表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十話:群雄割拠
118/152

118

塩尻は松本よりもさらに田舎だ。駅前のロータリーも、なんだか殺風景だ。

ビルのようなものは、ほとんどなく飲食店ぐらいがポツリと見える程度だ。

時間はまだ三十分あった。なので、俺は歩くことにした。

最もさっきの電車の後を逃すと、次は一時間かかるから一気にギリギリになるが。


塩尻の道路を、二人で歩いていた。

多分、ここに来たのは二回目だ、そのうちの一回は『リアルファイター』の店舗大会。

だから場所はわかっていた。そして、商店街のところでベンチを見つけた。


「結構歩いたな」

「なによ、もう疲れたの」

「お前みたいに体力馬鹿ではない」

「女の子に、そういうことを言わないでよ!」

元気な杏那をよそに、くたびれた顔の俺はベンチに座っていた。


「どのみち、後数分で着くだろうし。

ほら、少し奥にある白くて大きな建物あるだろ。あそこの裏だから」

「時間は後十五分ね、確かに余裕だわ」

「それより緊張していないか?」

「し、してないわよ!」

そう言いながら、杏那も俺の隣のベンチに座っていた。


「まあ、それならいいんだけど」

「和成……今日もあたしのために付き合って……」

「ああ、いや、その……飯食うか」

「え?」杏那は首をひねった。


「試合の開始は十一時、ただ参加者が少ないから二時間ぐらいで終わる。

それまでに、腹が減るだろ」

「少ないって?」

「店舗で集まり悪いから、ネットで募集するくらいだから」

「そんなに少ないんだ」

「まあ、松本の規模がゲーセンの大きい方だし。

確か今回の参加者は十人ほど。大体が塩尻の人間」

「ねえ、それって……こっちで店舗大会を参加したほうが楽じゃない」

「まあ、楽なところもある」

そう言いながら、俺は弁当を広げていた。

杏那も興味津々で、俺のお弁当をじーっと見ていた。この弁当は、俺の母親の手製だ。


「なんだよ、また卵焼きが欲しいのか?」

俺の言葉に、杏那が食い気味に頷く。

しょうがないなと、俺は箸で杏那の口元に卵焼きを入れてあげた。

それを、うまそうに食べる杏那だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