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【IF】シエテルート2nd 3-a-1

 ▶a追いかける

 ▷b追いかけない

 ▷c玄関の扉に八つ当たりする

 

 

 シエテは、とっさに二人を追いかけていた。

 玄関の扉を開けると、二人はまだ近くを歩いているのが見えた。

 何の考えもなく、衝動的に二人を追いかけたシエテは、シーナの腕を掴んで引き止めていた。

 シーナは、掴まれた腕に驚き何度も瞬いていた。

 

「どうした?もしかして、なにか忘れ物でもあったかな?」


 クリストフは、そう言ってシエテを見たが、シエテはそれに答えずにシーナを見つめて言った。

 

「シーナ……」


 ただ、何を言っていいのか分からなかったシエテは、口ごもった。

 そんなシエテにシーナは、不思議そうに聞いたのだ。

 

「にーに?変だよ?どうかしたの?」


「…………」


「にーに?もう、遅いし帰るよ?」


「・・だ……」


 シエテの小さな呟きを聞き取ることが出来なかったシーナは、シエテの口元に耳を寄せるようにして聞いた。


「えっ?何?今、なんて?」


「駄目だ、帰さない……」


 シエテの言葉に、シーナもクリストフも困惑した。

 それに構わずに、シエテは続けて言った。

 

「シーナ、駄目だ。帰るな」


「えっ?どうして?だって、お兄ちゃんから言ったんだよ?兄離れしろって……、それなのに、にーには勝手だよ!」


 シエテの身勝手な言葉にシーナは声を荒げていた。しかし、シエテは、それに構うことなく、続けて言った。

 

「それでも、駄目だ。今日は、帰さない。クリフ、悪いがシーナのことは諦めてくれ……」


 シエテの言葉に、クリストフは怒りの感情を顕にした。

 

「は?それって、さっきの俺の言葉に対してか?シーナちゃんの兄貴だとしても、お前に俺を止める権利なんて無い!!」


 そう言ってから、クリストフはシエテに殴りかかった。

 しかし、シエテは簡単にそれを避けて、逆にクリストフの腕をひねり上げた。

 そんな二人を見たシーナは、慌てて二人を止めるために間に入っていった。

 

「にーに!!やめて!!クリストフの手を離して!!」


 シーナの声を聞いたシエテは、クリストフの手を離したが、二人は一触即発の状態だった。

 このままでは大喧嘩になると考えたシーナは、シエテの背を押してシエテの家に引き返しながら、クリストフに向かって言った。

 

「クリストフ!ごめんね、にーにがなんか変だから、今日はにーにの家に泊まるから、クリストフはもう帰って」


「でも!!」


「大丈夫だから!!」


 そう言って、シーナを心配するクリストフを置き去りにするように、シエテの背を押して急いでシエテの家に引き返したのだった。

 

 シエテの家に着くなり、シーナは問い詰めた。

 

「にーに?どうしたの?さっき変だったよ?クリストフにあんな事するなんて、どうしちゃったの?」


 シーナが心配そうにシエテに声をかけるが、シエテは何も答えずに、シーナの手を引いて自室に向かった。

 自室にシーナを連れて入ったシエテは、驚くシーナを無言で抱きしめていた。

 

「えっ?にーに?具合でも悪いの?」


 心配してくれるシーナの口調が、以前のにーにというものに戻っていることに嬉しいようなそうでないような複雑な思いをしていたシエテは、更に力を込めてシーナを抱きしめた。

 

 すると、シーナが怒ったような声音で言った。

 

「にーには勝手だよ!自分から、離れるようなこと言ったり、家から出ちゃったり!!勝手だよ!!なのに、また、私のこと抱きしめてくるし……、勝手だよ!!うあぁぁーーん!!」


 そう言ってシーナは泣き出していた。

 シエテは、泣き出したシーナを更に強く抱きしめて何度も何度も「ごめん、ごめんね」と繰り返した。

 

 

 シエテは、「ごめんね」という言葉を繰り返しながら、シーナの唇を何度も何度も奪っていた。

 最初は驚いていたシーナだったが、抵抗もなくされるままになっていた。

 抵抗がないことをいいことに、シエテの行動は次第にエスカレートしていき、気がつけばシーナをベッドに押し倒して服を剥いていた。

 シエテに、服を脱がされたことに遅れて気が付いたシーナは抵抗したが、シエテにその抵抗を簡単に封じられてしまった。

 

「なに?にーに?待って、いや……、だめ!!」


 シーナの拒絶する言葉を聞いてもシエテは、無我夢中でシーナを抱いた。

 シーナが気を失っても、獣のように何度も何度も。

 

 空が白み始めたころになって、シエテは自分のしたことの恐ろしさに気が付いた。

 自分を実の兄と慕うシーナを無理やり抱いたことに、血の気が引いた。

 

(俺は、なんてことをしてしまったんだ……)


 気を失っているシーナの顔には、幾筋もの涙の跡が残っていた。

 そして、シエテが見つめる今この瞬間にも新たな涙が零れ、新しい涙の跡を残していた。

 

 シエテは、気絶しているシーナの身を清めて服を着せた。シーナの体を清める時に目に入った、ベッドに散る血の跡に更に血の気が引いた。

 

 そして、全てを片付けてから身の回りのものを小さなバッグに詰めて一通の手紙を残して家を出た。

 

 向かった先は、騎士団の詰め所だった。

 詰め所で偶然居合わせた、他の班の班長に言伝を頼んだのだ。

 

「突然のことで申し訳ないのですが、騎士団を脱退します。そう、団長と班長に伝言をお願いします」


 そして、シエテは街を去った。

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