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「皆さんいいですか。頭や心臓、そして丹田には神が宿っているとお考えください」

 白装束に兜巾姿の顔の長い男が鹿爪らしい表情で何やらについて講義している。

 熱心な顔つきで聴講しているのは年老いた男女。

 場所は石動駅西口に屹立するガラス張り十階建てビル内の、学校の体育館ほどもある多目的ホールであり、そのビル全体が現今の日本でもっとも勢いのある新興宗教、その名もずばり長寿教の本部である。

 講義を行っている山伏風の男は長寿教の教祖、日比野子雄、その人だ。

 講義の内容は実に単純で、明快な理論で長寿になる方法を説いている。

 信じる信じないこそ個人の裁量だろうが、教団に入会せずとも購入可能な丸薬の売れ行きひとつをとってみても長寿教は大成功しているといわねばならず、加えて苦情の聞こえないのを考慮するに、彼の作り上げた長寿教にはなにかしら一塊の真理があるものと思われる。

 聞くところによると数か月前、死病に取りつかれた老人(ちなみに石動町で一、二を争うお大尽である)に対して子雄が処方した丸薬が見事病を癒したのだという。すると感極まった老人は、実に気前よく当時持ちビルのひとつであったこの建物を布教の拠点として使ってほしいと修験者子雄に譲ったのだそうだ。

 まるでわらしべ長者のような話であり、巷間では半ば都市伝説のように語られている話だが、まぎれもない事実である。

 日比野子雄。

 見た目三十代中頃の男。

 修験道で己を磨いたような装いをしているものの、実際はまるで本人には関係なく、修験の開祖が誰であるのかも知らない。それどころか仏舎利と聞いてロシアの大統領かと思ってしまうくらいの無信心者でもある。そしてそれを本人は別段隠してはいない。

 なぜなら長寿教の根本義はまず信じることである。

 そして、何かを信じるには先ず、良き雰囲気がなくてはならないという彼の理屈に則った、要するに修験者のスタイルはその一環なのだ。

 であるから、本尊といわれ崇められている金の仏像にも、浄土香と名付けられた御香にも、本来的になんの由緒も由来もない。平たくいえばお金さえあれば誰でも買える代物である。しかしそれでご利益がないかといえばそんなことはなく、実際新興宗教長寿教は連日大盛況だ。

 そして、ここに集う老人たちは一様に子雄に感謝している。

 ちなみに丸薬は、五粒で都心のワンルームの家賃ひと月分ほどの値段。それでも飛ぶように売れる。特別な薬品を使っているわけではない。成分のほとんどが植物由来のもののようだ。それが効く。中には先の老人同様医者も見放した病が癒えたという者もいるほどだ。

 結果日比野子雄は、一代で巨万の富を得た稀代の傑物として周囲から羨望の眼差し受けるまでになった。

 実際の彼はただの山師であり、決して聖人などではない。

 清濁両端併せ持ったどこにでもいる女装が趣味の男なのだ。お陰で最近彼の自宅のクローゼットには高級ブランドの化粧品だの香水だのが増えている。


 しかし昇り続ける陽はなく、順風満帆だった彼の生活にも蹉跌は訪れた。


 不思議な迫力のある大柄な男だった。

 四角い顔に黒の総髪。つむじのあたりで束ねた髪が何とも古風で、格好もまた古式床しい感じだった。取り巻きを数人引連れてホールに入ってきた時、子雄はまず別室に通すべきかどうかを考えた。石動の周囲にはまんべんなく気を配っていたつもりであったが、どこか漏れがあったかとそう思ったのだ。

