131
駅近く、ゲーセンからの行く途中に公園が見えた。
総合的な位置を考えて、神社のある公園だ。
その公園は、極めて小さいがブランコとジャングルジムとベンチぐらいの小さな公園。
自転車を止めて、俺は呼吸を乱して立っていた。
「いたっ!」
そこには、子供用のブランコにずっと座っている杏那がいた。
制服姿のままで、元気なく座っていた。
「杏那っ!」
「なんで来るのよ……」だけど、声にも顔にも元気がない杏那。
俺は薄暗い公園で杏那のそばに走っていた。
「あたし……ごめんなさい」
ブランコを降りてゆっくり、去ろうとする杏那。
やっぱり、杏那は俺を避けているようだ。
「なんで、謝る?」
「あたしは……こんな不純な理由で……出ていいのかって」
「どういうことだ?」
「あたし、県大会出ない!」
「え?」突然杏那は、はっきりと言い放った。
言い放って俺に背を向けようとするが、俺が杏那の手を掴んだ。
「どうしてそうなった?お前に、何があった?説明してくれ」
「いいのよ、あたしなんかが出ても……みんなと全然動機も違うし」
「動機?」
「そうよ、あたしはパパに会いたいから……戦ってきた。
でもみんなとは違う、楽しんでいるわ。ゲームって、本当なら楽しむものでしょ」
辛そうな顔で、杏那は心の中を吐き出した。
「まあ、そうだけど……」
「それなのに、あたしはしかも塩尻とか、別の町の代表で、みんなを差し置いて……」
「思い上がるなよ!」真正面で俺は杏那に、初めて怒った。
その瞬間、杏那は俺の顔をじっと見ていた。




