【IF】クリストフルート 3-b
▷a追いかけない
▶b追いかける
人影が気になった俺は、なんとなく後を追った。
すると、薄汚れたおっさんがフラフラと歩いているのが見えた。普段の俺だったらきっと声をかけることはなかったと思う。だけど、なんだか声を掛けたほうがいい気がした。
自分の直感を信じてみようと思った俺は、おっさんに声を掛けた。
「えっと、大丈夫か?フラフラだけど?」
俺が声をかけると、おっさんはゆっくりとした動作でこっちを振り返った。
振り返ったおっさんを見て俺は驚きの声をかげていた。
「えっ?領主様?」
なんと、薄汚れたおっさんは領主様だったのだ。こちらから声を掛けておいてなんだが、この後どうしたらいいのか迷っていると、領主様が気まずそうに言ってきた。
「すまないが、体力的に限界で……。あー、ゴホン。屋敷まで肩を貸してくれるか?」
肩くらい別に貸してもいいと、俺は即答した。
領主様を屋敷まで送り届けてたら、そこそこ時間が過ぎていたのだ。
結局、妹ちゃんに出会うことはなかった。
その後、何度か妹ちゃんを見に出かけた俺だったが、妹ちゃんを見かけることは一度もなかった。
そこで俺はある恐ろしいことに気が付いてしまったのだ。
シエテの妹は、本当に存在しているのか?ということにだ。
まさか、イマジナリーシスターでもヤツには見えているというのか?シエテは何か心に闇でも抱えているとでも言うのか?
もし、シエテが心に闇を抱えているせいで、他の人間には見えない架空の妹を作り出しているだのとしたら、親友としてなんとかしてやりたいと思うだろう?
そう考えた俺は、遂に言ってやったのだ。
「なぁ、シエテよ。悩みがあるなら相談にのるぞ?一人で抱えていても解決しないこともあるぞ?」
「は?俺に悩みなど無いが……。お前こそ大丈夫か?」
「無理する必要はないぞ?言いにくいことでも、俺は受け止めるからな!」
「は?別に何もないぞ」
「俺は大丈夫だから!!」
しかし、シエテは俺に悩みを打ち明けることはなかった。
そんなやり取りをしてから、数日後のことだった。なんと、運命の出会いが俺を待っていたのだった。