第四話 Let’sメイキング!必殺技!
結局ワニモグラとの戦いで一睡も出来なかった。
だが徹夜には慣れている。
一か月程度なら飲まず食わずの不眠不休で動ける。
今更ながら彼は自分の体質を疑問に思っていた。
「ホント何なんだろうこの身体・・・」
そんなことを考えているうちに異世界で初めての朝が来た。
「ソーマよ、起きたか?」
「一睡も出来ませんでしたよ、魔物と戦ってましたので。」
若干の嫌味を込めながら言葉を返した。
しかし、そんなことには気づかずに戦神は続けた。
「では、昨日も言ったが魔法の訓練を始める!」
「よろしくお願いしまーす。」
そんなこんなで魔法の訓練が始まった。
「本来、魔法にはいくつかの手順があるが、貴様の場合チート能力でそれらの手順は省かれている。」
「まずは貴様のやりたい事を思い浮かべてみろ。」
「はーい。」
「(まずは空とか飛んでみたいな、よし!)」
やりたいことを思い浮かべた彼は早速それのイメージを始める。
すると体が宙にふわりと浮いた。しかし、
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
制御を間違えて森の奥まで吹っ飛んでしまった。
数分後ーーー
「し、死ぬかと思った・・・。」
「いきなりジェットのように飛ぼうとするからだ。まずは小鳥程度の速度から始めろ。」
「は、はい」
そして彼は再度イメージを始める。
すると今度こそ空中浮遊に成功した。
「おお!飛んでる!カミサマ!飛んでます!」
「そ、そうか、よかったな・・・クク。」
彼の浮遊は神が日常的にやっていることのため高校生が浮遊でテンションを上げているのを見ると、分かっていても少々滑稽に見えていた。
「ところで技名は決めたのか?」
「技名?」
「技名を決めておくと自分のイメージが明瞭になるから決めておいた方がいいぞ。」
「なるほど・・・。」
「それじゃあ、この空中浮遊は浮遊とかどうです?」
「ありきたりな名前だが分かりやすい、まあそんな感じでよい。」
そこからさらに魔法の開発は進んでいった。
二時間後ーー
「機銃火炎!」
その叫びの直後に発動した魔法は直径50センチほどの火球を連射し、50メートルはあるであろう大岩を粉砕した。
「今のは結構いいと思うんですけど!」
「フン、まあまあだな。」
そういいながらも神の口角は上がっていた。
「(この人間を選んだのは正解だったな。)」
実際にこの者は良い人材と言える。
呑み込みが早く、適応力もずば抜けている。
その上不死身のような生命力ときている。
これが当たりでなくて何だというのか。
ただ唯一不満があるとするなら・・・
「うわっ!」
この異常な不幸体質のことである。
しかもその不幸は命に関わるほどのものばかりであった。
神としての全てが掛かっているこの異世界救済で、あっけなく彼が死亡して失敗したとなれば笑い話にもならない。
ちなみに今の不幸はオートバリアで何とか防げた。
オートバリアをオプションでつけて本当に良かったと思う神なのであった。
神がそうして不安を覚えていると、人間からの質問が来た。
「そういえば、属性って混ぜたらどうなるんです?」
ゲームで見た複合魔法の案が浮かんだ彼は神に問いかけた。
「ああ、それについては我が説明する。」
「属性を混ぜれば威力が何乗にもなる。まさに必殺技と呼べるだろう。」
「そうだ、いいことを思いついたぞ!」
彼は神のテンションの上がりように悪い予感を感じる。
「な、何ですか急に。」
「必殺技をつくれ!三属性複合の強大なものを!!」
「はあ!?カミサマの説明聞く限りいきなりそんなことしたら大惨事になりますよ!?」
「案ずるな、我の方で人間がおらぬ場所を探しておいた!」
神はそう言いながら、目の前の大きな山を指さした。
「あの山だ!あの山なら何をしても人里に被害は出ぬ!さあ!存分にぶちかませ!」
またこの神の自己顕示欲が始まったと、彼は先程の質問を後悔した。
このまま複合魔法を撃たねばこれ以上に騒ぎ出しそうな予感を感じ取った彼は諦めて魔法を撃つことに決めた。
「分かりましたよ・・・」
「よし!そうこなくてはな!!」
テンションマックスの神を尻目に彼は魔法の準備に取り掛かる。
「(炎は核爆発をイメージして圧縮を重ね掛け、土属性で可燃性の高い物質を圧縮しながらを炎の周りにセット、そして風属性でこの二つを超高速でブン回しながら空気そのものも超高密度に圧縮・・・)」
色々と圧縮しまくった結果とんでもない威力になりそうだがここまで来たからにはもう引き返せない。
「行きますよ!カミサマ!」
「ああ!!やれ!!!」
「灼熱地獄!!!」
この魔法を発動した瞬間に空間が、世界が歪んだ。その次に目を閉じていても瞼ごと目を焼き尽くしてしまうような極光が飛び交い、まるで質量を持ったと錯覚するような爆音が飛び込んできた!
次に目を開けたとき、正面にあったはずの山は消し飛び、その奥の人里が見えた。
しかし幸いにも人里にまで被害が及んだ様子はない。
彼はそのことにホッとし、いつの間にかこう言っていた。
「うん、これはダメ。」