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ミッション2 お父様を味方につける

本宮殿に来てから1週間が経った。


私は、早くも部屋を移動することになった。


新しい部屋は来客者があった時に泊まってもらう部屋のあるフロア。


何故移動することになったのか。


それは、同じフロアのルージーお姉様やリューナお姉様のお世話をしにきたメイドや召使いに嫌がらせをされたから。


本宮殿の使用人は私に優しくなかった。


だって、私のことをナディアって呼んでくれない。


それどころか、侍女、侍従には下賤の子と呼ばれているらしい。


昨日も廊下を歩いていたら面と向かって「いくら王族とはいえ庶子が我が物顔で本宮殿を歩いているなんて信じられない…!」って嫌味言われたし、一昨日は一瞬部屋を留守にした瞬間に勝手に部屋に入ってきた召使いがいるのか、食べかけのケーキがぐちゃぐちゃになっていた。


それで、私がお父様に直接「部屋を変えてほしい」って言ったの。


ダリア宮に戻りたいって言ったのに却下されたから仕方なくそう言った。



お引越しは前みたいに本宮殿の使用人ではなく元ダリア宮の使用人だけで行うことになった。


この前、私のドレスがいくつか破かれていたの。


破かれていたのは全部お気に入りのちょっと高級なやつ。


また何か破壊されたら困るから、信頼できる人だけでお引越しする。


お父様は監視目的か知らないけど何故か私に本宮殿の侍女を付けたがった。


もちろん断ったわ。


王族女子には侍女が必要って言うなら、ニユを侍女にする。


侍女には貴族の娘しかなれないらしいけど、料理人のおじいちゃんが男爵位持ってるから必要ならニユを養子に取って貰えばいいわ。



「ナディア様、陛下がお見えなのですが…。」


「お父様が?なんでまた。」


お引越しを終えた後、家具やらを運んでくれたメイドたちと一緒にマカロンを食べていると、いきなりお父様が部屋に来たらしい。


「ナディア、新しい部屋はどうだ?このフロアのナディアの部屋があるエリアには一時的に元ダリア宮の人間しか入るなと言ってある。」


「はぁ…。」


「ところで、それはなんだ?」


「あ、これですか。これはマカロンです。」


なんだ、新しい部屋云々は建前でこっち目当てだったのね。


マカロン生地をあらかじめ焼いておいたやつにジャムを挟んだだけの即席マカロンだけど、ジャムは今日の朝作ったものだから部屋中いい匂いが漂ってる。


廊下まで匂いが漏れててもおかしくないわね。


「…お父様もおひとつどうですか。ここの人数分しかないのでふたつ以上はあげられないけど…。」


お父様は明らかにマカロンが気になってる様子。


仕方ないから私の分をあげると、お父様は「ナディアが食べて欲しいと言うならば」とマカロンを受け取った。


なんなの?エルディン王家はみんな揃ってツンデレ?



その日から、お父様は私がちょうどおやつを食べている3時に私の部屋に来るようになった。


そして、一緒におやつを食べてからまた仕事に戻る。


最初は無言で食べて無言で帰っていってたけど、数日経った頃にはいろんな話をしてくれるようになった。


「ナディア、本宮殿には慣れたか?」


「まあ、はい。でもやっぱり3時のおやつはダリア宮のガーデンの方が落ち着きますね。」


「…それなら、この部屋の外にガーデンを作ってやろう。この部屋にも工事が必要になるからまた一時的な部屋の移動が必要だが…。」


は?この部屋の外にガーデン!?


ここ2階なんだけど…。


そう思ってお父様の話を聞いていると、お父様が作ろうとしているガーデンの概要がわかった。



この部屋の外にある下の土地は何にも使っていない。


また、この部屋の下の階の部屋は物置になっていて窓がないから、外に階段を取り付けてガーデンに降りれるようにする、とのことらしい。


「そのガーデンはお前のものだから、花も好きなものを植えるといい。」


「そんなもの作ってもらっちゃっていいんですか?」


「ああ、こっちの都合でいきなりナディアにとって居心地が悪いであろう本宮殿に移動してもらったからな。…ベイルたちとはどうだ、うまくやっているか?」


「はい、なんか…厨房でお菓子を作っているとやってきてお菓子食べて帰っていきますね…。」


「よかった、なんだかんだ上手くやってるんじゃないか?リューナとルージーは特にお前に敵意を向けていたから、少し心配だったが。」



その後も少し話し、お父様は仕事に戻っていった。

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