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9日目

今日のそらから君のお人形遊びは一味違う。


ワンワン王国の王妃(シベリアンハスキーの縫いぐるみ)が新たな生命をこの世に生み出そうとしていた。


「ワンワン王妃頑張って!!赤ちゃん生まれるよ!!!」


ワンワン王国の皆が王妃をぐるりと取り囲み今か今かとその時を待つ。


「ほら!皆待ってるよ!早く!早く〜!!」


「いや…早くとか無理だよそらから君………。」


幼児に言ってもしょうがないが出産は誰かの都合でどうにか出来るものじゃないのよそらから君!


あと皆で取り囲むの止めてあげて!


経産婦としては縫いぐるみとはいえ王妃が不憫でならない。


「よ〜し産まれたぁ!!!」


ワンワン王妃の後ろからスッポーンと出てきたのは昨日ゲーセンのUFOキャッチャーでとった白黒のボーダーコリーの縫いぐるみ。


ワンワン王妃シベリアンハスキーだけどね。


テレビで見た某ドラマに影響をうけて、今日のそらから君は王国にたった一人しかいないお医者様になりきっている。いや獣医になるのか?



「お疲れ様ですドクターそらから!」


「ああ…なんじゃんで大変だった………。」


難産な!あと大変なのはワンワン王妃だからね!


「それにしてもワンワン王は子沢山になったねぇ。8人兄弟かぁ凄いね!」


ちなみに全員違う犬種。


まさか王妃様ってば!?なんて疑問は考えちゃ駄目!絶対!


「うん!これで王国のメンバー全部で16人になったよ!」


「へえ。」


王国の総人口16名(ペットのカエル含む)のうち王族が10名。


この国大丈夫かな?


「えっ〜と、それで新しい子の名前は何にするの?」


「うんとね〜……この子は『ギギ〜』って鳴くからギギーちゃん!』


世にも奇妙な仔犬の鳴き声。


???なんで????


「えっと……ワンちゃんは『ギギ〜』って鳴かないと思うけど?」


「昨日UFOキャッチャー『ギギ〜』って鳴ってた!」


ワンワン王妃が生んだ設定どこいった?


そらから君が通うゲーセンは古いので、色んな所がギギギギいいます。


「そ、そっか、じゃあギギーちゃん産まれたことだし、いったんお人形さん遊びは終わりにしてお昼にしようか!」


「うん!今日はご飯な〜に?」


「そらから君が好きな豚骨ラーメンだよ〜。」


「やったぁ!そらから君()()()()ラーメン好き!」


「ははっ、ポンコツじゃなくて()()()()だよ。」


()()()()ラーメン!」


()()()()ラーメン!」


()()()()()()()()()もう何で何回もおんなじ事いわせるのよ!

そらから君ちゃんと言えてるでしょ!」


「………うん…良く言えました。」


トウモロコシ→トウモコロシ

ポップコーン→コップポーン


幼児あるある。


しつこく突っ込んではいけません。


「美味しいねぇ!()()()()ラーメン!!!」


「……………そうだね。」


決してわざと間違えているわけ………てはないよね?




「ねぇねぇママー!赤ちゃんてさぁママのお腹の中に入ってるんでしょ?」


「えっ?ああうん、そうだね。」


突然の質問タイム。


「赤ちゃんについて、そらから君しりたいんだけど………。」


いつになくお悩みのご様子に、我が家にもとうとう例の質問がやって来たのかと身構える。


いやでも、ちょっと早すぎない?


ここはサラッと真実を伝えるべきか、それともコウノトリさんに頼るべきか。


「赤ちゃんてさぁ…………。」


(あっ!やっぱりその質問か!?ちょっと待ってママまだ考えがまとまってないから!!」


「何歳で産めるの?」


微妙に違う質問だった……………。


「えっ……と、何歳………。う〜ん……大人になったら?」


「じゃあ18歳?」


「……うん…、18歳くらい……?」


ホントは違うけど説明が難しいのでパス。 


5歳児にはまだ早いと判断しました。


「そっか……じゃあそらから君5歳だから………ママは今23歳?」


「なんで!?」


計算出来て凄いけど、なんで急にママの年齢!?


「お友達にママ何歳か聞かれたから!」


「………お友達にはママは永遠の18歳って伝えておいて。」


何故か母親の年齢を聞きたがる子供って多いよね。


「でもねそらから君、お友達にママの年齢言わないでくれる?」


あとそんな頭使って探ろうとして来ないでね!


「どうして?そらから君は自分の歳ちゃんと言ってるよ!

聞かれたらちゃんとお答え出来るよ!」


「そうだねエライね。でもママはお年聞かれるの嫌なのよ。というか女の人は聞かれるの嫌な人が多いと思うから、他のママとかにも聞かないでくれるかな?」


「え〜、なんでよ?」


「う〜ん……恥ずかしいからかなぁ…。」


君たち言いふらすでしょ?とは言えない。


単純にプライバシーの問題もあるしね!


「ママお年言うの恥ずかしいの?」


「そうそう、恥ずかしいの。だから内緒ね!」


とりあえず、そういう事にしておいて!


「分かった!じゃあ誰かに聞かれたら『ママは恥ずかしい歳です!』って答えるね!」


「やめて!もっと恥ずかしい!!!」


全然分かったように見えないそらから君。


その後、某遊園地のチケット売り場で


「永遠の18歳で、恥ずかしい歳のママはチケット代は大人ですか子供ですか?」


と言われて顔から火を噴くことになるとは夢にも思わない。




おしまい

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