男の『宝兜乱王』だ。

そのキャラを、デフォルメしたぬいぐるみだ。一応名前だけは知っている、祈里も好きみたいだし。


「『宝兜』が好きなのか?」

「ええ、まあ……なによ、いいじゃない!」

「わかった、じゃあやってみる」

杏那の言うぬいぐるみにクレーンアームを動かして、大きなぬいぐるみを三回で取っていた。


景品が落ちてきて、杏那に渡す。

「ありがとう、和成」満面の笑顔を見せる杏那

「それは良かった」

「意外と得意なのね、クレーンゲーム」

「まあ、ビデオゲームに通じる技術があるし。

タイミングを取るところとか、動きをよく見てボタンを押すところとか」

「なんでも、あなたはリアルファイターに結びつけるのね」

「まあ……俺は好きだからな」

そうだ、それは本心だ。体が弱かった、俺は何もなかった。

小さな頃から、体育の授業はほとんど休みがちの俺は室内で過ごすことが多かった。


その中で出会ったのが、このゲーム『リアルファイター』シリーズだ。

ゲームのキャラ同様に、俺は強くなりたかった。

その思いを、果たせるゲームとして俺はずっと好きなままだ。

ぬいぐるみを抱えたまま、杏那は時折ゲーセンの奥に視線を移す。


「気になるのか?」

「そ、そんなのじゃないわよ」

「杏那っ!前に聞いたけど、中学時はテニス部だったんだよな。好きだったのか?」

「え?」杏那はじーっと、俺の顔を見ていた。


「嫌いではないし、まあ好きだったけど、続けられなかった……」

「まあ、それは残念だな」杏那の気持ちはよく分かっていた。

テニスを続けられなかったのは、家庭の崩壊が影響をしているのは想像につく。

バイトをしないといけないし、それを考えて部活をやめる選択もした。


「それじゃあ、次は何をして遊ぼうか?」

「本当にいいの?」

杏那は遊ぼうとする俺を、心配そうな顔で見ていた。

俺はそう言いながら、杏那に対してこういった。

「今日は遊ぶって言っただろ」と。



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