【IF】ざまぁ、滅亡END 3
「なぁ、この騒ぎの元凶は、あの場で唯一人生き残っていたあの女だろう?だったら、元凶の女を殺せばいいんじゃないか?」
その男の言葉に、その場にいた全員が頷いたのだった。
そして、封鎖した聖堂の周囲に油を撒き、火を付けたのだった。
大雨のせいで、火は直ぐに消えてしまった。
それならばと、火薬なども掻き集めた。
雨で濡れないように、樽に詰めた火薬を大聖堂に大量に配置した。
火薬の力もあって、大聖堂は大爆発の後に大きな炎に包まれたのだった。
燃え盛る大聖堂を見た人々はこれで助かると歓喜の声をあげた。
その炎は、数日間燃え続けた。
火が消えた後の大聖堂は、瓦礫の山と化していた。
人々は、「魔女が死んだ!!これで助かる!!」と歓喜の声をあげた。
しかし、人々が浮かれた空気に酔っているそんな中、ありえないことが起きたのだ。
瓦礫の山が微かに動いたのだ。
一人がその事に気が付き、声を上げた。
「おい!今……、瓦礫が……、うごいた?まっ、まさか!!」
男がそう言ったあと、その場は静寂に包まれた。
誰も一言も発せずにただ、男の指差した瓦礫を固唾を呑んで見続けた。
すると、「カタッ」「ガタッ」と少しづつ、瓦礫の山が振動したのだ。
そして、人々が考え得る最悪が目の前に現れたのだ。
瓦礫の下から、黒い人影が現れたのだ。
それは、真っ黒な辛うじて人の形をしていた。
人々はパニックとなり、手近にある石をその黒い人影に向かって投げつけた。
そのうちの一つが、黒い人影に当たった。
恐ろしいことに、その黒い影から真っ赤な血が流れ出したのだ。
そして、その暗い影はゆっくりとした口調で、目の前にいる人々に告げたのだ。
「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!わたくしを閉じこめて、火をつけたわね!!!許さない、許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!」
その呪いの言葉は、不思議なことにその場にいた全員の耳にはっきりと届いたのだ。
その言葉を聞いた者たちは、次々と黒い血を吐いて死んでいった。
黒い影、イシュタルは、そんな人々を見て狂ったように笑った。
「あはははは!!みんな死ね!!死んでしまえ!!姉様のいないこんな世界なんて滅んでしまえ!!あはははははは!!!」
自分の思った通りに人々が、虫のように簡単に死んでいく光景にイシュタルは、狂ったように笑った。
しかし、そんなイシュタルだったが、ふと気が付いたときには、何かが手足に巻き付いていたのだ。
手足に巻き付く不思議なものを疑問に思いつつも、特に気にすることもなく、イシュタルはその場を動こうとした。
しかし、何故か足が動かなかったのだ。
「なっ、何!?」
イシュタルが驚きに声を上げたが、そのときには全てが終わっていたのだ。
手足に巻き付いた何かが、イシュタルの四肢を四方向に引っ張ったのだ。
イシュタルは、身動きもすることは出来ずに、強い力で四肢を引っ張られることに叫び声を上げた。
「えっ?何?痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!裂ける!!体が、わたくしの体が裂ける!!!!」
体中がミシミシと嫌な音を立てていることにイシュタルは、狂った様に叫び声を上げた。
そして、とうとうイシュタルの四肢は引き裂かれたのだ。
手足は千切れて四方に飛び散った。
千切れた部分から大量に血の花を咲かせた。
それでも、イシュタルは意識を失うことはなかった。
四肢を失い、まるで芋虫の様になってもイシュタルは、もぞもぞと動いていた。
不様に地面を這いつくばる中、イシュタルの瞳に映る人影があった。




