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記憶

エンディミオン1 記憶1




僕は誰だ?


自問自答する。


気が付くと授業中だった。


数学の先生らしき人が黒板に公式を書いている。


「……」


さっきまでの記憶がない。


空白だ。


何も思い出せない。


外神とがみ! ボーッとするな!」


チョークが放物線を描いて飛ぶ。


「っ!」


避ける。


「避けるな!」


「そんな無茶苦茶な」


そして、質問する。


「僕の事、外神って呼びました?」


「ああ、外神とがみくろ。高校一年生のガキだが?」


どうやら僕の名前は外神黒らしい。


視線を落とす。


使われてない新品のノートと同じく新品のシャーペンと消しゴム。


「今って何月何日でしたっけ?」


馬鹿な質問だと思う。


だが、僕は記憶がないことで動揺していた。


「四月二日。初めての高校授業の日だが?」


「ありがとうございます」


礼を言った。


そして、ノートにシャーペンを走らせる。





休憩時間。


「おーい。外神。どうした? 勉強だけが取り柄のお前が授業中によそ見なんて」


モブキャラが話しかけてきた。


「えーっと、誰?」


「おいおい。小学生からの幼馴染みの俺様を忘れるなんて相当だな」


「ごめん。誰だっけ?」


記憶がないのだ。


午後は早退して病院に行くべきか?


霊夢れいむだよ。忘れんなよ」


「ごめん。霊夢」


霊夢は他の生徒の方に向かった。





『ヘルガ』


リヴァイン社製特殊銃。


口径50。


使用するのは50ahead弾。


ライフリング 六条右回り。


装弾数。七発。


全長259mm。


重量3015g。


銃口初速720m/s。

有効射程160m。

特徴。


銃身の下に橋のアーチ状の刃を持ち、ヘルガ専用弾である50ahead弾を使用することで、現存する拳銃の中では世界最高の威力を持つ。


また、全長の長い弾を使用することもあってグリップは前後に長い。


その威力はNIJ規格レベルIIのボディアーマー三枚を貫通するほどである。


単純に比較すれば、デザートイーグルの三倍以上の威力を持つ。


一方でその重量と耐久性の問題からレイルを装備出来ず、スコープ、ドットサイト、レーザー照準機等の搭載が不可能である。


このタイプの拳銃にありがちな「小柄な人間や女性、子供が撃つと肩の骨が外れる」など誇張した表現がまま見受けられるが、射撃姿勢や扱い方の影響が大きい。姿勢を崩すと腕力が強くてもバランスを崩しやすく事故の原因となるが、逆に非力な人物でもヘルガを撃つことは可能である。


自動車のエンジンなどの厚い鋼鉄製の物体は、フルサイズ小銃弾クラスのエネルギーで徹甲弾を撃ち込まなければ貫通できない。だが、その自動車を一撃で破壊するなど、50ahead弾の威力は高い。





記憶2





放課後。


「……結局、授業を全て受けてしまった」


僕は流されやすい性格なのかもしれない。


みんなが授業を受けているのを見ると、早退したいと言いづらいのだ。


「ふー、終わった終わった」


横を見ると、霊夢はあくびをしている。


「霊夢は悩み事なさそうでいいな」


霊夢はムッとした顔でこっちを見る。


「俺様にだって悩み事はあるぞ」


霊夢に悩み事?


初対面に近い、というかほとんど霊夢について知らない。


だが、霊夢が何か悩み事を抱えているようには見えない。


「例えば?」


「ここの購買のパンが高い」


「なんだよ」


幸せそうな悩みだった。


僕といえば、記憶喪失だ。


病院に行こう。


そう考え、


「霊夢。病院ってどこにあるっけ?」


霊夢はスラスラと病院の場所を言った。


「ありがとう」


心配そうな顔で霊夢が聞いてくる。


「で、どっか不調なのか?」


しばらく沈黙する。


「頭が……ね」


「そりゃ大変だ」


霊夢が笑う。


「じゃあ、また明日」


「また明日」


霊夢と別れた僕は、病院行きのバスに乗った。





これは夢だ。


それが分かる。


明晰夢? だろうか?


