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暗闇で生きる者たち

ピッケルが岩を打つ音や、ドリルが地を穿つ音。数百年前に「マグナム」と呼ばれる新鉱物が発見されて以来、多くの人々にとってそれは日常の音となった。その時代の人々は、現代と同じか、それ以上に進んだ技術を持っていたと言われている。なぜなら、地球の上部マントルにまで達するほど深い井戸が掘られていたからだ。そして、そこで初めて謎めいた鉱石が発見された。その鉱石には、驚くべき特性が秘められていた。液体化し、さらに気体化することで、ほぼ無限のエネルギーを放出する力を持つのだ。気体のマグナムは、どのような目的で使われようとも、消滅するまでの5年間、枯渇することなくエネルギーを放出し続ける。マグナムの発見により、科学の進歩が急速に加速し、技術の発展はまったく新たな方向へと進んだ。ガスが原動力となるさまざまな装置やシステムが発明され、人々の生活を大いに楽にした。しかし、マグナム発見によってもたらされた恩恵は、ここまでだろう。

多くの国家の支配者たちがこぞってマグナムを手に入れようとしたため、大規模な戦争が勃発した。その鉱石をめぐる血で血を洗う戦いの中で、多くの人々が命を落とした。おそらく人類の大半が滅亡した。一部の人々は、この戦争が「霧」によるものだと考えている。霧は、巨大な要塞都市ケイングラッド周辺の地域を襲い、ほとんどの敵国を壊滅させた。その霧によって、住民たちは「無貌のセラフ」へと変えられた。彼らは自由意志を失った代わりに、驚異的な力と飛行能力を得たという。

総じて、この霧がどこで生まれたのか、何で構成されているのかを知る者は誰もいない。長年にわたる噂だが、俺たちの街を取り巻く広大な土地、霧の谷と呼ばれる場所に足を踏み入れた偵察員が帰ってきた例は今まで一度もないそうだ。何より深刻なのは、この霧がゆっくりと、しかし確実にこの街を侵食していることだろう。人々は家を去らざるを得なくなり、ケイングラッドの全地域が廃墟化している。実際、この霧は街の中心部のいたるところに漂っている。ただ、今はそれほど濃密で目立つわけではない。政府は特別な薬を注射し続けないと霧の奴隷になる可能性が高いと言っている。でも正直なところ、そんなことはナンセンスだと思う。

霧から生まれた生き物と接触を試みる代わりに、俺たちはエグゾナイトという先進的な技術を駆使した戦闘機で奴らと戦っている。エグゾナイトは選ばれしパイロットによって操作される。エグゾナイトの使用頻度が増加していることから、新人パイロットが常に訓練されている。

かつてはマグナムの所有権をめぐって指導国家同士が争っていたが、災害が発生したことにより、資源をめぐる戦争は終結した。マグナムが採掘された国に隣接する国の統治者たちは、変わり果てた世界で生き残るために、採掘国とともに一つの巨大な連合国を形成することにした。こうしてケイングラッドは、人類残党のための一つの国、一つの都市となったのだ。とはいえ、なぜ支配者たちが霧の谷の者たちと対話のひとつすら試みることができなかったのか、俺には理解できない。

まあ…じいちゃんからそんな話を聞かされていなかったらこんなに深く考え込むことはなかったかもしれない。喧嘩ばかりしている両親と違って、じいちゃんはとても優しい。だから俺はじいちゃんと一緒に暮らし、マグナムの採掘を手伝っている。俺たちは大きな土木建設機械に乗って鉱山を駆け回る。じいちゃんの役目は機械を操縦して新しいマグナム鉱脈を求めて井戸を掘ることで、俺の役目はマグナムを採掘することだ。


