19話
それから僕らはこの遊園地をできる限り楽しんだ。メリーゴーランド、コーヒーカップ、お化け屋敷、ジェットコースター、などなど、この遊園地にあるアトラクションというアトラクションに乗り、できる限りのパレードのようなイベントを見て楽しんだ。
そして楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまうもので気が付けば夜の八時を回っていた。
「ねえ、佐渡、もうそろそろいい時間だし、明日も大学あるんだから次で最後の乗り物にしない?」
「そうだね。帰るのにも時間かかるし、その方がいいかも。それじゃあ最後に何に乗る? 大体の場所は回ったと思うけど」
「そりゃあ遊園地の最後の乗り物と言ったら決まってるじゃない?」
「え?」
「観覧車よ。かん・らん・しゃ」
間宮さんの意見で最後の乗り物は観覧車に決まり、僕たちは少し速足で観覧車に向かった。
観覧車の前まで来ると、列はそこまで長蛇になっておらず、数分並べば乗れるくらいの長さだった。
この観覧車は一回り十分くらいだって書いてあったからたぶん次の一回に乗れると思う。
「案外観覧車空いてるみたいね。正直、定番だしこの時間だから一時間くらいは覚悟してたんだけど」
「そうなの? 確かにこれだけ大きいから名物と言えばそうなんだろうけど、遊園地で一番人気かって言われたらそうでもないように思うんだけど」
「それは一番人気ってわけじゃないでしょうね。私が言いたいのは恋人とかにとって定番ってことよ」
間宮さんが観覧車の頂上の辺りを見ながら言う。
「ほら、恋愛もののドラマとかで遊園地デートの時に最後に観覧車に乗って頂上でキスって定番じゃない? だからもう遊園地が閉園になるのも近いし、もっと混んでるかなーって思ってたのよ」
間宮さんにそう言われて列を見てみると確かに男女二人のカップルが多い。中には家族で並んでいる人もいるけど、割合からすれば九割はカップルだ。みんな腕を組んだり、手をつないだり、なんというか恋人らしいことをしている。
「えっと、間宮さんはなんでそう考えてるのに僕と一緒にこの時間に観覧車に乗ろうと?」
さすがに僕もバカじゃないので間宮さんが僕をそう言った恋愛感情で好きだなんて思わない。けど、それと同時に間宮さんがなんでカップルが多いであろうこの時間に観覧車に乗ろうと言ったのかもわからない。
「なーにー? もしかして佐渡、今の私の話聞いて照れてる? そういうこと私としたいなーって思って、想像でもしてる?」
「いや! 別にそういうわけじゃないけど! あー! でもでも、間宮さんとそういうことするのが嫌なわけでもなくてー」
「あはははははは。心配しなくてもそんな勘違いしないわよ。佐渡がそういう人間だってわかってるもの」
「あ、うん。でね、だからこそ、なんで僕なんかと一緒にこの時間に観覧車に乗ろうと思ったのかなって。こういう大切なことはやっぱり本当に好きな人とやった方がいいんじゃないのかなって」
「あのね、佐渡。私だって相手は選ぶわよ。ここにいるのが九重とか、山中だったらこんな時間に観覧車に乗ろうなんて言わないわよ。というか二人でここに来ようとも思わないわね。私は―――佐渡だから乗ろうって誘ったの。だからあんたの言うようにせっかくのことを大切な人と最初にしないのはもったいない。みたいなことはないわよ」
「……え? それってどういう……」
「あ、私たちの番みたいよ」
こと、そう言葉を繋げる前に僕らの番が回ってきてしまった。
観覧車に乗ってからも、僕が何度かさっきのことなんだけど、って聞こうとしても間宮さんはまるでもうその話は終わり、というようにすぐに話を切り替えてきて、もう話してくれる様子はない。
聞くことを諦めた僕はおとなしく観覧車を楽しむことにした。