 しかし男は別段なにをするわけでもなく、子雄の話を聞くでもなく、本尊を拝むでもなく、もちろん丸薬を購入するでもなくホールを出て行った。

 なにより不可解だったのは立ち去る男に数人信者がついて行ってしまったことだ。理由はわからない。知り合いのようでもなかったし、男がなにか言葉を発したわけでもない。

 なんなのだろう。場も若干ざわついている。

 子雄は酷く興が殺がれてしまい、その日の講義は早々に切り上げてしまったほどだ。

 軽くではあるが動悸も高まっていた。ちなみに女装癖こそあるものの、子雄は男色ではない。むしろ酷く女好きだ。

 ともかく、男の不思議な存在感は存外糸を引き、結局子雄はその晩楽しみにしていたフランス製の高級下着を着用することなく、いいだけ酒を呷って眠りに就いた。

 翌日も男はやってきた。

 そしてまた無言のまま信者数名を引き連れ立ち去った。

 翌々日もまた。

 子雄は流石に警戒し、普段から右腕として使っている女に命じ男の後を尾行させた。

 女は戻ってこなかった。

 男が来るたび、子雄の心臓の高鳴りが増していく。理解不能な反応だったが、それに抗う気力はわいてこない。

 そして何日目か。

 子雄の右腕であった女を自らの取り巻きに取り込んだ大男は口をあまり開けない独特の発声法で、石川アクシロウであると名乗った。

 そして石川は、実にいい場所だ。君が一から作り上げたのだな、気に入ったと子雄の目を見て、子雄の作った団体を褒めた。

 その時子雄は無意識にも落涙したものだ。

 耳に届く声のなんと胸躍らせることか。

 なんと魂を揺さぶる眼差しをしているものか。

 ぽんと、実に軽く石川は子雄の肩を叩いた。

 子雄は膝から落ちた。

「どうだろう。君の作出したこの場所、愚拙に譲ってくれまいか」

 子雄はすでに地べたに額をこすりつけ、肩を震わせ嗚咽を漏らしていた。

 何故そんな行動をとったのか。

 それは当の本人にもわからない。


 こうして、日比野子雄は無一文となり、それでもとても幸福な心持ちで日々石川に仕えている。


 石川はどうも、少し手間のかかる計画を抱えているらしかった。



 *


 この世の不思議なことは私が是非とも祓いましょう。


 このところ公共施設に書かれたそんな文句を散見する。祓いましょうと書いてあるわりに連絡先等は付記されていなく、つまりは落書きなのだ。こんなもの端から真剣に頼ろうという者などおるまい。

 しかし祓うとあるから、それを見た者は少し非日常な印象を受ける。

 たとえば公園の公衆便所。和式の便器で窮屈な姿勢で気張っている時目に入る文字。しかも油性ペンではなく、毛筆である。


 この世の不思議なことは私が是非とも祓いましょう。

 貴方は不可思議な出来事にお悩みではありませんか?


 仕事を辞めて一年近くなるだろうか。

 短期アルバイトを様々渡り歩きながら糊口を凌いでいる。

 餌場木公平は煙草を吸おうと腰かけたベンチの隅に達筆なその文言を発見し、鼻で笑った。

「なんだこりゃ」

 祓うと聞いて、まず公平が頭に思い描いたのは幼いころ見たアメリカの映画だ。確かあれはキリスト教の神父だったか。

 公平は自分のことを、そうした、いわゆる超常現象的な事例を頭から信じるほうではないと思っている。しかしその一方で強硬な姿勢で否定することもない。実際どっちでもいいというのが近いだろうか。理性的たらんことを常に心がけている公平としては、自分は超常とは冷静に距離を置いていると認識している。

 この世には人間以上に恐ろしいものはないなどと年配の者から聞く人生訓のようだが、公平はそれは真実だと心得ている。公平自身まだまだ年若いのだが、それなりの人生経験を積んできていると思い込んでいるからだ。