当麻とうま!」


誰かが名前を呼ぶ。


「分かってる」


これは僕の声だ。


僕の両手には二丁拳銃が握られている。


僕はそれが『ヘルガ』と呼ばれる銃であることを知っている。


「エネミー2。後方から接近!」


エネミー2。それはヘリだった。


「任せろ!」


僕はヘリに向かって飛んだ。


そして、空中でヘルガを撃つ。


反動で後ろに吹っ飛ぶ。


弾丸がヘリの燃料タンクに貫通し、ヘリが爆発する。


「楽勝だな」


夢から覚める。


どんな夢だったのか、忘れてしまった。


大事なことのはずなのに、忘れてしまった。


それが、僕の最初の後悔だった。


そう思った時に、ピンポンと音が鳴る。


病院にバスが着いたところだった。


「降ります」


ボタンを押し、バスから降りる。


舞浜総合病院。


来てみたが、かなりデカイ。


確実に迷子になる自信がある。


「えーっと、どこに行けば」


「当麻!」


知らない少年に声を掛けられる。


「誰? あと、僕の名前は外神黒ですけど」


少年はうつむく。


何かを考えているかのようでもあり、何かを言いたそうな顔でもあった。


「外神くん。僕の名前は三枝さえぐさ春樹はるき。舞浜高校への転校生なんだ」


「へぇ」


今の時期なら新入生じゃないのか?


そんな考えが頭をよぎる。


「外神くんが知り合いに似ててさ。つい声をかけちゃったんだ」


「そうですか」


「ねぇ、何しにここに来たの?」


「記憶喪失なので、診察してもらいに」


途端に三枝は険しい顔をする。


「記憶喪失……そうか、僕が邪魔したから……」


「三枝……さん?」


「ああ、ゴメン。あと、同じ一年生だから敬語はいらないよ」


「じゃあ僕は診察を受けに……」


ガシッと肩を掴まれる。


「待ちなよ。ちょっと喫茶店で話しをしないかい?」





『50ahead弾』


リヴァイン社製特殊銃ヘルガ専用弾。


徹甲弾と榴弾の混合弾であり、装甲を貫通後、内部の爆薬が爆発する。


その威力は厚さ1mのコンクリートを半壊させるほどである。


しかし、一方でその特殊な形状ゆえにヘルガ以外の銃では撃つことが出来ない。





記憶3





喫茶店。


なぜか、僕と三枝は紅茶を飲んでいる。


「外神くんの記憶喪失はほっとけば治るよ」


「そうなんですか?」


「うん。きみの場合はね」


三枝は紅茶を飲む。


そして、追加でケーキを注文した。


「しばらくは記憶喪失であることを隠した方がいいね」


「なぜ?」


疑問が出る。


なぜ、三枝はそんなことを知っているのか?


なぜ、記憶喪失であることを隠した方がいいのか?


