第6話 ユカルド・ユーステリア
最近…リアルが地味に忙しいかいです。
小説を書く時間などが中々確保しずらくなりそうです…まぁそんなことはおいておきましょう。
それでは第6話…お楽しみください!
「っ…」
そんな言葉にならないうめき声をあげたのはアクトである。
「お?やっと起きたか」
そのうめき声でアクトが起きたのに気がつきクリフェンは装備の調整をしながら声をかけた。
「あ…クリフェン…ここは?」
「俺たちの部屋だよ、アクトが俺のことを部屋まで運んでくれたんじゃないのか?」
クリフェンと会話をしているうちにだんだんと寝る前のことを思い出してきた。
「あぁ…そうか…俺たちは応接室でシャドウと再開して…そのあと寝ちゃったのか…」
そこでアクトはクリフェンの言葉に疑問を覚えた。
「なぁクリフェン、今俺が部屋まで運んだって言ったか?」
「確かに言ったが…もしかして違うのか?」
「悪いが応接室で寝てから今初めて起きた」
クリフェンは驚いたように振り返りアクトの顔をみた。
「俺も応接室で寝て起きたらこの部屋にいた…てっきりアクトが運んでくれたのかと…」
「「じゃあ一体誰が…?」」
さすがは親友と言うべきか綺麗にハモりながら疑問を口にした。
「はっ…!シャドウは!?」
「あとセレスもな」
相変わらずと言うべきかアクトは「セレスのことなど知らんそれよりシャドウだ」と言わんばかりである。一応補足としてセレスのことも伝えたがどうせ聞こえていないだろうなとクリフェンは感じていた。
「おっと、部屋を出る前にクリフェン!1ついいか?」
「ん?どうした?」
アクトがいきなり部屋を飛び出さなかったことに軽く驚きながら何事かと聞き返してみた。
「クリフェン、お前…シャドウの部屋は分かるか?」
今回は無策で飛び出さなかっただろう?と言いたげなドヤ顔に一発ビンタを入れながら答えた。
「知らなかったのか?2つ隣の450だぞ?」
「2つ隣?じゃあ1つ隣の449には誰がいるんだ?」
「449か…何でかは知らないけど最初の頃から誰もいないらしいぞ」
「最初の頃から…誰も……っ!」
唐突に激しい頭痛を感じ、あまりの痛さにそのまま倒れてしまった。その痛みはまるで鍵のかかった何かを無理矢理こじ開けるような…そんな痛みだった。
「アクト!ア…ト…!…ト…」
アクトはだんだんとクリフェンの声が遠くなるのを感じながら意識を失った…
「ん…はっ!ここは!?」
「ここはあなたの深層意識の中です」
アクトの疑問に答えたのはどこか一点から聞こえてくるような、でも全方位から聞こえてくるような…そんな不思議な女性の声だった。
「誰だお前は!どこにいる!」
「お前とはとんだご挨拶ですね…でも自己紹介がまだだったのも事実ですし許しましょう。私の名前はソフィア、ギリアスの核となる神の血の自律稼働用人格です。」
「ギリアスの核…?神の血…?一体何を言っているんだ?」
「今は時間がありません。あなたに魔法「念話」を授けましょう。この魔法を使えば今のあなたの魔力量では1日の時間制限はありますがいつでも話せるようになります。」
「ま、魔法…?魔力量?さっきから何を言っているんだ?」
「ユカルド・ユーステリアにでも聞きなさい。彼なら私の名前を言えば教えてくれるでしょう」
「ユカルド・ユーステリア?」
「ちょっと記憶を探りますね」
ソフィアはそう言うとアクトは頭の中を直接見られるような変な感じがした。
「なるほど…今はユーフェイと名乗り体も変えているのですか…しかも学園を立ち上げてまで何をしようとしているのやら…」
ソフィアは呆れたように言った。
「学園長が何か知っているというのか!?それに体を変えているって…」
「そろそろ時間切れのようですね。いつまでも寝ていないでそろそろ起きなさい。あなたの仲間たちが心配していますよ」
その声はだんだんと遠くなっていき……
「はっ!」
アクトは勢いよく起き上がった。
「アクト!」
「アクト様!」
「アクト君!」
名前を呼ばれて周りを見てみたら涙ぐみながらも嬉しそうに笑っている3人がいた。
「クリフェン…セレス…シャドウ…悪い心配かけたみたいだな」
「ったく本当に心配したんだぞ?まぁ一番心配していたのはセレスっぽいけどな」
「な…!クリフェン!それは言わないって約束したわよね!?」
「ちょっ…!待て待て待て!確かに口を滑らせた俺が悪かったとは思うけどそのタクト(セレスの装備)を振り回すのはやめてくれ!」
