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初手王手  作者: 神無月 尚己
2/2

夜2時半の修羅場

夫が女を連れて自宅にやってきた。

女はすみませんしかいわない。

夫は「こういうことだから。別れてほしい。子供たちは俺が育てる」

その言葉には私と女がびっくり。私はさすがに冷静でいられなくなった。

「子供を育てるって、こんな卑怯なことしてる二人に育てられるわけがない。」

「あなた出身はここですか?」

女はやっと口を開いて「違います」と答えた

「地元でない場所で、私たち夫婦は力を合わせて子供たちを育ててきました。あなたには絶対それはできません。私の子供を守れるわけがない。帰ってください。」

「名前は?住所は?ここに来たからには堂々と言えますよね?教えてください。」

女は口を閉ざした。

「自分のこともろくに言えない人が親になるなんてふざけてる。まじで帰って。」

女は帰ることも抵抗していた。「でも、奥様離婚したがってたじゃないですか!」

たしかに夫婦喧嘩ではよくそんな話になったこともあった。ただ、具体的に話を進めたこともなく数時間後には仲直りする。そんなレベルだった。

夫が口を開いた。「お前、離婚届家においてるいってたじゃん。」

「確かに言ったさね。市役所取りに行ってやるって。でも、そんなもの置いてるわけないでしょ。紙切れ一枚でサッと書いて出せる話でもないじゃん。どうして喧嘩で口走ったことを真に受けて、他人にいうの?」

「奥様、本気で離婚したいと思ってるんじゃないなら、離婚したいって言わないでください!」なぜか浮気女に怒鳴られてしまった。

このままでは子供たちが起きてしまう。「とりあえず、これは夫婦の問題ですので今日のところはお引き取りください。隣で子供たちが寝ています。起こしたくない。お願いします」精一杯の言葉だった。

女は少し冷静になったのか「そうですね。今日は帰ります。」

サッと引いてくれた。

夫はタクシーを呼んで女を送りに行った。

玄関ドアがガチャンとなった瞬間、全身の力が抜けて震えた。人生でここまで震えたことがないくらい。筋肉が働いた。


怖かった。


でも、本当の恐怖も修羅場もここじゃなかった。むしろこれが始まりでしかなかった。


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