「だって、ほっとけば治るのに周囲に心配をかけたくないだろう?」


「確かに」


だけど、三枝は何かを隠している。


そんな気がする。


「僕は寮じゃなくてマンションを借りたんだ。今度遊びに来なよ」


名刺を渡される。


そこには、三枝春樹と書かれ、メールアドレスと電話番号、マンションまでの簡単な地図が印刷されていた。


「明日から、よろしく」


「あ、よろしくお願いします」


ケーキが運ばれてくる。


「ん~。美味しい」


「そうですか」


三枝はケーキを食べ終えた。


「美味しかった」


「じゃあ、僕が払いますね」


「いいよ。ここはおごるよ」


三枝はさっさと会計を済ませてしまう。


「いいんですか?」


「いいよ。借りは山ほどあるし」


「???」


「ふふ。じゃあね」


三枝は喫茶店から出て行く。


「結局、何だったんだ?」


ふと、ポケットから振動を感じる。


携帯電話がメールの着信を知らせていた。


メールは霊夢から、らしい。


寮で新入生に対しての説明があるから早くこいという内容だった。


「行くか」





寮。


「セーフ……」


僕は、ギリギリ説明に間に合った。


壮年の男性が前に出る。


「新入生の皆さん。私は寮長の柱田はしらだです」


「……」


「皆さんがこれから寮で生活するにあたっての注意を言います」


柱田のセリフを聞き流す。


三枝春樹。


彼は一体、何者なんだろう。


「以上で寮の説明を終わります」


説明が終わり、新入生がバラバラに別れていく。


「外神。俺様と外神は同じ部屋だってさ」


「ふぅん」


「もっと喜べよ」


「うん。まあ、嬉しいよ」


霊夢に記憶喪失のことがバレないか、それが不安だということは隠しておこう。


「さて、風呂場に行くか」


新入生の中でもDQN(ヤンキー、不良など、粗暴そうな風貌をしている者や実際に粗暴な者、また非常識で知識や知能が乏しい者)な三人組がそう話しているのが聞こえた。


「霊夢。今の時間帯って風呂場は女子の使う時間だよね?」


「そうだな」


「ってことは」


霊夢はやれやれといった顔をした。


「覗きには天罰を、だな」





記憶4





風呂場。


DQN三人組が外側から風呂場の方へ向かうのを確認した。


「霊夢、一番後ろのヤツから頼む」


霊夢が三人組の一番後ろの人に後ろから組みつく。


「外神」


「オーケー」


霊夢の束縛で動けないDQNの首すじを狙い、手刀を食らわせた。


「……」


気絶したのを確認する。


「あと、二人だな」


「そうだね」


霊夢と僕はそれぞれ二人のDQNの後ろに立つ。


「な、お前ら!?」


「何しに来やがった!」


「それはこっちのセリフだっつーの」


霊夢と僕は同時に首すじに手刀を食らわせる。


「終わった終わった」


「そうだね」


その時、風呂場の壁が開いた。


そこにはタオルで身を隠した女子たちが居た。


「へ……」


「やはり、覗きが居ましたね!」


「それも堂々と!」


「許せない!」


「いや、俺様たちは覗き魔に天罰を食らわせてだな……」


「問答無用!」


竹刀を持った女子が襲いかかってくる。


「霊夢。勝てる?」


「ケンカは主義じゃないな」


竹刀が迫る!


「待ちなさい!」


凛とした声が響く。


「誰?」


制服を優雅に着こなした女子がやって来た。


「生徒会長……」


「会長……」


「みんな、この二人は倒れている三人組の覗きからみんなを助けてくれたんです」


女子が聞く。


「本当?」


「はい」


「俺様は熟女が好きなんだ。覗きなんてするかよ」


「というワケです。二人とも、覗き魔撃退を感謝します。三人は後で先生に引き渡しますから、帰ってください」


「分かった」


「そうですね」


僕らは自室へ帰った。





記憶5





彼は殺し屋だ。


三人でチームを組んでいた。


だが、一人が裏切り、一人が捕まった。


彼は一人になった。


だが、彼は諦めない。


情報屋のネットワークを通じて『学園』に囚われている人々から最適なメンバーを探しだした。


ノートパソコンを開く。


「爆弾魔……」


制服を優雅に着た少女が画面に映し出される。


「狙撃手……」


タバコを吸っている男子が映る。


「ナイフ……」


竹刀を持った女子が映る。


「運転手……」


油だらけになったツナギ姿の男子が映る。


「傭兵……」


中国人っぽい顔だちの少年が映る。


「さて、始めますか」


彼はノートパソコンを閉じた。





四月十日。


「生徒会長。無理です。休ませてください」


僕は黙々と作業を続ける生徒会長に文句を言った。


すると、生徒会会計の竹刀を持った女子が反論する。


「会長は夜もほぼ徹夜で作業しています。不平不満を言わない!」


「はぁ……」


覗き魔を退治したことで、僕と霊夢は生徒会長に生徒会に誘われた。


部活に入る予定の霊夢と違い、僕は特に予定が無かったので了承したのだが、間違いだった。


「死ぬ。確実に死ぬ」


「言えるうちはまだ大丈夫だよ」


副会長の中国人っぽい顔だちの男子が書類をシュレッダーにかける。


「でも。そろそろ休憩しません?」


副会長も頷く。


「そうだね」


タイミングよく、生徒会室のドアが開く。


「差し入れ、持ってきたよ」


「どうぞ」


三枝となぜかツナギ姿の男子がケーキを持ってきた。


「じゃあ、僕はお茶を入れて来ますね」


席を離れる。


そして、ポットからお茶を人数分入れる。


副会長がお茶を飲みながら言った。


「いや~、三枝くんたちの差し入れはありがたいね」


「まったくです」


同意する。


生徒会に僕が入ってから毎日、二人は差し入れを持って来てくれる。


生徒会長がつぶやく。


「平和よね~」


「ですね」


同意する。


平和だ。


だけど、何かを忘れている気がする。


何だろう?


