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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十話:群雄割拠
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この戦いは、思いのほか拮抗していた。

杏那の成長は、俺の思っているところよりはるかに超えていた。

そもそもユズは、基本的には『チョ・イルテン』とは相性がいい。


構えをすることで、ノーモーションの攻撃が可能なイルテン。

だけど、ユズ自体がそもそも攻撃は早いのだ。

それに杏那は、イルテンの間合いをかなり把握していた。

最初のポイントを杏那が奪った、これは予想外だった。

ガードを把握して、冷静に対応した結果を見せた。


ポイントを失ったことで、謙信も戦い方を変えていた。

それでも最初は、イルテンが勝つものの、すぐにユズがポイントを奪い返す。

そして、四対四という接戦にもつれ込む。

最後の戦いが始まっていた。ギャラリーの中で、俺は戦いを見守っていた。


(鶴の構えでコンボをすれば、謙信が有利。

だが、構えをさせまいと杏那はしっかり動いている)

構えを取らせないうちに、うまく攻撃を入れたい。

コンボミスのない謙信だ、一度コンボが入ればそれだけで勝負を決める攻撃力があったのだ。


(杏那はどうする?回り込みながら、あの『ユズコンビネーション』か)

ユズが、コンビネーションでガードをさせる戦術があった。

上段を避ける技がないので、ガードで対応するしかない。

そんな中、ユズはキャンセルをした。


(キャンセルをした、投げるのか)

ユズが投げ用とした瞬間、イルテンが吹き飛ばしの蹴りを見せた。

ミドルキックで、投げに来るユズを吹き飛ばした。

それと同時に、間合いが離れてしまう。


(離れた、これでイルテンは構える)

構えは鶴の構え、距離も離れていたのだ。

ユズが近づけない形を作った。間合いを詰めた瞬間、ミドルキックからのコンボ。

ユズのライフを削って勝負ありだ。


(さて、どうする?時間はそれほどないぞ)

戦いは制限時間が決まっていた。

このままいけばユズのライフが、イルテンよりも少ないので判定でもイルテンが勝つ。

だがカウンターを喰らってしまえば、コンボを繋がれて負けが確定するだけだ。


杏那は難しい顔で、画面を見ていた。

だが、杏那は突然画面のユズを走らせた。突撃だ。

もちろん、謙信はノーモーションでキックを入れてきた。


しかし謙信は直前にガードを入れて、ハイキックを凌いだ。


(防いだ、だが……コンボは途切れない)

ユズの足がギリギリで止まり、ガードが間に合う。

だが、イルテンのキックのコンボは終わらない。

切れ目のない攻撃で、ほぼノーモーションで打ち込んできた。

だけど、杏那は冷静だった。途中の攻撃、一つのコンボの切れ目の瞬間にしゃがんだ。


(しゃがんだ、そうか)それはコンボの途中にある上段攻撃。

ユズがしゃがむと、上段のキックが空振りした。そして次の瞬間、ユズの一発のパンチが入った。

起死回生のパンチは、コンボの動きを止めた。


(パンチ、ただのパンチか)

攻撃をなにか入れれば、コンボは切れるのだ。

そして次の瞬間、動きが一瞬だけ止まったイルテン。

それを見逃す杏那ではない。ユズにラッシュを使わせると、コンビネーションに繋いだ。


そして、形成は一気に逆転した。

カウンターで、ダメージの跳ね上がったコンビネーションでイルテンは倒れた。



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