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【IF】クリストフルート 5-a

 ▶a俄然居残りたくなった。

 ▷bシエテに悪いと思ってすぐに店を出た。

 

 余りにも焦った様子のシエテが珍しくて、俺はついつい意地悪な思いがムクムクと頭を過ぎっていた。

 シエテに抵抗するように、足を踏ん張ってその場を動かないようにしていると、シエテが焦ったように言った。

 

「クリフ!!本当にまずいんだって!!」


「何がそんなにまずいってんだ?どうせ妹ちゃんとの待ち合わせだろう?」


「違うから!!」


 俺が妹ちゃんとの待ち合わせなのだろうと、シエテに向かって言うとすぐに否定された。

 

「え?違うの?う~ん。そんなに俺に見られてたくない相手って……」


「誰でもいいだろう!!兎に角今はまずい!!だから早く……この…場を……はなれ…………」


 最初は勢い良く喋っていたシエテはの言葉は、次第に尻すぼみしていった。

 そして、青い顔のシエテは頭を抱えて俺に言った。

 

「はぁぁ。もう、手遅れだ……。お前が悪いんだぞ……」


 そう言って、店の入口に現れた一人の女性を見つめて俺に言った。

 

 現れた女性は、にこやかな表情でシエテに声を掛けていた。

 

「お出迎えご苦労さまです。おや?そちらの少年は?お友達ですか?それとも、新人ですか?う~ん。そうですね~、シエテのお友達で新人なら使ってもいいかな?ですが、見たところ普通の少年のようですが?はてさて……」


 一人で話しだしたその女性は、そこまで話したところで口元をニヤリと歪めてから心の底から楽しそうな表情になってから言ったのだ。

 

「ふむふむ。それでは、ちょっ~~~と、改造しますか」


「っ!それは!!」


 女性の謎のセリフにシエテが反論の言葉を言うと、謎の女性は眉を顰めてから冷たい声音で言った。

 

「反論は許可してない。そもそも、お前のミスだ。口答えは許さない」


「はい……」


 二人の謎なやり取りに呆気にとられている俺に、謎の女性はにこやかに名乗って手を差し出してきたのだ。

 

「こんにちは。あたしは、シエテの上司のような立場の人間です。気軽に、ミュルエナさんと呼んで下さい。というわけで、自分のこれからの運命について、文句はシエテに言ってくださいね?」


 そう言って、無理やり俺の手を握ってきた。そして、手を握られて瞬間、手のひらに小さな痛みを感じたのと同時に、俺の意識はブラックアウトしていた。

 

 その後、俺はと言うとシエテの秘密を知ることとなった。

 なんと、シエテは裏社会のボスの右腕として暗躍していたというのだ。

 

 裏社会のボスであるミュルエナさんは、表の世界の雇い主の用事だとかでたまたまこっちに来ていたらしい。

 ミュルエナさんは、ディアロ領から離れたがらない右腕を王都に呼ぶための説得をするために、待ち合わせをシエテに強要していたそうだ。

 それで、偶然鉢合わせた俺を使ってシエテを強請ろうと考えたそうで……。

 そう、俺はあの場で薬を使われて攫われていたのだ。

 でだ、なんだかんだ言ってシエテのやつ、俺のこと親友だと思ってくれていたみたいでさ……。俺の存在を使って、あれこれと脅しを掛けられて、譲歩したらしい。

 全部俺の意識がないうちの出来事なので、シエテが屈するほどの脅しがどんなものだったのか知るのが怖いっていうか……。

 それに、なんでシエテが裏社会のボスの右腕になっていたのかも謎だったが、いくら聞いてもそれについては話してくれなかった。

 そういう訳で、シエテにデカイ借りが出来てしまった俺はと言うと、絶賛裏社会のボスとシエテの連絡役として暗躍中だったりする。

 そして、連絡役と言ってもある程度の技術は必要だと言われて、口には出せないような訓練も課せられた俺は、見事に裏社会の住人へとジョブチェンジしていたりする……。

 だけど、実はこのことにあまり後悔はしていなかったりもする。

 あれから、シエテとの距離はぐっと縮まっていた。

 今までは、自称親友みたいな感じだったけど、今では一緒に仕事をしたりして親友以上の関係になっていると俺は思っている。

 意外に裏社会と言っても弱きを助け強きをくじくみたいな精神で、俺は結構気にいっている。

 ボスも案外いい人で、俺は居心地の良さも感じていた。

 鬼畜だけど意外にいい上司と、最高の相棒の存在に俺は充実感に満ちた生活を送っていたのだった。

 あの時、ボスに出会えて本当に良かったと思っている。

 シエテと相棒と呼べる間柄になることが出来たからだ。





【IF】クリストフルート 相棒END 完

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