観覧車はゆっくりと、それでいて確実に頂上に近づいていき、観覧車の中から見える夜景は綺麗で、華やかだった。
街はネオンの光で鮮やかに彩られ、近くの海は静かな波音を立てながら、この遊園地の明かりを受けて幻想的に小さく輝いている。
遊園地でももうそろそろ閉園の合図である花火が上がり始め、下にいるほかの人は入口の方へ向かってぞろぞろと歩き始めている。
高さ、角度が変わるごとに見え方の変わる綺麗な景色。間宮さんが言っていたカップルがこの時間に観覧車に乗るのは定番、というのもわかる気がする。
自分の好きな人と、大切な人と、こんな景色を見れたら、と、きっと誰もが思うはずだ。
綺麗な景色を見て、同じものを自分の好きな大切な人が見て、同じような感想を抱いて、同じような気持ちになって、お互いの気持ちを確かめ合う。
そんな思いを誰もがしたいと思うだろう。
そうこうしているうちに僕らの乗っているゴンドラが頂上付近に差し迫っていた。
「ねえ、佐渡。今日の劇でさ、佐渡、感想言ったじゃない?」
間宮さんが突然、観覧車の感想ではなく、劇でのことを持ち上げてきた。
「う、うん。言ったね」
「あの時言ってたさ、大切な人って、守りたい人って―――誰?」
間宮さんにそう言われて僕は一瞬何を言われたのかと思考がフリーズした。
「えっと、それはどういう……」
どうにか振り絞った言葉もこんな情けない言葉だった。
「どういうって……言葉通りの意味よ。あの時佐渡が言っていた大切な人、守りたい人って―――誰?」
間宮さんの透き通った綺麗な瞳が僕を捉えて離さない。
普段の僕なら緊張なり、困惑なりで目線を逸らして、アタフタとその時思いついた言葉を適当に並べ立てることくらいしかできないのに、間宮さんはそれすらもすらも許してくれない。
逃がさないというような真剣な瞳が、僕が視線を、顔を逸らすことを許さない。
いつもならいくらでも出てくるアタフタとした言葉も一切浮かばない。
それくらい間宮さんの瞳は真剣で、純粋なものだった。
「それは―――」
「それは?」
働かない頭を無理やり働かせて、自分なりの誠意の籠った言葉を選び、紡ぎだそうと必死になるも空しく、言葉は浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返し。
「誰なの、佐渡」
間宮さんに再びそう問われて、僕は大きく深呼吸した。
落ち着け、落ち着くんだ佐渡誠也。なにも間宮さんは僕を困らせるためにこんなことをしてるわけじゃない。きっと、間宮さんなりに何か気になることがあって、でも、それが自分だけじゃわからなくて、答え合わせをしたいだけなんだ。
確かに間宮さんの表情も瞳も真剣そのものだ。だから、僕はそれに精一杯の答えを持って返さないといけない。
でも、僕は元から考えるのが苦手なんだ。考えれば考えるだけ空回りして、ずっこける。だからその場その場の思ったことを間違いじゃないって信じてきたんだ。
今回だって同じだ。考えるから何も出てこないんだ。今思ってることをそのまま、変な改変を加えることなく話す。それだけでいいんだ。
「間宮さん。間宮さんの質問に対しての僕の答えは"みんな"だよ」
そう。これが今の僕の精一杯の答え。
「そのみんなは、翔君、広志君、彼方ちゃんに奏ちゃんに桜ちゃんに安藤さん、両親に妹の芽衣、そしてもちろん間宮さん。でも、間宮さんの聞きたいことはたぶんそういうことじゃないんだと思う。僕にはその間宮さんの本当に聞きたいことは悪いんだけど、わからない。僕は考えると変に空回りするし、今言ってることだってその場の思い付きみたいなもので、考えなしに今思ってることを何も考えずに口にしてるだけなんだ」
間宮さんの瞳が何も言わずに僕を捉え続ける。
