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ミッション1 兄妹たちと仲良くなる

ドタバタお引越しの次の日。


「ナディア様、おはようございます!」


いつも通り、ダリア宮メイド長のニユが私を起こしにくる。


いつもと違うのは、私の部屋が本宮殿にあるということ。


「ナディア様が眠っていた間に厨房の使用許可をいただいてきました。ナディア様、私、ヘレナ、ケイト、リジーが厨房に入れるようになりました。」


「わ、ありがとう!ということはお菓子作りは続けられるのね!」


「はい。また、ナディア様用の予算が2倍近く増えました。お菓子作りの際、予算オーバーを恐れて購入できなかった高級フルーツが使えると思いますよ!」


「ほんと!?じゃあ、シャインマスカットマスカットとかも使えるってこと!?」


使えるお金が増えたのは予想外だったわ!



にしても、ニユはとっても仕事が速い!


本宮殿の厨房は、料理を1番美味しいタイミングに提供するため、基本的に料理人とキッチンメイドしか入れず王家でさえ料理人に事前に知らせないといけない。


使用許可はいずれとってもらう予定だったんだけど、まさかもうとってくれたとは思ってなかったわ。


「じゃあニユ、今日中にシャインマスカットの発注をお願い!」


「了解いたしました。」



ニユにシャインマスカットの発注を頼んでから3日。


調理台の上には立派なシャインマスカットの房が3つ。


「よぉし、今日はシャインマスカットのタルトを作るよ!」


「タルト、ですか?どのようなものなのでしょう?」


「え〜っと…クッキーみたいなやつ?まあ、美味しいよ!スポンジケーキより気にいる人もいるかも。」


まさかタルトもないなんて…!


じゃあもしかしてタルト型もない!?う〜ん…スポンジケーキの型でなんとかするしかないかなぁ。


そう思いながら型を探していると…良いものを見つけた。


それは、カップケーキの型!


これ使えばいい感じになるのでは!?



「よし、これでいこう!バターと砂糖をよぉくすり混ぜて、卵黄を加えてよく混ぜるでしょ?で、薄力粉入れて混ぜる!」


「あ、卵黄と卵白分けないといけないやつですね…!私それやります!」


「よし、生地がひとまとめになったし、ちょっと冷蔵庫で寝かせるよ。」



1時間後。


「じゃあこれを…まず、型にバター塗って小麦粉ちょっとはたいて…あ、もうやってくれてるのね!じゃあ、こんな感じで生地をしいていくの。で、フォークで穴をたくさん開けてからさっき予熱しといたオーブンに入れて完成!」


「結構簡単ですね!」


「でしょ!」



十分に生地が焼け、オーブンから取り出すといい匂いがする。


冷ましてから、クリーム絞ってシャインマスカットを敷き詰めたら完成!


スポンジ使っても良かったけど、高さが低かったからクリームだけ使うことにした。



お菓子作りに夢中なナディアは、厨房の入り口から兄たち3人がのぞいていることに気づいていなかった。


「ねえ、ナディアは何をしているの?」


「知らない。これだから、母親が卑しい子のやることはわからないわね。」


「やめてあげなよ、リューナ、ルージー(笑)。」


「そこで何してるんですか?」


「うわあああ!?」


さっきまで気づいていなかったナディアだけど、お菓子作りが終わった瞬間速攻彼らに気づいた。


思わず叫んだ3人に、ナディアはさらに話しかけた。


「シャインマスカットのタルトができたんですけど食べますか?まだ3人分残ってますよ。」


「い、いらないわよ!あんたなんかが作ったもの…!って、ちょっとベイルお兄様!?」


「いや〜、甘い匂いがして…。これ、美味しいよ?悪い子じゃないと思う〜。」


「お兄様!?食べ物で釣られるなんて次期国王として恥ずかしくないので…むぐ!?」


「2人とも遠慮せず食べてみて!見た目よくわからないけど美味しい!」


さっきまで私に対し敵意のある目を向けていたベイルお兄様が一瞬で人懐っこい猫のような表情で妹2人の口にタルトを突っ込む。


「…悪くはない、ですわね…。」


「そうね…。」


リューナお姉様、ルージーお姉様はそう言いながら、タルトを完食してしまった。



「ねえねえ、また何か作ったら食べてもいい?」


「え、ええ。いいけど…。」


「わ、私たちも…食べてくれって言われたら食べてあげますわ…!」


そう言って3人は厨房を出ていった。



嵐のように3人が過ぎ去った後、私たちは料理人のおじいちゃんの「ツンデレかいな姫様お二人は。」と言うつっこみに爆笑しながら後片付けをしたのでした。

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