8.決闘! 酒場最強の男 戦士ジルバ
「この剣はかの高級メーカー、レイズギルドの宝剣、レイズグランドソード。その攻撃力は然ることながら、持つ者の魔力を引き上げ、時に相手を魅了する。」
魔法戦士は勇者から遠い位置で、剣を天へとかざしたまま語り出す。
「そして、この鎧。これも高級メーカーレイズギルドの一品。物理攻撃への防御力は然ることながら、魔法攻撃の威力を20%軽減する。」
遂に勇者の方ではなく、横の冒険者達に向かって語り始めてしまった。
勇者は久しぶりの魚料理に興奮して昼食を食べ過ぎたのか、急に眠気に襲われた。口の中の歯が見えるぐらいの大きなあくびが出た。
「そしてこの小手…。」
「魔法戦士よ!貴方の美しい剣がさびてしまってはいけない。ここは他の者に譲ってはどうか?」
寝ぼけ眼をこすり、勇者は遠くの魔法戦士に向かって叫んだ。
「……それもそうだな。」
魔法戦士は満足した顔で、高笑いしながら群集の中へと戻っていった。
勇者は少し長めに息を吐くと、頭を振って眠気を払った。
「他にいないか?」
「俺がいこう!」
次に屈強な戦士が、勇者の前へと進み出た。
「ジルバ!ジルバ!」
「酒場最強の男!戦士ジルバだ!やっちまえ!!」
冒険者達はジルバコールで湧き上がる。
「勝負だ!」
ジルバは太く鍛えられた腕で、サッと剣を引き抜いた。