4日目
今日もお気に入りの白いワンワンのぬいぐるみを抱えて、そらから君はお人形遊びの真っ最中。
「いい?今日からここが君の住むお家だよ。仲良しね!」
いつものワンワンの他に今日はティッシュで作ったてるてる坊主も抱えている。
「あれ、そらから君てるてる坊主作ったの?………上手に出来たね。新しいお友達かな?」
クレヨンで描かれた顔は、目と鼻と口が点で表情は無だった。
意思疎通が難しそうな相手だね。
「ううん!この子ねぇワンワン王子のお嫁さん!」
てるてる坊主はまさかの嫁だった。
「そ、そうなんだ、ワンワン王子のお嫁さんなんだ結婚したんだおめでとう。」
祝っていいのかなコレ?
「テルテルちゃんはねぇ遠いところから来たからお家を案内してるんだぁ。」
「へぇ、そうなんだ。テルテルちゃんっていうお名前なんだ。遠いところから来たお姫様なのかな?」
首から下、ドレスだと思えば思えないこともない。
「ううん!テルテルちゃんは異世界から来たの!ワンワン王子が念力でシュバッて魔法陣から出した!」
勇者召喚ならぬ、まさかのワイフ召喚!
「テ、テルテルちゃんって異世界人なんだね、す、凄いね。
異世界から急に召喚させられて、いきなりワンワン王子の嫁か…………。
そりゃあ表情も無になるだろう。
意思疎通出来なさそうとか思ってゴメンね。テルテルちゃん!
「えっ?テルテルちゃんは、てるてる坊主だよ!人じゃないよ!やだぁママったら、見ればわかるじゃない!」
「…………そうだね。」
テルテルちゃんは、只のてるてる坊主らしい。
『ワンワン王子、……お前はそれが嫁で本当にいいのか?』
「ねぇねぇ、ママ、そらから君はさぁ誰と結婚するの?」
「えっ?急にどうしたの?」
「ママはパパと結婚したんでしょう?じゃあそらから君は誰と結婚すればいいの?」
少し不機嫌そうなそらから君。
おやおや、これはまさかあの噂の『大きくなったらママと結婚する〜!』が聞けるのか!?
「そらから君は誰と結婚したいのかなぁ?」
ワクワクドキドキ
「うーん、とりあえずママじゃない人。」
……下心が見透かされたんでしょうか?
「それでママはどうしてパパと結婚してしまったの?」
……人生最大の過ちでしたか?
「う、うーんお互い好きだからだよ。そらから君もいつか好きな人が出来たら結婚するんだよー。」
いつかきっと、遠い未来にね。
「そらから君は幼稚園で好きな女の子とかいないのかな?」
結婚とか言い出すなんて、もしかして初恋とかしてたり?ちょっと期待。
「ううん、人間の女の子にはいないよ。」
人外にはいるんですか?
お母さんちょっと認められない。
「じゃ、じゃあさ、そらから君はどんな人間の女の子が好きかな?」
「とんなって?」
「例えば、優しい子とか、楽しい子とかさぁ、好きなタイプだよ。」
あの噂の『お母さんみたいな人が好き』とかだと最高。
「じゃあパパのタイプはママ?」
「え!!??」
うーんどうだろう?
好みのタイプと好きは違うけど…。
「そ、そうだね、少しはタイプだったのかもね。」
なんかちょっと照れる。
「ふーん、そっか!じゃあ、そらから君とパパはタイプが違うね!!!」
無邪気に心をえぐりに来たね!
「な、なんか、そらから君たらママに当たり強くない?そらから君ママが嫌いなの?悲しいなぁ。」
少し意地悪したくなる
「!そんな事ないよ!そらから君ママ大好きだよ!!」
「えー本当に?」
「うん!ワンワン王子の次に好き!人間の中ならママが一番好きだよ!」
えっ私そいつに負けてんの?
全人類よりワンワン王子が上位ですか?
「ママ一番がいいなぁ、なんで一番じゃないのよ。」
「うーん一番はなぁ、だってワンワン王子可愛いし……。」
「ワンワン王子は可愛いから一番なの?じゃあママは可愛くないんだね!そらから君酷いよ〜。」
ママの泣き真似にそらから君は大慌て。
ゴメンね、そらから君!でも超楽しい。
「違うよ!違うよ!!ママは可愛いよ!!とっても可愛いよー!!!ホントだよ!!」
必死になって褒めてくれるそらから君
うふふ、そろそろやめないと可哀想かな
「本当?ママ可愛い?嘘じゃない?」
「うん!ママ可愛い!!一番じゃないけど可愛いよ!ちょっとはみ出しちゃってるだけだよ!!!」
にこにこ笑顔のそらから君
「………………そう。」
可愛いけれど何かがはみ出しているらしい。
何がはみ出しているのかは、ママ聞かないね。