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番外編1 ニユは大袈裟だね

「ニユー、どう?」


「はい、ちゃんと色がついてますよ!そろそろ出しますか?」


「うん、お願い。」


ナディア様はクリームを泡立てながら私にそうおっしゃった。


私たちが今作っているのは、ナディア様がどうしても食べたいとおっしゃった「デニッシュパン」を焼いている。


薄く生地を伸ばしてクルクルと巻いたパン。


私も初めて聞いたパンだけど、見た目は美味しそうだ。


ナディア様曰く、そのまま食べても美味しいけどクリームを乗せて食べるともっと美味しいらしい。



「よーし、ホイップ完成っと…。ニユ、パンは冷めた?」


「はい、だいぶ冷めてますよ。」


ナディア様はご自分でパンに触り、冷めていることを確認された。


そして、先程まで泡立てていたホイップをパンに乗せる。


「完成!ホイップデニッシュ!うん、美味しい!」


「とても美味しいですね!なんだかいつものことですけど、ナディア様の作るお菓子を食べた後は体が軽くなるんですよね。これもナディア様のお力でしょうか?」


「あはは、大袈裟ね。別に特殊能力持ってたりなんかしないよ?」


ナディア様が召し上がった後に私もパンを一口。


本当に、ナディア様のお菓子を食べた後なら1番大変な仕事である舞踏会時の給仕も難なくこなせそう。


ナディア様はいつも一緒に食べようと言ってくださるけど、王宮内ではメイドが主人である王族の方と一緒に物を食べることができないというルールがある。


それはダリア宮でも同じで、長ではあるがメイドである私はナディア様と共に食べることを控えていた。


何より、ナディア様は私たちメイドにも気さくに話しかけてくださるため、どうしても一緒にご飯を食べていると会話に気を取られてしまうことがある。


宮殿内騎士がいないダリア宮では使用人全員が協力して護衛の役割を担っているため、それは良くないわ。



それはそうと、ナディア様の作るお菓子がただのお菓子ではないことにダリア宮の使用人たちはすでに気づいている。


もちろんこの国どころか全世界を探してもナディア様が作るお菓子のようなものは見つからないっていう点もだけど、それ以前にナディア様の作った…正確には作る時の工程のどれかひとつでもナディア様が行ったお菓子には、ほとんどの場合明らかに“神子の力”が混ざってるのよね。


食べた後、いつもより体が軽く感じる。


私もだし、みんなそうだった。


しかも、聞けばナディア様は「みんなにこれ食べて元気になってほしい」って思われているそう。


神子の力は、神子が神杖を持ち願うと発動される力。


でも、神杖がなくても神杖の代わりがあれば神子の力を発動する者もいたらしい。



色々考えたけど、今はまだ確証がないから私の心のうちに留めることにした。

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