14歳の少年エイデンは、数あるマグナム鉱夫のひとりだったが、その中でも数少ない若手のひとりだった。年齢とは裏腹に、採掘作業はエイデンにとって決して難しいものではなかった。エイデンの深い琥珀色の瞳はすでに暗闇に適応しており、手はピッケルの重みに慣れ親しんでいた。シャツやズボンが常に汚れていることも、手のひらがタコや石の粉で覆われていることも気にならなかった。ある意味、エイデンはそれが好きでさえあった。そこには、エイデンが祖父とともに築いてきた絆や安らぎを連想させる居心地のいい何かがあったのだ。

いずれにせよ、マグナム鉱夫たちの日々は単調極まりないものだった。年配の鉱夫たちと同じように、エイデンもピッケルでマグナムを採掘し、車輪付きの荷車に積み込んだ。祖父は掘削機で孫を待つか、手伝うかのどちらかだった。しかし、エイデンが手伝いを拒むため、待機することがほとんどだった。エイデンは年老いた祖父に無理をさせたくなかったのだ。そのため、エイデンは二人分の力でピッケルを振るっていた。その努力は報われた。ある日、エイデンがマグナムを掘り進めていると、その下から明るい青色のサファイアが、かすかなランタンの光に照らされて美しく輝いているのを見つけたのだ。少年は目を輝かせ、言葉にできない喜びを噛み締めた。エイデンは慎重にピッケルを動かし、サファイアをそっと手に取り上げた。それはまるで、自らエイデンの手に飛び込んできたかのようだった。若い鉱夫はピッケルを落とし、宝石をしっかりと掴んだ。

「エイデン、大丈夫か?何かあったのかい?」祖父が不安げな声で呼びかけた。

「へ、平気!」エイデンはすぐに答えた。「全く問題ないよ!」エイデンは畏敬の念を抱きながらサファイアを見つめた。その輝きはほとんど目にした記憶のない星のようだった。ふと、ある考えが浮かんだ。

「ネックレスだ!じいちゃんにネックレスを作ってあげよう!」

掘削機に駆け寄ったエイデンは、採掘したマグナムを専用の仕切りに流し込むと、祖父に急用ができたことを手短に伝え、嬉しそうに近くの鉱山に駆け込んでいった。


挿絵(By みてみん)


まずエイデンは、ウィルバートという幼なじみに起こった出来事を話そうとしていた。ウィルバートは子供の頃から機械いじりの才能があった。八歳の頃には小さな手持ちドリルを修理していたし、十三歳になった今では、掘削機の修理に関することはほとんど熟知していた。エイデンがウィルバートを訪ねた時、ウィルバートはいつものようにドリルの回転部分を修理していた。白髪の少年の視力はそれほど良くなかった。そのため、今いじっている歯車のような小さな部品を加工するときは、専用のゴーグルと拡大鏡、懐中電灯を使わなければならなかった。

「ウィルバート!なあ、ウィルバート!」エイデンは叫びながらウィルバーとの元に駆け寄った。作業していた少年は、友人の声に反応して振り返った。「なぁ、こんなものを見つけたんだ!」エイデンは早速本題に入り、手のひらを広げてサファイアをウィルバートに差し出した。

「これは驚いた!」ウィルバートは叫び、ゴーグルをかけ直した。ウィルバートは細心の注意を払いながら、その宝石を調べ始めた。石は磨かれていなかったものの、それでもその多面体は顔が映り込むほど透き通っていた。

「すごいよ、エイデン!君は本物のサファイアを見つけ出したんだ!これは宝石だ。もし何とかして地上に持ち出して売ることができれば…」

エイデンはウィルバートの言葉を最後まで聞かず、彼の手からサファイアを奪い取った。「まさか!」エイデンは抵抗した。「マグナムが見つかって以来、宝石は価値を持たなくなったって言ってただろ!」