 ただ、その頑なな思い込みこそが人生の先達に鼻で笑われるの最たるものだと気付くのに、彼はもう少しの人生経験が必要だろう。

「こんなもん。嘘くせえし」

 そう呟きながらも気にしているのは、最近彼の身の回りでどうにも薄気味の悪い、実に厭なことが起こっているからだった。



 家具らしい家具のない、寝具とテレビだけの簡素な部屋に公平は住んでいる。

 家賃は安い。

 どうせ寝に帰るだけだからと値段以外は特別注意を払わずに契約した、鉄筋コンクリートの二階建てアパートである。

 ちなみに公平の部屋は二階の二○五号室。階段を上って右に折れたどん詰まりの位置だ。

 異変の兆候はすぐに現われた。

 引っ越したその日の夜。

 手伝いに来てくれた友人たちが帰り、くたびれ果てて床にもぐりこんだ深更。

 外でボールの跳ねる音がする。

 こんな時間に何してやがると、公平は携帯電話を見た。午前零時十四分。

 音は断続的に続き、不意に消えた。それだけ一度きりならば朝起きれば忘れているほどの瑣末な出来事で、実際公平は翌深夜までその出来事をすっかり忘れていた。

 それを再び思い出した理由は他でもない。またボールの音が聞こえてきたのだ。時間も昨夜と似たり寄ったりであった。しかしその時点でもまだ公平は、サッカーなら嫌いじゃないけどなと、その程度のことしか考えていなかった。

 と。

 不図思った。

 サッカーボールにしては若干音が軽いのではないか。

 バスケットボールでもない。

 バレーボール…いや、子供の頃に遊んだドッヂボールのような。

 …ゴム毬とか。


 ゴム毬?


 こんな夜中に?


 どうでもいいことだと思いながら、公平は半身を起こし、カーテンの端を捲った。

 部屋の真ん前にあるアパートの駐車スペースは半分も埋まっておらず、日中はそれこそボール遊びに興じる近所の子供たちの喚声が絶えない。

 アスファルトの上、薄れた白線を緩い光で照らす外灯。

 誰もいない。

 音も消えていた。

 少しだけ気味が悪い。

 音といっても騒音というほどではなく、意識しなければ無音に等しい。

 実害はこれっぱかりもない。それなのに。

 その翌日もまた。

 しかしその夜は、公平はしたたかに酔っていた。久しぶりに会った学生時代の友人のおごりに気を大きくし、足取りも怪しくなるほどに酒を飲んだのだ。

 アパートに戻りシャワーを浴び、寝床の上で一服点けた、その時だ。

 ぽん、ぽん、ぽん。

 聞こえる。

 さすがに三度目ともなれば幾分馴れが生じるのか、それとも酒気が気を大きくしたものか、真っ暗な部屋に見るつもりのない通販番組を映しつつ公平は煙とともにこういった。

「はは、またはじまったな。オイ一緒に遊ぶか?」

 音がやんだ。


 翌日。

 駅前でのティッシュ配りのバイトを終え、公平は普段と同じくオレンジ色のコンビニで煙草と弁当とアイスを買い帰宅した。

 ゴム毬の話はメールなどで数人にしていたが、特にこれといったリアクションはない。

 それもそうだろうと発信者の公平も思う。

 なんとなく薄気味が悪い程度の話では、話を振られたほうも返答に困るというものだ。しかしそれが公平にはつまらない。そしてそんな、他人から注目されたがる自己偏愛の強い自分の性格を公平は把握していない。

