あの世のレイレイ経済
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第1話:死んでもお金は必要?
「早死にしても、損じゃないよ。だって、あの世では早くから“レイレイ”を稼げるからね。」
そう言ったのは、舌にチップを埋め込まれた“ゼロジー通信者”の男だった。
彼はこの世にいながら、あの世と通信できる特別な存在。
でもその代償として、舌先をエンマ様にハサミで切られたらしい。
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第2話:レイレイって何?
レイレイとは、あの世の通貨。
この世でいうお金みたいなもの。
人は死んだあと、生前に積んだ“徳”の量でレイレイをもらえる。
たくさん善いことをして、みんなに見送られて死ねば、レイレイは高く査定される。
でも、どんなに徳を積んでも――
最後に殺人や事故を起こしたら、全部パー。
レイレイはゼロになるどころか、マイナスになることもある。
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第3話:エンマ様のリモート地獄
あの世には「閻魔堂」があちこちにある。
そこにはエンマ様そっくりの像が座っていて、話しかけるとリモートで返事がくる。
ただし、エンマ様本人が出てくるのはレアケース。
だいたいは「エンマスタッフ」と呼ばれるオペレーターが対応する。
緊急じゃない場合は「エンマポスト」に投函。
地獄にも、ちゃんとした受付システムがあるのだ。
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第4話:地獄の経営危機!?
最近、地獄は経営不振らしい。
・血の池の配管が詰まって、メンテ代がかさむ
・地獄卵や舌切せんべいの売れ行きが悪い
・人件費を削るか悩んでいる
理由は簡単。
人間が悪さをしなくなったから!
飲み会も合コンも減り、ネットで完結する人間関係。
詐欺も殺人も減って、セキュリティは堅牢。
人間社会が成熟しすぎて、地獄がヒマになってしまった。
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第5話:お釈迦様の秘密
ちなみに、エンマ様とお釈迦様は兄妹。
でも、お釈迦様は実は女性だった。
天国で悪さする人を作ってもらったり、地獄の経営を助けてもらったり。
兄妹で役割を入れ替える話も出ているらしい。
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最終話:死後も人生は続く?
この世でどんなふうに生きるかが、あの世の生活に直結する。
レイレイを稼ぐには、人に優しく、善いことをして、ちゃんと見送られることが大事。
でも、最後の最後まで油断は禁物。
人生は、死ぬ瞬間までが査定対象なのだ。
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