「こんな僕だけど、それでもみんなを守りたいって思う。大切だって思う。困ってれば助けてあげたいし、誰か一人でもかけたら、たぶん僕は年甲斐もなく泣くと思う。誰かだから助けたい、誰かだけが大切、なんて僕には思えないよ。もし、彼方ちゃんが何か困ってて、同じ時間に間宮さんが困ってたら僕はどうにかして二人を助けたいって考えると思う。みんなに無理だって言われても抜け道を探すと思う。それは二人とも大切で、どっちかを選ぶことなんてできないからで、これからもきっとこの気持ちは変わらない。だから、僕の答えは大切な人も、守りたい人も同じだよ。大切な人も"みんな"で、守りたい人も"みんな"だ」
思ってることは全部吐き出した。
―――いや、もう少しだけ残ってる。
「でも、さっきの劇のことで、守りたい人に限って言えば僕の答えは間宮さんだ」
「……」
「僕が今一番守りたいって思ってるのは間宮さん―――君だ」
間宮さんは無言のまま僕を見ている。
「それは間宮さんが今事件に巻き込まれてるからってだけじゃないよ。うん、さっきの言葉には語弊があった……僕はずっと前から間宮さんが心配だったんだ」
僕は少し昔を思いだしながら言葉を紡ぐ。
「間宮さんに最初に会った時はすごいなって思ったよ。なんでも自分一人でできて、僕なんかじゃ思いつかない方法で問題を解決して、考え深くて思慮深い、そんな間宮さんに一種の憧れがあったよ。今でも少し憧れてるくらいだしね。でも、それと同時に僕は間宮さんが心配だった。特に、一緒に時間を過ごすようになってからは」
高校の時から間宮さんはすごかった。学校の成績はもちろん、たまに広志くんが披露してくれた推理物のアニメの話しを聞いただけで事件を解いたり、落とし物の場所を簡単に突き止めたり、何でもないようなことに聞こえるかもしれないけど、僕からすれば名探偵みたいに見えていた。
でも、間宮さんと一緒に過ごしていくうちにある不安も募っていったんだ。
「間宮さんは頭がいいから何でもできた。僕らに頼るまでもなく、自分で全部背負って解決してきた。間宮さんはそれを自分のことは自分でやるのは当たり前でしょ。って言ってたけど、やっぱり僕は心配だった。今回の件だって間宮さんはたぶん何か自分だけで解決できるような方法を考えていたんだと思う。ただそれを僕達が防いだだけなんだと思う」
たぶん、間宮さんは今回の件も何らかの作戦は考えていたんだと思う。それが会社を訴えるような作戦だったのか、どうにかお金を返し切る作戦だったのか、はたまた僕には及びもつかないような作戦だったのか、それは今でもわからない。
「でも、僕にはそれが心配なんだ。一人でできるから、一人でも解決できるから、そう言ってみんなでやれば簡単にできることを一人で背負っちゃう間宮さんが心配なんだ。間宮さんのことが大切だから」
「でも、佐渡は私以外が困ってても同じように助けるのよね。今回の件で言えば、私があの子の頼みごとをちゃんと佐渡達にも言ってれば、佐渡は今と同じように考えて、動いたのよね。あの子を助けるために。あの子の笑顔を見るために」
「それは―――」
「それは?」
僕は言うか言わないか一瞬迷ってから、固唾を飲み込み、結局言うことに決める。
「それはたぶん。違うと思う……」
「本当に違うのかしら。私は絶対に佐渡はあの子を放っておけるとは思えないんだけど、なにが違うのかしら」
「うん。間宮さんの言う通り、僕は絶対に今回の件で彼女が困ってても助けたよ」
「ほら、なら一緒じゃない。私でもあの子でも助ける、そこに違いなんてある?」
「あるよ」
間宮さんの鋭い視線が痛い。
僕が逃げられないように視線という武器で僕の逃げ道を確実に塞いでいく。
「ふーん。どんな違いがあるのかしら?」
正直、こんなことは言いたくない。
だって、今僕が言おうとしてることは、ある意味で最低な発言で、自分勝手で身勝手な意見で、状況と場合によっては最低なんて言葉では足りないくらい非道な発言だ。