「ありきたりのじゃなくってさ、濃いィの来いって」


 夜。

 三度ボールの音が聞こえた時間帯に、公平は目を覚ました。

 暗くなくては寝られぬ公平は真っ暗な室内で耳を澄ませた。しかしその日に限って待てど暮らせどボールの音は聞こえない。

 いや。

 ボールの音はしないが。

 なにか固いものを叩く音が、かすかに聞こえる。

 遠くの方で、かんかん、と。

 鉄と固い物がぶつかるような音。

 かんかん、かんかんかん。

 ノック、だろうか。

 大方どこかの部屋の亭主が夜半に帰宅して女房に締め出しを喰らっているのだろう。

 深夜にゴム毬が弾む音は確かに不可解だが、かといってそれとこれとをごっちゃにしてはいけない。自分は冷静で理性的な男なのだからと、公平は枕もとの煙草に手を伸ばした。

 オイルライターの蓋を開け、灯す。

 一瞬自分の部屋が朦朧と浮かび上がった。その時に周囲の様子を具に目で見回したのはご愛敬というものか。

 かん、かん。

 遠くにノックの音はまだ聞こえる。

 しかしゴム毬の音は聞こえない。

「ふん」

 公平は煙草をもみ消して、再び眠りに就いた。


 そんな日がそれから四日続いた。

 なんとなくであるがノックの音が近づいて来ているようにも思う。しかしそれは気のせいだと、公平は無根拠に思っている。


 そして。

 毬突きの音が聞こえなくなって六日目の深夜。

 いつもの夜よりはっきりとノックの音が聞こえてきた。

 かんかん、かんかんかん…

 音の感じが昨夜まで聞こえていたのと違う。随分とはっきりしている。


 どうやら同階、か。


 昨晩までは何者かは下の階を軒並みノックしていたようだ。

 公平は寝床の上で胡坐を掻き、少しだけ落着きをなくす。

 とりあえず考えてみる。どうしてこう、毎夜毎夜ノックの音がするのだろうか。

 一箇所、特定のひと部屋で連夜聞こえているのならわかるが、明らかに音は移動している。

 昨夜までは確かに一階で聞こえていた。

 しかし今日は違う。

 自分の部屋のある二階でその音が、

 かんかんかん。

 する。

 ただ、ゴム毬の音と同様取り立てて実害はない。音の大きさとてそれほど気になるものでもない。要するに気にするかしないかの問題だろう。

 かん、かんかん。

 放っておけば自然と止むのだ。

 誰かが扉の向こうの誰かに何かしらの用事があって為す行為。音が止んだというのは要求が叶ったということだろう。

 ドアの開く音は聞こえたことはないが。

 つらつらとそんなことを考えているうちノックの音はやみ、いつの間にか公平も再び眠りに落ちていた。

「ここもちがーう」

 だからそんな子供の声も、公平には聞こえていない。


 翌朝。

 公平は実に不快になった。

 アルバイトに出かける前に、自分の暮らす二階部分と、その真下の階一階部分の廊下を歩いてみたのだ。

 戸数十戸。

 埋まっていたのは、公平の部屋を含めて三軒。

 それではあの、連夜のノックはいったい誰が何の目的で行っていたというのか。

 一番簡単な理由づけは、いたずらである。

 時間が時間であるから、酔っ払いあたりが想定できよう。

 しかし、仮にそうであったとしても。

 毎夜毎夜深夜。


 夜。

 公平は起きていた。

 部屋は明るい。

 煙草も、続けて何本も火を点けては二口ほど吸い、消し、また点けるを繰り返している。


 かんかん、


 聞こえてくるノックの音。

 そして案の定。

「近くなってる…マジかよ…」

 公平の二の腕が粟立った。

「畜生。なんだってんだ畜生」

 公平は矢庭に立ち上がりドアに向かって走る。

 あれほど実害はないんだとおのれにいい聞かせてきたにもかかわらず、公平の狭量な器ではもう限界だった。

 勢いドアを開け、廊下に。


 誰もいない。


 蛍光灯の明かりに照らされた、白化したコンクリートばかりが矢鱈に目につく。


 公平は実にゆっくりと肩の力を抜いた。

 確実に音が近くなっている。


 いずれあの音は自分のところにもくるのだろうか。

 しかし、何故。

 隣を見ると、アルミ製の格子越しの曇り窓から明かりが漏れていた。そこから聞こえる食器を洗う音に、公平はとても救われる思いがした。

 隣室には住人がいる。少なくともこのままいけば、自分の部屋に何者かがやってくる前に隣室を挟むはずだ。それで何かがわかるかも知れない。いたずらならそれでいい。変質的な何者かであったとしても、面倒事は自分の前の顔も知らぬ隣人で止まる、はずだ。

