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103

(ANNA`S EYES)

そこは、なにもない無機質なコンクリートの地面。周りは夜なのか闇で、ほとんど見えない。

そして、周りには人が集まっていた。

野次馬だろうか、何を言っているかわからないが声が聞こえる。

そして、あたしは姿が変わっていた。


赤いグローブに、赤いすね当て、ピンクのミニパンツに、タンクトップ。

へそが出ていたこの格好は、『リアルファイター』のユズと同じ格好だ。

しかし、その顔はあたしの顔。


「どうなっているの?」

「あら、まだ生きていたのね。あんこ餅」

あたしの前には上半身裸、男の筋肉質の体。青いボクサーパンツに、足にバンテージを巻いた人間。

手に青いボクシンググローブを付けたその人間は、『リアルファイター』のジョニーの立ち姿だ。

ただ、首から上はジョニーではない。髪もロングカールで女だ。


「歩美っ、なんでここに?」

「あなたを倒しに来た、そのまま倒れなさいっ!」

顔が歩美のジョニーが、あたしの方にパンチを繰り出す。

素早いパンチを打ち込んで、あたしのユズの胸や腹に命中していく。


「痛いわね」顔を歪めて、歩美の顔を睨む。

あたしも、負けじとキックからパンチを繰り出した。

歩美にヒットすると、歩美も後ろに下がっていく。


「くっ、やりますわね」

「あなたに、負けるわけには行かないのよ!」

「いいえ、勝つのはこの歩美ですわ!」

あたしがパンチを打ち込んだが、歩美は口元に笑みを浮かべては屈んでいた。


「しまっ……」

「これで終わりよっ!」

「いやああっっっ!」

屈んだ歩美が放ってきた、最後の『キャノンパンチ』がカウンターで決まった。

あたしの体が、宙に舞ってそのまま地面に大の字に倒れた。

呼吸を激しく乱し、天井を見上げていた。


「な、なんで……」あたしの体が、脱力感で動かない。

「あなたは、絶対あたしに勝てない。行きましょう、和成」

「えっ、和成……」歩美の隣には、制服を着た和成がいた。

ちらりとあたしの顔を見たが、直ぐに歩美の腰に手を回す。

和成が無言で、歩美と和成はあたしから離れていった。


「やめて、和成っ!」あたしは手を伸ばして、起き上がろうと上半身を上げたのだが……



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