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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
十話:群雄割拠
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時間は夕方から夜になった。ゲーセンと道路を挟んで反対側のファーストフードに、俺たちは入っていた。

夕方のファーストフードは混み合っていたが、二階は空いていたのでそこに席をとった。

そういえばここのファーストフード行くの、久しぶりだな。

窓側の席に座ったので、窓からさっきまでいたゲーセンが見えていた。

ライトアップされていて、なかなか綺麗だ。


「ここで、戦っていたのね」俺はハンバーガーセットを頼む。

「ああ、戦っていた」杏那は俺の隣で、シェイクしか頼んでいない。

「そして、俺が優勝した」俺の前にいるのは竜二。

ナゲットとコーラを頼んで、優勝トロフィーも持っていた。


「てか、反則じゃない」ふてくされた顔の杏那。

「何を言っている?あの手しかなかった」ナゲットを口に入れる竜二。

「すぐ組みついてくるし、攻撃が全然できない」

「それが、竜二のカムチャットの戦い方だからな」

いやらしいまでの首相撲。速い攻撃をする『ユズ』ならカウンター気味に首相撲で、攻撃を封じてきた。

やはり攻めしかない杏那にとって、攻めそのものを封じられたら厳しい。

経験に勝る竜二の、貫禄の作戦勝ちだった。


「それでも俺が、まさかお前に三ポイント取られるとは……な」

「負けは負けよ」険しい表情で、シェイクを飲んでいた杏那。


「それより、歩美は?」

「ああ、歩美なら師弟関係解消だそうだ。

あくまで今日の店舗大会のみに絞っていたから、これが終わったら勝っても負けても終わりだそうだ」

「そうか、杏那を目の敵にしていたからな」

「だが、歩美は諦め悪そうだぜ」

竜二の言葉に、俺は首をひねっていた。


「諦め悪い?」

「あくまで俺のペアを解消しただけで、『リアルファイター』を辞めるって言っていなかった。

おそらく、磯貝が戦えばまた歩美も戦うだろう」

「そうか……」

歩美がこのゲームをやめないことは、なんとなく嬉しかった。

もともと少しの間続けていたようだから、再び細々とでも続けてくれるのは嬉しい。


「まあ歩美が何度かかってこようが、あたしが叩き伏せてやるけどね」

「杏那も、相変わらずだな」

ん、杏那は「歩美」って言っていないか。気のせいだろうか。


「それにしてもだ」俺の前にいる竜二は、険しい顔を見せた。

「どうした、竜二?」

「なんで参加しなかった?」

竜二は俺に対して、俺が参加しなかったことをやっぱり怒っていた。



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