プロローグ
約半年ぶりの更新です!
この作品を待っていてくれた方々には大変ご迷惑をおかけしました!
これからもよろしくお願いします!!
「そう言えば私たちって、みんな何らかの理由で佐渡に救われてるわけよね?」
大学の講義の空き時間、私と九重と山中は大学内の休憩スペースで自販機で買った飲み物を飲みながら三人で話していた。
佐渡は今の時間講義を受けているのでここにいるのは次の講義まで時間の空いている私たちだけ。そんな状況だったからだろうか。
私はふと、そんなことを口にしてしまった。
「そうだな。お互い理由なんて聞かなかったし、そんなこと関係なくしに誠也の友達なら俺の友達だからな。理由とかそんなのどうでもよかったよ」
九重が炭酸のジュースを飲みながら自分の意見を口にした。
そんな九重の話を聞いたからか、山中も夢中になってやっていたスマホのアプリを止めて、話しに参加してきた。
「そうでありますな。自分の場合、佐渡殿と友になったのが一番遅かった故、すでにお二方が居たわけであったが、それでも佐渡殿の友とあれば、我は二人を信用できた」
広志も言葉遣いはふざけているものの、話している内容に関しては至って真面目だ。
「私だってそうよ。私も人付き合いなんて糞くらえって思ってたけど、佐渡の友達なら九重を信用できたし、その後に入ってきた山中も信用できたわ」
「なんだよ間宮、お前らしくもなく、俺らを褒めてくれるじゃないの」
九重がいつもの軽口で冗談を言ってくる。でも、半分は本音なのだろう。
私は普段あまり人を褒めないし、山中に至っては少し馬鹿にしてる節がある。
もちろん心の底からバカにしているわけじゃない。私的にここまではセーフという線引きの元、普段山中を適当にあしらったり、叩いたりしている。
「私だって人間よ、感情ぐらいあるわ。それにあんたたちが思っている以上には私はあんたたちのことを評価してるわよ」
これは本音だ。
もとから佐渡の友達なんだから悪い奴ではないと思ってたけど、私の想像以上にこの二人は頼もしい。
九重は普段は雑だけど、いざという時は行動的で頼りになるし、山中も機械関係などのスキルは高く、私にはできないので高く評価している。
佐渡にも、なにとは言えない人を引き付けるような何かがあるように思える。
むしろ何も持っていないのは私だけなんじゃないかと不安になることも今までにたくさんあった。
「そうでありましたか。まあ、自分も間宮殿のことを高く評価しているでありますよ。なんだかんだで間宮殿は面倒見がいいでありますからな。なにかとまとめ役もやってもらってるでありますし」
「なによ山中、いつも私に叩かれてるのにそんな風に私を見ててくれたの?」
「なに。あれも愛のこもった打撃だと思えば痛くもござらん」
「それだけはないから」
少しふざけたことを言ってきた山中を言葉で一刀し、自分の買ってきたコーヒーを口に含む。
「それでよ間宮。なんでいきなりそんな話をしたんだ?」
九重が暇そうにしながら体を机に預けた状態でだるそうに言った。
「まあ、話題探しってのもあるんだけど、二人はどういう風に佐渡と出会ったのかな、って思ってね」
まあ、つまりはそういうことなのだ。
私は自分ではどうしようもできなくて、諦めてしまったことを佐渡に救われている。
詳しいことは省くけど、あの時佐渡に出会っていなかったら今の私はここにいない。
下手をしたらこの世にすらいなかったかもしれない。
あの時は死んでしまいたい、なんて思ってたけど、今は生きたくて仕方がない。
これも私が佐渡色に染まっている証拠なのだろう。
だからこの二人がどういう風に佐渡色に染まったのか気になったのだ。
「なるほどな。俺は別に話してもいいぜ。俺も二人の話はよく知らないからな。あの時手伝わせろって言ったのに誠也のヤツ、手伝わしてくんねえからよ」
と、少し愚痴をこぼしながらも賛成の色を示す九重。
「そういうことなら自分も構わないでありますよ。正直自分もお二人の佐渡殿との出会いは気になっていたであります故」
山中も賛成のようだ。
「ならお互い話しましょうよ。佐渡との出会いを……。で、誰から話す?」
「まあ、ここは出会った順ってことで俺だろ」
九重が机に預けていた体を起こし、いつにもなく真面目な顔で話し始めた。
「あれは高校に入学して半年くらいたった時だったかな……」