スタンガン
「最近のヒロインはスタンガンを持っているのか」
俺は誰にともなくつぶやいた。
それが今日の朝。
そして今・・・
「私と付き合ってくれない?」
実にライトノベルな出来事が起こっていた。
俺は数秒考えた後こう答えた。
「すまん、お前のことはそういう風には・・・」
バチッ
最期まで言えずに後ろから破裂音。
背中には木の破片がぶつかる感触。
「マジでスタンガン持ってるのかよ・・・」
「あら、あなたが最近のヒロインはみんな持ってるって言ってたから。」
にこやかに笑う彼女はとても変質者じみていた。
「でも、私の攻撃を避けるなんてやるわね。」
「避けられない攻撃を仕掛けたのかよ・・・」
びっくりだ。
「何かの特殊能力?」
彼女はいきなり核心をついてきた。
「高速移動。」
俺は、そっけなく答える。
そして聞き返す。
「お前は?」
「あらゆる武器を使いこなす能力。」
おお、「あらゆる」とかついていてそれっぽいし、
能力も使い魔っぽい。
まあ、俺がぎりぎりの攻撃をを仕掛けてくるあたり、
常人じゃないとは思っていたが・・・
「それじゃ、私に付き合ってちょっと
異能者の逮捕を手伝ってくれる?」
勘違いした自分が憎い
「付き合ってくれるよね?」
彼女の問いに俺はこう答えた。
「ああ。」
「やったぁ!」
喜ぶ彼女。そして・・・
「よろしくね、私の彼氏♪」
その時の彼女の笑顔はとても常人とは思えなかった。