「まあ…確かに言ったけど…」

「じいちゃんが七年前にくれたネックレスと似たようなものを作りたいんだ」エイデンはシャツの下から恐竜の頭蓋骨がついた小さなペンダントを取り出し、友人に見せた。

「そっか。うまくいくといいね。アダムじいちゃんなら気に入ってくれるんじゃないかな」

「絶対に喜んでくれるって!」エイデンは興奮してそう答えると、自分の家へと一目散に走り去った。

地下に住む人々の「家」と呼べるものは、地面を掘り抜いて作られた簡素な住居にすぎなかった。どの家もあまり広くはなかったが、ほとんどが二階建てで、洞窟の天井まで届いていた。エイデンの住居は、働いている場所からそれほど遠くなかった。

住居が連なる鉱山を抜けて歩いても、家にはわずか八分ほどでたどり着く。地下に住む者たちにとって、本物の光を見ることは稀であり、エイデンも同じだった。家の扉を開けると、そこには質素なキッチンがあった。小さくても清潔で整然としており、居心地の良い空間が広がっていた。それはこの洞窟住居全体に共通する特徴だった。もともと岩を二階分だけ掘り抜いて作られていたが、祖父のアダムが後に三階部分を増築し、そこが工房となった。エイデンはまず、その工房へと向かい、石で作られたダイニングテーブルから昨晩焼かれたばかりのパンを一切れ手に取った。

工房に入る前に、エイデンは二階へと上がった。そこには、石でできたシングルベッドが二台置かれており、それぞれ清潔な毛布がかけられていた。また、小さな折りたたみ式の木製テーブルもあり、持ち運びが可能なものであった。さらに、家族の宝物ともいえる本棚もあり、そこには古い知識の書物が収められていた。祖父アダムはこれらの書物をよくエイデンに読み聞かせていた。

少年は急いでパンをかじり、地下住居の三階にあるドアを開けた。

そこには、手仕事で様々なものを創り出すことを生業とする者にとって、まさしく夢のような空間が広がっていた。大小のドリル、あらゆる用途の金属板、さまざまな長さのワイヤー、スパナなど、必要なものはすべて棚に並んでいた。棚に並ぶ道具は挙げきれないほどだった。エイデンはオイルランプに火をつけ、机の前に座り、即座に作業に取りかかった。まずはサファイアを磨き上げ、その輝きが一層際立つようにした。その後、可動式のワイヤーを使ってサファイアに個性的な留め具を取りつけた。その留め具は控えめな素材でできていたものの、繊細な細工が施されていて、見事な美しさを放っていた。その見た目はサファイアの自然な美しさを引き立てると同時に、無駄に目立つこともなかった。エイデンは長い時間をかけて苦労して作り上げたネックレスを、金属製の紐に通して完成させ、その出来栄えに言葉にできない喜びを感じていた。震える手でそのネックレスを持ち、少年は海色の宝石の美しさに見とれていた。突然、エイデンは下の階から足音が聞こえてくるのに気づいた。すぐに誰だか分かり、椅子から飛び上がって階段へと急いだ。

「何をそんなに急いでいるんだい?」短い白髭を生やし、優しい茶色の目をした祖父が笑顔で尋ねた。孫は祖父の腕に飛び込んだ。

「おやおや、そんなにじいちゃんが恋しかったか。お友達と遊んでたのかい?」

「ううん」エイデンは短く答え、握りこぶしを突き出した。「開けてみて!」

祖父は笑顔で孫の手を開き、美しい石のネックレスを見ると、驚きで顔をほころばせ、喜んで贈り物を受け取った。

「今日、宝石を見つけたから、昔じいちゃんがくれたのと同じようなネックレスを作ってあげようと思ったんだ」エイデンは言った。

アダムは涙をこらえきれず、孫を抱きしめた。「本当にありがとう、とても嬉しいよ。いつなんどきも身につけるよ。エイデンと同じようにシャツの下に着けるとしよう。石が傷つかないようにな。それでいいかい?」

「うん」エイデンは賛同した。

「ありがとう、孫よ。ありがとう」


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