27話
翔君たちが来て、僕は翔君たちに何があったのかをできるだけ簡潔に伝え、僕らは今近くの神社の前まで来ていた。
「佐渡ここで何するんだ?」
翔君が真底不思議そうに尋ねてきた。
ほかのみんなもなんで早く両親のもとへ行かずに神社へ来たんだという顔をしている。
「どうせなら神様にお祈りしていこうと思って」
僕は至極当然のことを口にした。
だって神社に来てお祈りってふつうだよね?
「はあー……なんか佐渡らしいわ」
間宮さんが呆れたようにつぶやいた。
「リーダー!!!!」
広志君大きな声を出しながら大きく一歩前に出た。
「神などに頼らずとも我に言っていただければ魔術でどうにかしてみせまぶぎゃ……」
「このバカは放っておいて早くお祈り済ませましょ」
間宮さんの突込みという名のチョップが広志くんの眉間に叩き込まれた。痛そう。
僕はポケットにねじ込んである財布を取り出し、みんなに五百円ずつ配った。
みんな遠慮して自分で出すとか、こんなに賽銭するのかとか言っていたけど、どうにか説得して僕の財布からお金を出すことになった。
「じゃあみんな。せーのっ。で入れようか。せーの!」
僕の合図でみんな一斉にお金を賽銭箱へ入れる。
そして同じタイミングで両手を合わせる。
たぶん今みんなが願っていることは同じ。
彼方ちゃんの両親が無事に助かりますように、だ。
しばらくしてからみんな合わせていた両手を離した。
「こんなもんだろ。これで救われなきゃ神なんて死んじまえ」
翔君が言った。
「ほんとね。どうにかしなさいよ神様」
間宮さんが同意して続ける。
「神は死んだ」
広志君がいつものようなことを言った。
でも、今その言葉は不吉だからやめてほしい。
「これで大丈夫ですよね? 佐渡さん」
そして彼方ちゃんが心配そうに僕を見た。
僕の答えはもちろん
「大丈夫だよ。これだけみんなでお願いしたんだもん。それに彼方ちゃんのいつものいい行いを神様が見ていてくれたのなら絶対に大丈夫」
「そうですよね! 大丈夫ですよねっ」
今までで一番輝いてる彼方ちゃんの笑顔を僕はようやく見ることができた。
「さあ行こうか彼方ちゃん」
「はいっ。佐渡さんっ」
みんなで神社の階段を下りる。
すると間宮さんが話しかけてきた。他のみんなは少し先を歩いている。
「ちゃんと答え見つけたのね佐渡」
「うん。最初は全然わからなかったけどね。でも今のこの結果は間宮さんのおかげだよ」
間宮さんにお礼を言った。
間宮さんが居なかったら僕はきっと彼方ちゃんと心を割って話すことができず、僕は彼方ちゃんのことを何もわからず、彼方ちゃんはこれからも一人苦しんで両親の帰りを待つことになっていただろう。
下手をしたら僕と彼方ちゃんの関係はそこで終わり、僕は彼方ちゃんのことで心を痛め、彼方ちゃんは両親を失い、頼る人もいない状況で一人泣いて人生を過ごすことになっていたかもしれない。
そう思うと間宮さんに頭が上がらない。
「そんなことないわよ。答えはあんたが見つけたの、私は少しヒントをあげただけ」
間宮さんは少し照れくさそうに顔を背けながらそう言った。
「そんなことないよ。僕はいつもみんなに助けられてばかりだ」
本心からそう言った。
僕は一人じゃ何もできない。
いつもみんなに助けられている。助けるなんて言っておいていつも一人じゃ何にもできない。
「そんなことないって言ってるでしょ。現に私たちはみんな佐渡に救われてる。自分じゃどうしようもできなくて諦めてしまったことを佐渡はバカみたいな親切心で助けてくれた。これでも、感謝しきれないほど佐渡に感謝してるのよ。たぶんあいつらも……」
そう言って前で楽しそうに笑って話している翔君たちを間宮さんは見た。
間宮さんの言った僕が助けたというのはおそらく僕らが初めて会った時のことだろう。
翔君も、間宮さんも、広志君も、みんな最初に会った頃はみんな違った悩みを抱えていた。
僕はそれをどうにかしたくて、みんなの笑顔が見たくてみんなの悩みに強引に割って入った。
もちろん僕に助けたなんて気持ちはない。
僕がただやりたくてやったことだと思っている。
そしてみんなと友達になれたんだから僕に後悔なんてない。
ちなみにその時はどうにか無事にことを終えることができた。もちろんみんな笑顔で。
でも、これはまた別の話……
「ありがとう」
「なんで佐渡がお礼言ってるのよ」
間宮さんがおかしそうに笑った。
「だってやっぱり間宮さんが居なかったらやっぱり僕ダメだったと思う。だから……友達になってくれてありがとう」
「バ……バカっ、あんたよくそんな恥ずかしいこと真顔でい言えるわねっ」
顔を真っ赤にしながら間宮さんが言った。
僕そんなに恥ずかしいこと言ったかな?
「それにいつもの……『他人の気持ちになって考えて、みんなが一番幸せになれる方法で救う』佐渡じゃないとこっちもなんか調子が狂うのよ」
「ははは。僕はそんなにすごい人間じゃないよ」
謙遜でもなく僕はそう答えた。
だって僕はただみんなが幸せでいられればいいと思っていつも行動しているだけだから、僕はそんな大きな人間じゃない。
でも間宮さんの考える一番僕らしい僕がそんな僕なら僕はそれを誇りに思おう。
「それがあんたのいいところよ。ほらお姫様が呼んでるわよ」
そう言って間宮さんが前を見るのに続いて僕も前を見る。
前には僕の大切な友達と元気に手を振っている彼方ちゃん。
「ほら、またいつもみたいに彼方ちゃんも救っちゃいなさい。佐渡誠也」
間宮さんが僕の背中を押す。
「いい返事期待しててね!」
「はいはい、楽しみに待ってるわよ」
間宮さんは適当に手を振りながら僕にそう言った。




