その2
少女が建物に入ってから十五分、すでに生存者は残り一人となってしまっていた。三階にいるの局長のみである。警備員はまともな装備をしていたが、職員はただの一般人だ。銃を持つ相手になにができるというのだろうか。
「……局長室」
目の前にある部屋の扉にはそう書かれた看板がかかっていた。他の部屋はすでに探索を終え残りはここだけだ。この部屋に少女の探す人物がいる。
彼女はためらいもなくドアノブを捻り、部屋の中に入る。最初に目に入ったのがこちらに背を向け机に手をかけている男。その男はどこかと電話をしていたが、すぐに少女に気が付くと脂汗をその額に滲ませながら手に持っていた受話器を落とす。
「お前……」
男が何かを言うよりも早く少女の銃が火を噴く。正確にはオイルフィルターを改造したサイレンサーを装備しているのでいわゆる銃声はほとんどない。
銃口から発射された九ミリの弾丸はフィルターを通過し、オイルを周囲にまき散らしながら男の膝へ命中する。彼は体を支えることができずその場で地面に倒れこんだ。
少女はゆっくりと男へ歩み寄り、右手に持つ拳銃の銃底で彼の側頭部を殴りつける。殴られた男は安物のカーペットを舐めることとなった。




