第1話 伝説級装備
プロローグと同時投稿させていただきました!
そうしないと…メインヒロインが出てきていないことになっちゃうんです…!
それでは改めて第1話…お楽しみください!
そして次の日になりHR中
「諸連絡をする前に…もう知っている生徒はいると思うが今日は転入生が来ている」
周りがざわざわし始めた。
エリウィン先生の言う通り転入生が来るという噂はあり、今朝からその噂で持ちきりだったのである。
その転入生はかなりの美少女という噂なので男女問わず仲良くなろうとドキドキワクワクしていたのである。まあその中に下心がある生徒がいないと言い切れないのが少々悲しいところではあるが…
「おーいちょっとうるさいぞー…よし静かになったな、入ってこい」
微妙にうるさくなった教室を静かにさせた後に転入生に入るように声をかけた
「はい」
返事した声を聞いたクラスは一様に黙ってしまった。
その声はあまりに可憐で思わず守ってあげたくなるようなそんな声だったのだ。
「では自己紹介を」
「はい、セレスニット・ユーニカヘッドです。気軽にセレスと呼んでください。」
おぉぉ!とクラス中がどよめいたのはもはや必然であろう。
なぜなら噂通り…いや、噂以上の美少女だったのだから。
それにユーニカヘッド家と言ったら世界で5本の指に入る名貴族なのだ。しかし跡継ぎがおらず現領主で終わるだろうと言われていたので隠し子がいたとなれば逆にその程度で収まったには奇跡と言えよう。
「ほら静かに!静かにしなさい!」
エリウィン先生の声は当然ながら生徒たちには聞こえていない。
「お前ら…いい加減にしろよ?」
エリウィン先生の小さくもよく響く声が聞こえ生徒たちは黙った。大量の冷や汗とともに…
「よし静かになったな(ニコニコ)」
この状況で平然としている人はさすがにいないだろと思いながらアクトは周りをチラチラと見ていたら…いた。それは転入生であり一番平然としていないだろうと思っていたセレスニットさんだ。
彼女はただ平然と大量の冷や汗を流しているクラスメイトの顔を一人一人…まるで誰かを探すように見ていたのである。
そこでアクトは思い出した…その転入生は自分のことを知っていると…!
そしてアクトと目が合った瞬間
「アクト様!!」
花が咲いたような笑顔を浮かべながらこちらに向かって走ってきたのである!
ブチギレ寸前のエリウィン先生やガクブルしていた生徒たちは何が起きているのか理解が追いついておらず、しかしそんなことはお構いなくアクトに向かって走って行きそのまま抱きついたのである!
そこでやっと理解の追いついた生徒たちから嫉妬の目線を(主に男子から)受け、クラスの中で一番動揺していたアクトが恥ずかしさと嫉妬の目線の怖さにさらに混乱したのはいうまでもない…
「俺と君って……」
「君ではなくセレスと呼んでくださいな」
君と言われたのが不満だったのか口を尖らせながらそういうセレスのおかげで嫉妬の目線がさらに怖くなりアクトは縮まり小声になりながらセレスに質問した。
「僕とセ、セレスってどこかで会ったことあったっけ?」
その質問を聞いてクラス中が
(あまりに動揺しすぎて一人称が変わった!?)
と逆に動揺してしまった。もちろん先生も動揺している。
「え……アクト様覚えていないのですか?」
「……ごめん、覚えてないや。それに敬語じゃなくてもいいんだけど…」
「そう…まあ仕方ないわ、なんせ最後に会ったのは12年くらい前…私が6歳の頃だもの」
(12年前で6歳…ってことは今は18!?同い年だったんだ!ってことはまさか…!)
セレスの方が年下だと思っていて先程とは別の意味で動揺しているアクトと少ししょんぼりしているセレスの元に1つの影が近付いてきて…
「君らさぁ…この空気どうしてくれるの?」
(………いや、誰だよ!!)
