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自動人形。

 そこは、ビロードの敷き詰められた落ち着きのある空間で。

 やっぱりエグザさまの書庫とはイメージが全く違って見えたけど。


 それでも。


 セピア色のゆったりとした光。

 きっとあまり強い光は本にとって良くないからなのかな?

 淡い光源から降り注ぐその光はうっすらとまうホコリにあたりキラキラと周囲を彩っていた。


 背の高い本棚がたくさん並んだそこにはみたこともないような量の本が収められていて。

 その背表紙に書かれた文字を追うことであたしにもこの国の歴史の長さを感じさせてくれている。


 大きなホールの壁に設られた本棚はそのまま2階、3階へと螺旋状に続き。

 ゆったりした階段に沿って登ればその本をゆっくりみて廻れた。


 階下には厳重に扉が閉まり、そこにはきっと人前には晒せないような貴重な本が収められているのだろう。そんな気がする。


 移動式の脚立がそこらここらに置かれ、背が届かない場所にある本も自由に手に取ることができるようになっている。


 もちろん、中央には閲覧用にテーブルが用意され、そこでは王宮詰の学者さまや技術者の方が本を読み漁っていた。


 そして極め付け。


 ここには自動人形オート・マタの司書がいて。


 図書館の扉をあけ中に入るなり声をかけられたあたしたち。


「いらっしゃいませ王子殿下」

「いらっしゃいませ姫様」


 そう小首を傾げ出迎えてくれたのは、大きな猫型のぬいぐるみとでも表現すればいいのかそんな自動人形オート・マタだった。


「やあ、フロスティにタビィ。今日は新しいお客様を連れてきたよ」


 ジーク殿下がそうニコニコとその二つの大きなぬいぐるみの頭を撫でて。


「わたしはフロスティです。なんでもおっしゃってくださいませ姫様」

「あたしはタビィです。どうかなんでもご命令ください姫様」


 二人揃ってそう話すその姿はものすごく可愛らしく。


「わたくしはクラウディアです。よろしくね可愛らしい猫さまたち」


 ディアもそうカーテシーをしながらそう挨拶をしてみせた。


「よろしくお願いします姫さま」

「こちらこそお願いします姫さま」


「ああ、でもわたくしは姫ではないので、そこは直していただけないかしら?」


「わかりました姫さま」

「了解です姫さま」


 んー?

 この子達、女性はみんな姫さまって呼ぶのかな?


「殿下……」


 クラウディアはジーク殿下に助けを求めるように上目遣いでそう言って。


「んー。どうしてだろうね? 他の女性には普通にお嬢様とか言ってた気がするけれど。でもまあディアは私の婚約者で将来の王太子妃であるわけだから、姫でも間違いではないけどね?」


 そこのところはあんまり深く考えずそう答える殿下だった。

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