3−1 卑弥呼のいないある日
トライトロン王国とハザン帝国との戦はフラウ王女と卑弥呼それにクロード近衛騎士隊長の戦略・戦術更には呪術によって圧倒的な勝利をおさめた。
卑弥呼はトライトロン王国の勝利を見届けると、その精神体はどこの星のどの時代とも知れぬ邪馬台国へと帰ってった。
ハザン帝国は王国の捕虜となった二人を取り戻すもしくは死体を持ち帰るために、忍びの暗殺忍者部隊を差し向ける。
トライトロン王国第一王位継承者フラウリーデ・ハナビー・フォン・ローザス王女は、王国の城の近くにある洞窟内にあった魔法陣の秘密を解き明かし、その中に飛び込んだ。そして、おそらく住んでいる場所も時間も全く異なる邪馬台国の女王卑弥呼と再び巡り合った。
フラウリーデ王女と卑弥呼は義姉妹の契りを結び、ハザン帝国の侵略戦争に当たって、フラウ王女の手助けをするために卑弥呼はフラウ王女の頭の中に自分の意識を潜り込ませトライトロン王国へと降り立った。
卑弥呼はこれまで武闘派一辺倒であったフラウ王女に戦略や戦術思考更には王国ではほとんど馴染みのない呪術をも教え込んでいった。そして絶対に不可能と思われていたハザン帝国の侵攻をほとんど無血で退けることに成功した。
また卑弥呼はトライトロン王国所蔵の蔵書で、王国の存在している世界において遥か昔に存在したかもしれない邪馬台国とその国の女王の生涯についての記録をほぼ読み終わると、再び自分の住む世界邪馬台国へと魔法陣に乗って帰っていった。
フラウ王女は、卑弥呼が邪馬台国へ帰ってしまった今、心の中にぽっかりと穴が空いたような空虚感を感じていた。この1ヶ月間で、自分の脳内には卑弥呼が存在しているのが当たり前のようになってしまっていた。
脳の奥から時々卑弥呼が送ってくる戦略思考や揶揄いが、いつの間にか王女の日常を支えてくれていた。そのためか、知らず知らずの内にフラウ王女は義姉卑弥呼に対し依存してしまっていたようである。
浮か無い顔をしているフラウ王女を見て、両親であるエリザベート・ハナビー・フォン・ローザス女王とスチュワート摂政、妹の第二王位継承者ジェシカ王女もつられたように溜息をつく。強敵ハザン帝国を撃退した今ではそれぞれの私生活の中で、何も心配事はないはずなのに、気がついたらいつの間にか溜息をついていた。
やはり、この王城内ではフラウ王女が浮か無い顔をしていると、その空気が皆に伝染してしまうようである。妹のジェシカ王女や両親の浮かない顔や仕草を見ていると、自分自身が1日も早く立ち直らないとならないと真剣に考え始めていた。
そんな矢先、フラウの脳内に
「しっかりせい!何をいつ迄もそんなにぐずぐずしてるんじゃ、フラウ?」
という卑弥呼の声が響き渡った。
フラウ王女は、一瞬自分の心が読まれてしまったという思いと、何故、義姉の声が聴こえるのかを理解できず、卑弥呼に逢いたい一心で、幻聴でも聞こえているのかと不安に駆られた。
お詫び
2ヶ月ほど前、第三話を投稿するために下書きを作成しておりました。執筆活動を慣れないパソコン上で行なってなっているため、いくつかのゴミが溜まっており、それが気になってゴミ削除を行う際に誤って一番元になっているシリーズそのものを削除してしまったようです(ゴミと同時に本体まで削除)。
なんとか復活を試みましたが、本体の復活は不可能となりました。
そこで、改めて原稿から引っ張り出し、修正・補正を加えながら再度投稿いたしております。
第一話と第二話を見ていただいた方は、この第三話からは未掲載分になります。
ご迷惑をかけて誠に申し訳なく思っております。 掲載者:はたせゆきと




