第1話〜出会い〜
柚木リサ。失恋直後で傷心気味。…彼との出会いはお互いの一目惚れだった。
相手は同い年の小峰裕也。リサがこんなに片思いしたのは初めてだった。今までも恋はしてきた。恋に年令は関係ないのごとく年上もいれば年下もいた。だが共通点があった。
それは…優しいということ。それは裕也にも当てはまることだった。優しいとは良いことだが悪い方に転がることがある。裕也の第一印象は最悪だった。彼はもともとリサの友達の華と仲が良かった。付き合ってると噂されるくらいだった。華はノリが良くて裕也にもからかい半分で話し掛けることが多かった。そのせいなのか分からないが裕也の態度はそっけなかった。そのときの裕也の態度はリサには理解できずノリ悪い人としか思ってなかった。進展があったのはそれからしばらく経ってからだった。裕也がメールしたいと華を通して言われた。リサはあまり良い気はしなかったが断る理由もなかったのでメールすることになった。というか華に頼まれた以上断れなかった…。
何度かメールをやりとりするたびに裕也の事が気になりだしていた。携帯がなるたび胸が高鳴りうれしくなった。だんだんメールの回数が増え、毎日するようになった。リサは幸せだった、それと同時に片思いしている自分に気付いた。
そして日に日に裕也への気持ちが増していった。それから二人は付き合うことになった。リサから告白した。リサは緊張しながらも勇気を振り絞った。満月の夜だった。そんなリサを裕也は暖かく受けとめてくれた。
裕也は優しすぎるくらいリサを大事にしてくれた。
リサは本当に幸せだと感じた。
裕也の悪いところなんて見つからなかった。
この幸せが終わってしまわないかと不安になることもあるくらいだった。幸せはしばらくリサを見捨てなかった。
あの日が来るまでは…。リサの中にはドコか冷めた自分がいて、ロマンチックな事が好きじゃなかった。
いつも一緒にいるから行事だからといって特別な事は必要ないと思っていた。二人の記念日なら特別なことだが。だが裕也はそれが大切な事だったらしい。その事で喧嘩になった。彼はそれまでずっと我慢してきたらしい。いままでの不満を一気に言われた。正直なぜそのときに言ってくれなかったのか・・・ショックだった。リサは自分が彼を追い込んでしまったと思った。
だから謝って仲直りしたつもりだった・・・。
それから彼は何もなかったかのように普通に接してくれた。
…だがリサの中で何かが崩れ始めていた。
裕也が普通に接してくれていたのは仲直りしてから少しの間だけだった。。
しばらくたつと裕也はリサの行動を細かく気にするようになった。
束縛というのだろう。今まで優しく包み込むような裕也の眼差しさえ監視のようでリサは少しずつ避けるようになった。裕也にはそれが面白くなかったのだろう。
ある日、裕也から電話で、俺のことホントに好き?と聞かれた。リサはすぐには応えられなかった。正直なところ、今の裕也は昔の裕也とは違う気がしていた。
そしてリサが好きだったのは昔の裕也のほうだ。リサはうそはつきたくなかったのでそれを伝えた。そしたら裕也は
「俺の何処が変わった?前に戻るように努力するよ」
そう言ってくれた。リサは束縛が嫌いだったのでそこを直してほしいといった。裕也は了解してくれた。
リサは改めて裕也は優しいと思った。…だがなぜか前のように愛しいとは思わなかった。リサは自分でも気付いていた、裕也への気持ちがだんだんなくなっている事に…。
だがわざと気付かないフリをしていた。裕也に片思いしている自分に気付いた時、これが本当の恋だと信じていたから。
今の自分の気持ちを認めてしまったら本当の恋ではないと言い聞かされてるようで…。
裕也の束縛が弱まったのは少しの間だけだった。
結局、人は簡単に変われるものじゃないと学んだ。
そしてこれ以上、自分のきもちを無視するのをやめることにした。
裕也との関係を断つということ。
いつ言おうか悩んでいるとき裕也から電話がきた。 それまでメールしてたので驚いた。内容はリサの裕也に対する態度がそっけないというもの。リサは素直に謝った。すると裕也は本当にわかってるのか?と聞いてきた。多分、リサのことが信じられないのだろう。その時リサの中で踏ん切りがついた、今が言うべきときだと…そして別れてほしいと言った。電話越しだったが裕也は確実に動揺していた。しばらく沈黙が続いていた。