「それは―――僕にとって彼女の存在と間宮さんの存在の重さが違うからだよ」
「―――え……?」
間宮さんが面を食らったような顔をした。
「僕は間宮さんのことを知ってる。それは何から何まで全部って奢り上がるつもりはないけど、間宮さんという人間を知ってる。どんな人で、どんなことが好きで、どんなことで喜んで、どんなことで悲しんで、どんなことで傷付いて、どれだけ優しくて、どれだけ友達思いかを知ってる。一緒に過ごしてきたこの数年の間宮さんを知ってる。でも、僕は彼女のことを何も知らない。―――名前すらも」
僕は間宮さんのことを教えてくれた彼女のことを何も知らない。
「僕は彼女が間宮さんのために何も言わなければ間宮さん以外に誰にも知られなかった自分の罪を、特に知らない僕たちに間宮さんの友達だってだけで教えてくれた。もちろん、そこには彼女が自分の罪の重さから解放されたかったっていう思いもあったのかもしれないけど、僕は彼女がそんな自分勝手な理由から僕らに事情を話してくれたんじゃないって信じたい。でも、それは知ってるんじゃなくてあくまで推測で、ただの願望だよ。僕は彼女についてこの程度しか知らないんだ」
間宮さんから何も言われないので話を続ける。
「僕は本当に彼女を知らないんだ。あの時名前も聞かなかったし、僕が彼女のことで知ってるのは彼女がたぶん優しい心の持ち主だっていうことと、間宮さんの友達だってことくらいだよ。だからたぶん、僕は彼女があのままアトフィックに縛られていたとしてもここまで心配してなかったと思う。心配はしただろうけど、たぶん僕は間宮さんと同じように彼女を心配できない」
我ながら最低だ。
知ってる人と知らない人を天秤にかけて、自分勝手な感情で人間にランクを付けて、同じ行為をするのに思いやりの量が違う。
極端な話、僕が言っているのは自分の身の回りで困ってる人が入れば感情移入して悲しめるけど、ニュースなんかで誰かが困っていても悲しい気持ちになるだけで感情移入などできることなく、ただ悲しい出来事だったと片づけるということなのだ。
今回の件で言えば間宮さんが僕の身近な人で、彼女がニュースで見た遠いところで困ってる僕の知らない人だ。
「……それは仕方のないことよ。誰だって佐渡と同じように考えるわ……」
そうなのかもしれない。
間宮さんの言う通り、僕の考えはごく一般的な考えで、みんな同意見で、当たり前のことなのかもしれない。それでも僕は―――
「それでも僕は、自分がこんな考えを持ってるってことがなんだか悲しいんだよ……」
ここでようやく間宮さんの視線が僕から逸れた。
間宮さんは下を向き、何かを考えてるように見える。
「佐渡、私も今から最低なことを言うわよ」
間宮さんが顔を上げて、そう断りを入れてから改めて口を開いた。
「佐渡が否定してるその考え方で救われている人もいるのよ」
「……え?」
「人と人とを天秤にかけて、自分の方が大切だって言ってもらえて、喜ぶ人もいるって言ってるのよ。現に、私は今回佐渡が私と香を天秤にかけて私を迷わずに選んでくれたのにすごい嬉しいと感じてる。もし、佐渡の答えが私も香も同じくらい心配だって答えてたらきっと……ううん、絶対に私は悲しんでた」
「それはどうして……?」
「それは自分のことを大切だって思ってくれている人がいる。大切だって言っている人がいる。たった一言"大切"って言ってくれている人がいるってだけで、救われる人もいるのよ」
間宮さんの言葉の意味が僕にはよくわからなかった。
だって誰かに大切だって言ってもらえた人は嬉しいかもしれないけど、誰かに誰かより大切じゃないって言われた人は悲しいじゃないか。僕はそう思わずにはいられない。