クラス中が思わず心の中でツッコんだ。何人か口に出してしまったようだが…
「お前…いたのか…」
その中には彼が誰か気が付いた人がいたが今の今までいることすら気が付かなかった
ような…そもそも存在自体を忘れられていたような…そんな反応だった
「やっと気付いてくれたよ…」
(………やっと?ってもしかして…)
彼の独り言にクラス中が疑問に思い察しの良い一部の人はひどく嫌なの予感がした。
「8回目でやっと気付いてくれるなんて…このパッシブスキルの何が特別なんだよ…みんなと普通に会話したいでけなのに会話の途中で存在忘れられるし…授業の出席確認のときも毎回呼ばれないし……なんだかんだ言って中学校の卒業式で名前呼ばれなかったときなんか……目から汗が出てきてびっくりしたものだよ……」
彼の愚痴のような長い独り言を聞きクラス全体が…特にエリウィン先生が申し訳ない気持ちになった(なお先生も含め未だに彼の名前を思い出していない模様)
それに最初に影が近付いてきたとあるが実際は元から近くにいて声をかけているうちに存在感が出てきて近付いてきたように感じただけである。
「それじゃあ改めて自己紹介をするよ…」
周りの空気を察して自己紹介しようとする彼に申し訳ない気持ちになりつつ感謝しながら彼の存在を忘れないように注意して話を聞くクラス一同。
「僕は人類の中で初めて装備無しに…しかも常時発動スキル、【パッシブスキル】を使える特異体で名前はシャドウ。覚えてくれたらものすごく嬉しい」
最後のものすごく嬉しいといった部分が本当に嬉しそうに笑顔が輝いていて数名、なぜか愛おしそうに見ていた…彼女らがシャドウファンクラブを立ち上げたのはそう遠くない未来である…
そのころ学園の地下に隠された対バステル施設
「BHF」の総本部では激しい討論が行われていた。
総本部が学園の地下に隠されているなんてことは生徒はおろか教師でも一部しか教えられていない最重要機密事項である。
「伝説級装備の一部であるガントレットが見つかったのになぜ回収に行かないんだ!?」
伝説級装備とはバステル発生当時に迎撃、殲滅に主眼をおいたものであり装着者の扱いやすさや負担は度外視していたため扱える人がほとんどいなかったのだ
その点学園から支給されている対バステル装備はその伝説級装備の劣化版であり性能は全般的に落ちるものの扱いやすくするために作りだしたものだ。
そして全身鎧型装備はヘルメット、チェストプレート、レギンス、ガントレット、サバトンと分かれており、そのうちのガントレットが見つかったのだ。
「誰も扱えない代物をわざわざリスクを犯してまで回収するメリットが見当たらない!」
「そう言って放置したらバステルどもに取られないように搭載されている《瞬間移動システム》の意味がないではないか!!」
伝説級装備にはバステルに奪われないように装着者が死ぬか緊急コマンドを入力することでランバムでテレポートするように《瞬間移動システム》というのが搭載されている。
対バステル施設が独自に開発した新しい元素の割合が一定以上の場所に限りそのシステムは作動しないようになっている。
「くっ…確かにそうだが…しかし…!」
「伝説級装備がバステルの手に渡ってみろ。そのほうが被害が大きくなると思うが?」
その討論に結論が出たと判断した「BHF」所長兼学園長のユーフェイは今後の方針とともに結論を言い放った。
「君たち聞きたまえ!全身鎧型装備のガントレットの回収を最優先目標に設定。バステルに取られる前になんとしても回収せよ!それにどうやら奴ら…ギルド《コフィン》の連中も動き出しているとの情報もある…奴らは見つけ次第殺せ!行動開始!」
その声を聞き施設全体が慌しく動き出した。
全身鎧型装備は防御に特化した伝説級装備であり、全てのパーツを装備したときに真価を発揮するのだがパーツ一つ一つの負担はほかの伝説級装備に及ばずともさすがは伝説級装備と言うべきかかなりの負担がある。それに真価を発揮させるために全て装備すると特殊効果が発動しさらに負担が跳ね上がる。
そのために《メガトンヘイト》においては一人につき1パーツが暗黙の了解となっている。
かつて《メガトンヘイト》を全部装備できた者が一人だけいたが《瞬間移動システム》が発動したということは…そのようなことを考えてしまわないように「BHF」の「職員」たちはガントレットの回収に全集中力を費やしていた…