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5−23 プリエモ王国の王城

 かつて、ジェシカ王女がこのプリエモ王城に来ていた頃は未だ幼なかったこともあり、彼女の中の記憶は少し曖昧(あいまい)であった。一行は、早速昼食の用意された食堂へと通された。

 テーブルの上には昼食だというのに王族をもてなすのに十分に手の込んだ料理が所狭しと並べられれていた。


 フラウ王女が国王夫妻に礼の言葉を述べるために立ちあがろうと腰をうかし上げた矢先に、国王のキングスタット・シューイ・リンカ・オルマンとフレデリカ王妃が立ち上がり、歓迎の挨拶とフラウリーデ王女とクロード近衛騎士隊長の結婚祝いを述べ始めた。


「フラウリーデ王女殿、クロード・トリトロン殿、この度のご結婚おめでとうございます。前祝いとしてささやかな食事を用意させて頂きました。それに遠路遥々招待状を直接お持ち頂き誠に恐縮致しております 」


 フラウ王女とクロード近衛騎士隊長は、思いもかけぬプリエモ王国の国王夫妻からのもてなしのあいさつに少し緊張していた。


 一方キングスタット国王は、フラウリーデ王女とクロード近衛騎士隊長の結婚式には万難を排しても出席するとの返事の(かたわ)ら、今回は第一王女も同行させてもらいたいと願い出た。


 フラウ王女は、久しくプリエモ王国の第一王女フランシカに会っていなかった。幼い頃のフランシカ王女の顔を思い出しながら、むしろ光栄に存じますとそう応じた。

 

 国王夫妻の挨拶が終わるのを見計らったように、次期王位継承者のホッテンボロー・シューイ・リンカ・オルマン王子とその妹のフランシカ王女が入ってきた。

 確かフランシカ王女はジェシカより1歳年下だった記憶がある。幼い頃の面影はなく、純金色の長い髪に翡翠(ひすい)のような深い緑色の大きな瞳が特徴的で母親似の柔らかい印象の美少女に成長していた。


 ホッテンボロー王子は部屋に入ってくるなり妹の手を引いてフラウ王女とクロード近衛騎士隊長の前まで来ると、プリエモ王国の儀礼に乗っ取った丁重な挨拶を行った。

 この挨拶はフラウリーデ王女が次期女王の座に着くことを前提とした極めて丁重な正式の挨拶であった。

 その後ろで妹のフランシカ王女が同じように挨拶を行った後、自分達の席に移動した。


 その際、二人はジェシカ王女の横を通ることになったが、ホッテンボロー王子はジェシカの前で立ち止まり、ジェシカが一緒に来てくれたことに感謝の言葉を述べていた。ジェシカ王女は思わず立ち上がり頬を少し赤く染めながら、やっと会えたことの喜びをその笑顔と言葉で表現していた。

 

 食事も終わり、フラウ王女とニーナ蔵書館長は、トライトロン王国が抱えている技術的な課題を話題にしながら、国王夫妻にリーベント・プリエモール男爵に会える手筈(てはず)を取って欲しいと依頼した。


 その条件として今後トライトロン王国で研究開発される成果については、両国で共有する考えを持っていることも併せて伝えた。そして、この内容については両親も承知でその全責任を自分とジェシカ王女に委ねられていることも併せて、、、。


「それでは、詳細な話を聞かせてもらえませんか?フラウリーデ王女殿下! 」


 その間、ホッテンボロー王子とジェシカ王女は、ラングスタイン大将を連れてプリエモ王国の街を散策することになった。そして自分達は王城に残り明日以降のことについてもう少し話を続けるつもりであると同行を断った。

 フラウ王女は突如忘れていたといわんばかりに手を叩き、ラングスタイン大将がトライトロン王国でも一、二を争う剣の使い手であり軍隊でも持って来ない限り彼を無力化することは無理だろうと付け加えた。

  

 ホッテンボロー王子からすれば王都見学なら皆一緒の方が良いのではないかとも思ったが、フラウリーデ王女が自分とジェシカ王女に気を遣っているのだろうと理解し、4人で部屋を後にした。


 フラウ王女は、まず最初にトライトロン王国がハザン帝国との間に抱えている問題点について話し始めた。そして、王国の対ハザン帝国への対応と今後の産業発展の為には、プリエモ王国と、王国の研究者リーベント・プリエモール男爵の能力がどうしても必要なことを熱心に説いた。


 そしてこれを機にトライトロン王国とプリエモ王国が公式に技術同盟を結ぶことにより、開発費用はトライトロン王国で、人材の一部をプリエモ王国が提供することで、得られた技術的な成果は両国で分かち合う用意があることも自分の正直な気持ちを話した。


 キングスタット国王はフラウリーデ王女の申し入れを快く受け入れると、リーベント・プリエモール男爵と極めて懇意にしている王城勤務の大臣を一緒に同行させると約束してくれた。

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