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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
一話:弟子入り
12/152

012

俺は、『磯貝 杏那』という人間を甘く考えていたのかもしれない。

初めて知り合って、初めてちゃんと話した人間。

名前すら知ってわずか一時間にも満たない少女を、俺は全く理解なんかできるはずもない。


「ねえ、いつまでガードをするの?」

「ガードは、このゲームだとすごく大事だ」

「なんでよ?相手のライフ、ちっとも減らないじゃない!」

磯貝はイライラしていた。いつの間にか俺のジョニーは三本連取していた。


「移動もガードも基本だし」

「そんなの、一個だけ覚えればいいでしょ」

「そんな甘くないし、攻撃はもうちょい経ってから」

そう言いながらも、俺のキャラが四本目を取っていた。


「よし。じゃあ俺のキャラ、ジョニーが五本目取ると終わっちゃうから入れ替わろうか」

「なんでよ?」

いかにも嫌そうな顔で、俺を睨んでいた。


「防御と移動ばっかりで、あたし全然面白くないわ!」

「そうは言っても、強くなりたんだったら防御と移動を覚えないと……」

「攻撃を教えてよ、このゲームはライフを減らさないと勝てないでしょ!」

杏那はあくまでも、俺に攻撃を教わりたいようだ。

だけど、俺はどうしても譲れなかった。


「攻撃より、まずはこの百円で防御と移動を覚える。だから入れ替わって。

全キャラクター、移動も防御も変わらないから……」

「なによ、防御と移動とか、あたしだって忙しいのよ!」

そう言いながら、顔を赤くして立ち上がっていた。

俺を激しく睨んで、頬を膨らませた。


「あたし、帰るから!」

そのまま、俺を置いて帰ってしまった。

俺は一人、そのゲーム筐体の前に取り残されてしまった。



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