バステルには対してダメージはないが対人となると話は違う。
セレスに告白をし、タクトによる刺突ダメージの餌食になった男は数知れず…完全に忘れていたがセレスはかなりの美少女であったのだ…
「クリフェン!覚悟ー!」
そして数多くの男を屠ってきた渾身の一撃…まあ今までとは使う理由が違いセレス自身は羞恥で顔を真っ赤にしながら突き出した。
「っ…!」
ある意味死を覚悟したクリフェンに…しかしタクトが猛威を振るうことはなかった。
「「え?」」
「あのさぁ…そろそろ静かにしてくれるかな?アクト君は起きたばっかりなんだから…」
呆れた表情でセレス渾身の一撃をつまむようにして止めているのは…シャドウだった。
「ごめんねアクト君?今彼らを静かにさせるから」
そう言いながらだんだんと溶けるように認識から消えていった
「あら?どうして私のタクトは止められてるんだっけ?」
「あれ?どうして俺は助かったんだ?」
まるでシャドウが止めたという事実そのものが消えたかのように2人の頭には疑問符がたくさん浮かんでいた。
「クリフェン?セレス?どうしてって…シャドウが止めたからじゃないか」
「「………あ!」」
2人は思い出し、シャドウのことを探すために周りを見ようとしたとき2人の背後から耳元に声が響いた。
「今度アクト君の前で仲間同士の争いで血が見えそうなことがあったら…分かってるよね?」
2人はいきなり背後に現れたシャドウに驚きつつ静かに頷くしかできなかった。
「シャドウ…どうしたんだ?」
「ん?どうしたって何がだい?アクト君」
「俺が眠っている間に随分と変わったみたいだけど…」
「そんなことないよ!ただアクト君が倒れたって聞いてエザール戦のことも相まって
強くなろうって自分の中で誓いを立てただけだよ」
そう言いながら笑うシャドウをみてちょっと違和感を感じなくもなかったが気のせいだろうと思うことにした。
その後倒れたのは疲労からだろうということでもう少し寝ることになりクリフェンたちは「俺たちがいても邪魔になるだけだろ?」といって出ていってから10分くらい休み学園長を探すために立ち上がった…ソフィアの言っていたことについて聞くために……
そのころ学園長はというと…こっそり鍛錬をしながら今の状況について考えていた。
「《メガトンヘイト》のガントレットパーツに続き《ギリアス》まで見つかるとは…!」
「彼と話してみた限りだとまだソフィアのことは知らなさそうだったが彼女と会うのももはや時間の問題か…」
「もし彼女に出会ったのなら色々疑問を抱えながら私に質問してくるだろうな…」
「ソフィアはいつもそういう面倒事は私に押し付けて来てたし…」
「「「「はぁ…面倒だなぁ…」」」」
“4人の”学園長は言葉を引き継ぎながら「独り言」を言っていた…
これはユーフェイのスキル「分裂」である。
これが意味すること…それはユーフェイが複数のスキルを使うことができるということだ。
そんな「独り言」を言っている間にもユーフェイの数は増えていき100人前後まで増えてやっと増えるのが止まった
「やはり使い慣れていないこの体では100人前後が限界か…」
「しかし30年ちょいくらいしか使っていないにも関わらず100人前後は褒められたことなのだろうか?」
「それにこの体はどのくらい持つのだろうか…?」
「最短記録更新は免れたがいつ壊れるか…」
「このまま最長記録更新してくれればよいのだが…」
「さすがに人間の体で150年は持たないか!」
100人前後いるユーフェイが一斉に笑い声をあげる光景はもはや恐怖以外の何物でもないが…
ちなみに今いる場所は空間と空間の狭間にあるためどれだけ騒ごうがその空間内に他に人がいない限り誰にも聞こえることはないのだ…
これもユーフェイのスキル「生成」で新しい空間を生成したのだ。クルージオ先生のスキル「生成」の応用である。
だがスキルの複数所持は普通ありえないので自分は「能力探知」しか持っていないと思わせるためにアクトの訓練場を作るときはクルージオ先生に指示したのだ。
「まだまだ整えたい準備はあるが…」
「なんにせよ…」
「「「「全ての元凶よ!復活したときが貴様の最後だ!」」」」
「「「「封印なんて生温いことはもうしない!今度こそ確実に消し去ってやる!」」」」
全員壮絶な笑みを浮かべながらそう言い放ったのだった…