「そういえば、来週は全校生徒のワクチン注射の日ですね」


生徒会長に言った。


「そうだったわね。全校生徒が病院に行くからバスの代金を計算しておいて」


会計の女子が頷く。


「はい。分かりました」





放課後。


「やぁ」


生徒会の業務を終えた僕を待っていたのは三枝だった。


「どうしたの?」


「ちょっと、用事」


手招きしてくる。


「なんですか?」


三枝は僕をマンションへ誘った。


「うわー」


マンションに着いた第一声がこれだった。


「まあ、誰にだって得手不得手はあるさ」


腐海だった。


入学してから十日かそこらでこの量のゴミを作り出したのか?


あり得ない。


「いやー、掃除はしようとしたよ?」


「なぜ疑問系……」


「でもさ、ほら、まだ洗わずに使える服とか……」


ダメだ。


ガマン出来ない。


「掃除します!」


「へ?」


三枝が初めて間抜けな声を出した。


だが、今は関係ない。


「掃除しますから出て行ってください!」


「……はい」





記憶6





彼は迷っていた。


「真実を知れば、一生戦うことになる」


学園にいたほうが、幸せな時間を過ごせるのかもしれない。


だが、


「学園なんてまやかしだ。嘘の人生なんて意味がない」


彼は愛用の軍用狙撃銃を手に、部屋を出た。





四月十六日。


「遅いです!」


「すみません」


ワクチン注射の日。


いつもより早く集まった生徒会メンバーたち。


「そういえば、生徒会って会長と副会長と会計と庶務だけで出来るんですか?」


生徒会長が首を横に振る。


「本当はもう一人欲しいけど、いい人材がいないのよ」


ということは僕はいい人材なのだろうか?


「というわけでバスで病院へ行くわよ」





放送室。


生徒会長が生徒たちをマイクで誘導していく。


「わたしたちは最後のバスに乗るからね」


「分かりました」





生徒たちが全員バスに乗り、後は僕たちだけだ。


バスが来た。


「すみません。僕らも乗せてもらっていいですか」


三枝と霊夢とツナギ姿の男子が校舎から出てきた。


「おかしいわね。全員バスに乗るように言ったはずなのに」


「生徒会長。僕たちは放送が聞こえないところにいたんですよ。で、今日がワクチン注射の日だって思い出して慌てて出てきたんです」


「そうなの」


「はい」


「じゃあ、仕方ないわね。一緒にバスに乗りましょう」


みんなでバスに乗る。


バスが発進した。


「あれ?」


「どうしたの? 外神くん?」


「いえ。なんかバスが別の道通ってませんか?」


以前バスで病院に行った時と別の道を進んでいる。


「確かにおかしいわね。運転手さん……」


生徒会長が運転手に問いかけようとする。


しかし、


カチリ。


となりで新聞を読んでいた白髪の男性が何気なく黒い金属の塊を生徒会長に突きつけた。


「え……!?」


それは拳銃だった。





『グロック19』


白髪の男性が使った拳銃。


種類 軍用・警察用自動拳銃


製造国 オーストリア


設計・製造 グロック社


口径 9mm


銃身長 114mm


ライフリング 右回り。


使用弾薬 9mmパラベラム弾。


作動方式 セーフアクション(ダブルアクション)


ティルトバレル式ショートリコイル


全長 186mm


銃口初速 379m/s


有効射程 50m


オーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動拳銃。口径は9mm(9mm×19パラベラム弾)。装弾数は複列弾倉ダブルカラム・マガジンによる17+1発。





『M24A3』


彼が愛用している軍用狙撃銃。


種別 ボルトアクション。


口径 7.62mm。


銃身長 420mm


使用弾薬 .338ラプアマグナム。


装弾数 5発(固定式弾倉)