「たぶん佐渡には今の私の言葉は理解できないでしょうね。佐渡は誰かが傷付いているのが許せないもの。誰かが助かって誰かが傷付いたら意味がないって考えてるでしょ」
「うん……」
「でも、私は嬉しいの。だって、香より私の方が大切なんでしょ?」
そう言って間宮さんが笑顔で俯く僕の顔を覗き込むようにして見てくる。
「そ、それはもちろん! 僕にとって間宮さんは大切な存在だよ! いないと困るくらいに大切な存在だ!!」
勢いのあまり立ち上がって僕はそう宣言した。
この言葉にだけは嘘偽りがない。
「ならそれでいいじゃない。佐渡が私を大切だと思ってくれてて、それで私は嬉しい。それでいいじゃない」
「でも……」
間宮さんの言いたいことは理解している。でも、どこかで引っかかって納得ができない。
「ねえ、佐渡。観覧車に乗る前に、こういう大切なことは大切な人とって言ってたわよね」
「うん」
「今回のこともそれと同じなんじゃないかしら?」
「え……?」
「だから誰にでも大切って思われたいわけじゃないんじゃないかしら、ってことよ。まったく知らない人から親切にされるのはいいかもしれないけど、いきなり知らない人から君が大切だ、とか言われても嬉しくないし、むしろ気味悪いじゃない。だから、佐渡が無理してよく知らない香のことを大切だって思ったりしなくてもいいんじゃないかしら?」
「あっ……」
間宮さんの言葉一つで今まで引っかかっていた突っかかりが取れて、すべてが納得いったような気がした。
「―――そうだね。間宮さんの言う通りだ」
自分で言っておいて、自分で忘れていたなんて。
さっき間宮さんが言ってたことなのに、誰でもいいってわけじゃない。
間宮さんの言う通り、知らない人から大切にされるっているのは言っちゃ悪いけど、なんだか気味が悪い。まったく知らない人から大事にされるのは僕でも嫌だ。
「間宮さん」
「ん? なにかしら?」
僕は間宮さんにお礼を言うことにした。
「やっぱり僕、間宮さんのことが大切だよ。うん、僕は間宮さんのことが好きだ。ううん、大好きだ」
「……は……?」
「だから、僕は間宮さんのことが大好きだよ」
「佐渡何言って……」
「自分が辛い時でも人のことを心配できて、誰かの心を救えて、優しくて、でもたまに厳しくて、そんな間宮さんが僕は好きだよ」
「ちょっ!? 佐渡、あんたここがどこでどういう状況かわかってんの!?」
なにやら間宮さんが慌てふためいている。
僕は言われた通り今の自分たちの状況を整理してみることにした。
僕達がいるのは観覧車のゴンドラの中、時刻は夜、乗った理由は間宮さんが乗りたいって言ったから、それで観覧車っているのは――――
「あ、あ、あ、あ……」
ようやく間宮さんの言ったことの意味に気が付いた。
ここは夜の観覧車の中で、間宮さんは観覧車に乗る前にこういったことを言っていた。
夜の観覧車の頂上付近って告白の名所よね。
観覧車はほとんど回りきっていて、とても頂上付近とはいいがたいけど、状況は夜の観覧車で男女二人で、僕が間宮さんに好きだと言った。
まるで、告白しているみたいに―――
「あー、ちちち、違うんだよ。間宮さん!! 好きっていうのはそういった恋愛感情からのじゃなくって、あー、でも間宮さんは魅力的だと思うし、間宮さんみたいな人が彼女だったらいいなって思うけどもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 何言ってるんだ僕はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
「あーもう! いいから! わかってるから! 深呼吸しましょう、深呼吸!!」
「そうだね! 深呼吸! 大事だよね深呼吸!!」
こうして二人で深呼吸しているうちにゴンドラは回り切り、僕たちの観覧車での時間は終わった。