小規模名作劇場「黒ずきん」
黒ずきんはお殿様の命を受けて、密書を森の向こうのおばあさんに届けることになりました。
「この密書を頼むぞ」
「御意!」
さっそくおばあさんの家に向かった黒ずきん。森の中を匍匐前進していると前方に狼が現れました。
「曲者!」
黒ずきんはまきびしを周囲にばらまいて退路をふさぐと、匍匐前進で逃走。全身まきびしまみれで転げまわりました。
狼はそれを見て逃げました。
一方おばあさんは黒ずきんが来るのを今か今かと待っていました。
そこへ狼が現れて、おばあさんに襲い掛かりました。
「ひゃあああ」
なんとおばあさんは狼に食べられてしまいました。
それから狼はおばあさんが着ていた服を着てベッドにもぐりこみ、黒ずきんも食べようと企みました。
しばらくしてまきびしまみれで全身血だるまの黒ずきんがおばあさんの家にやって来ました。
黒ずきんは頭までふとんをかぶった狼に話し掛けます。
「ババ殿! いかがなされた!」
「がるるる」
「その大きな口は一体……?」
「がるるる」
「その毛むくじゃらの手はどうされた」
「がるるる」
「むっ、さては貴様ババ殿ではないな!」
黒ずきんはまきびしを辺りにばらまいて狼を逃げられなくしてから匍匐全身。
案の定黒いずきんが赤く染まりました。
一方狼はベッドの上で勝利の雄叫びをあげます。
「がるるる」
そこへ猟師のおじさんがやって来ました。
「大丈夫かーお前らー」
猟銃を構えて飛び込んできたおじさんは、タンスの角に足をひっかけてまきびしの海にすってんころりん。
はずみで猟銃が暴発して部屋が真っ赤に染まりました。
めでたしめでたし