 公平は部屋に戻り、また煙草に火を点けた。

 そしてそれを待っていたかのように再び、


 かん、

 かん、かんかんかん…


 順序通りに来ているのならば音は二○三号室。


 そして昨晩。

 ついにノックは隣室を訪れた。

 公平はその瞬間をドアに貼り付き固唾を飲んで待っていた。

 はたして隣人は(どうやら若い夫婦のようだ)いったいどうするのだろうか。


 かんかんかん。


 ………。


 かんかん、かんかん。


 …どなたですか?


 沈黙ややあってドアを開ける音。


 …どこの子? こんな時間にどうしたの?


 子? 子供?


 …お母さんは?


 子供がこんな時間に延々ノックして回っていたというのか?


 …ボクお母さんは?


 ………。


 …え? なに? なんていったの?


「いねえッつってんだろ!」


 突然の野太い怒号に公平は腰を抜かすほど驚いた。

 とてもではないが、子供の声には聞こえなかった。

 しかしさすがに恐怖が勝り、公平は動くことができない。


 酷い静寂。


 まんじりともしない時間は遅々と過ぎ、カーテンの向こうが白みはじめてきた。隣室はどうなったのだろうか。確かめたくとも未だ動けずにいる。しかし、このままだと明夜、あの恐ろしい声の主がこの部屋を訪れるのだ。


 怖い。


 公平は急な息苦しさを感じて、外の空気を吸おうとカーテンを開け


 窓にはべたべたとたくさんの子供の手の跡が

「ぅわあああああああああっ!」



 今晩…

「今晩おそらく」

 公平の目の前に座す山伏のごとき男は、長い顔を右に左に傾けて薄い笑顔で聞いている。

「今晩おそらくそのノックが自分の家に」

「やってくると」

「はい」

 結局餌場木公平にはこのような状況の時頼る場所が思いつかなかった。

 親兄弟は近在にはおらぬし、友人にはみっともなくて泣きつけぬ。

 しかしそれでも、いくら巷で評判だからといって奇跡の健康を売りにしている宗教団体の無料相談会に顔を出してどうにかなるものでもないと思う。

 つまりは公平は混乱していた。

 公平の目の前の日比野子雄と名乗った行者風の男は、なんとも面妖ですねと、場違いな相談者の対応に若干苦慮している様子だ。

「ええと、エバキさん。あなた再三いってましたが、実害は今のところないのでしょう?」

「それは、まあ」

 怖いからどうにか欲しい。公平の望みはそれだけだ。

 隣室のドアにも、公平の部屋同様子供の手の跡が無数に付着していた。


 安っぽい電子音が立て続けに三回鳴った。

 どうやら無料相談の制限時間が訪れた様子。

 日比野は薄い苦笑いをして、

「もし何かありましたら、またここへ来て下さい」

 とだけいって、やんわりと公平を室外へと誘導した。結局具体的な解決策は一切提案されないまま。しかしそれは仕方ない。ここはそうした場所ではないのだ。

 廊下に出た公平の目に、所狭しと居並ぶ年老いた相談者たちの姿が入ってきた。

 なんだかとても厭な気分になる。

 どうしてこんな生き意地の汚い連中に邪魔されるのだと本気で思う。軽く睨みつけるが、老人のひとりに見返されると、公平はすごすごと宗教ビルを後にした。

 外は暑かった。

 今日は漫画喫茶で夜明かしでもするかと、そう思っている。


 なんて俺は不幸なんだ、と公平は頭を抱えた。

 肩を叩かれた。


「この世の不思議なことは私が是非とも祓いましょう」

 振り向くとそこには菩薩顔の男が立っていた。

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