作動方式 ボルトアクション方式。


全長 1092mm


重量 4400g


銃口初速 868m/秒


有効射程 800m





記憶7





『グロック19』


グロックにはそれまでの軍用拳銃には見られなかった革新的機構が搭載されている。





プラスチックの多用


フレームや、トリガーとその周辺機構、弾倉外側がプラスチック製となっている。他にも、強度上問題が無い部分にプラスチックが使われている。成型の容易さから生産性が向上し、軽量になったほか、寒冷地で使用する場合、冷えた金属に皮膚が張り付く事故を防ぐことができる。





グロックシリーズに使われているプラスチックはポリマー2と呼ばれる材質で、ガストン・グロックの発明品である。摂氏200℃から-60℃の環境下でもほとんど変質しないと言われている。一般的なプラスチックよりも柔らかく、相当な強度を誇る。しかし、成型に難があり、日用生活品などには向かない。なお、グロック社は独自の方法でフレームの成型をしている。





フレームが軽量な素材構成の場合、全体の重量が軽くなり反動は大きくなるが、グロックのフレームに採用されている素材は、ある程度の柔軟性を持たせることで衝撃を緩和している。また、銃口とグリップの距離ボアラインが近いため、他の同クラスの銃に比べ跳ね上がりは少なく、移動距離の短いトリガーとともに連射をしやすくしている。





ただ、発売されて30年がたっているため、古い個体ではプラスチックの経年劣化が現れているとの指摘もある。さらに、アンダーレール付きの第3世代フレーム採用機種では、ライトやレーザーサイトを過度な締め付けで取り付けた場合、フレームが歪み作動不良を起こす例があったことから、金属製フレームという、グロックの特徴を捨てたカスタムパーツも存在する。この問題はグロック社純正の第4世代フレームでは解消されている。





記憶8





生徒会長が人質に取られた。


白髪の男性はグロックを生徒会長に突きつけながらバスの先頭に移動する。


「動くな! 動いたら撃つ」


動けない。


だが、手はある。


ポケットに手を伸ばす。


と、後ろの女性にグロックを突きつけられる。


「坊や。携帯電話も無しよ」


「まさか……」


老人。


老婆。


男性。


女性。


バスに乗っている僕らを除いた十六人全員がグロックを僕らに突きつける。


「全員グルか……」


霊夢がつぶやく。





「俺様たちをどこに連れて行く気だ?」


霊夢は運転手に聞く。


運転手は答えない。


「ちっ……」


異常だ。


そう感じる。


僕もだが、全員が冷静過ぎる。


普通、もっと取り乱したりパニックになるはずだ。


なのに、まるで『慣れている』かのように全員が冷静だ。


「着きました」


運転手が言った。


「全員降りろ」


生徒会長を先頭に全員がバスから降りる。


「ここは……」


看板には土井研究所と書かれている。


「さて」


三枝がカバンから何かを取り出す。


それと同じものをグロックを持っていた十六人が取り出す。


「M4……!?」


M4カービン。コルト・ファイヤーアームズ社が製造し、アメリカ軍が採用しているアサルト・カービンだ。


バリエーションの多さで人気の銃だ。


でも、


「……なぜ、僕は知っている?」


僕は一体、誰なんだ?


そして、


「三枝。君もグルなんだね」


「悪いね」


三枝たちは研究所のドアを開ける。


そして、中にいる研究者たちを次々と撃ち殺していく。


あっという間に死体の山が出来上がる。


「虫の息のヤツ、一人連れてこい」


三枝が命令をする。


「はい」


「あなたたちは何者なんだ?」


白髪の男性に聞く。


「私たちは傭兵だよ。三枝春樹に雇われた傭兵」


「傭兵……?!」


傭兵の一人が肩を撃たれた研究者を連れてきた。


「エンディミオンを使用して記憶を蘇らせろ」


エンディミオン?


記憶を蘇らせる?


「わ、分かった」


僕らは研究所の中央のベッドに連れて行かれた。


「じゃあ、エンディミオンを起動するぞ」


頭にヘルメット状の機械を取り付けられる。


「一体何を……」


「エンディミオン、起動」


僕の意識は闇に落ちた。

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