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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十一話:悩みもがく者
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杏那が優勝してから二日後、いつもの朝を迎えていた。

当たり前の日常が始まり、学校生活があるのだ。

そして、玄関で俺は一人で靴を履きかけていた。

そこで、偶然にも別のクラスの杏那と出会った。


「杏那、おはよう」

「うん」だけどすぐに女子たちが、囲んでいる中から顔を見せた。

『磯貝 杏那』は松本中央で人気の女子だ。

周りの女子は、杏那を神のように見ているからだ。


「杏那、今日だけどさ……」

「ごめん、急いでいるから!」杏那は、なぜか俺を避けているようだ。

杏那の表情を見て、取り巻きの女子たちが俺を睨んでいた。

そのまま、走り去る杏那と取り巻きの女子たち。


(どうしたんだ、アイツ?)

などと思っていると、俺の後ろから抱きつく男がいた。


「おはよっ!」

「由人か」

すぐさま俺の背中から手を回し、爽やかな笑顔を見せる由人。


「どうした、元気ないぞ」

「いや、最近杏那の様子がおかしいんだ」

「杏那?ああ、磯貝さんか……」

すぐに由人は、俺から離れて見ていた。


「ああ。特にここ二日ほど、反応が鈍いっていうか」

「店舗大会に、優勝したんだっけ?」

「うん、その辺からだよ」

「お前、優勝したから捨てられたとか……」

「ええっ、まだ県大会始まっていないのに?」

杏那の目的は県大会、父の参加が決まっている県大会で戦うための師弟関係だ。

だから杏那との関係は、ここで終わるとは思えなかったのだが。


「わかんないよ。磯貝さんって、C組の女子が言うには男にかなり厳しいようだからね」

「そうよ、あの女は大の男嫌いで有名だから」

俺と由人が話していると、優雅に歩美が制服姿で現れた。

長いブレザーを着て、短い白のスカート。


「ああ、歩美か」

「歩美はまだ、諦めていませんわ。今回は……残念ですが」

「まあ、次の春もあるし」

「今度は負けませんことよ!」

眼鏡をかけた歩美は、俺に挑発的に指を差していた。


「それより、杏那は男嫌いなのは……」

「本当よ、あの子中学は告白してきた十四人の男をフッたのよ」

それは俺の知らない、杏那の意外な過去だった。

俺の存在が、杏那の重荷になっていたのかと思ってしまった。



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