第1話
まず・・・3日前。
正確には正暦2031年10月18日土曜日だったが、日本に居たはずの私は異世界に飛ばされた・・・というか、召喚された。
この言葉だけを聞くと「何言ってんのお前、黄色い救急車(実際には無い)に乗って一生出てこられない病院に入院しろ?」となる。
・・・が、実際に異世界に私が居るのだから“現実は小説より奇なり”を地でいってる。
何故って・・・太陽が3つもあって周回軌道の関係上からか夜らしい夜(暗闇)がないのが分かりやすい異世界ぶりだろう・・・。
元々居た世界から腕時計(ソーラー発電なので止まる心配なし)を装備したまま持ってきてるので5日経った事はわかっている。
でもまぁ薄暗くなってる時間とか、自分の世界と変わらない様だったのには少し救われた。
その上、普通に化け物が存在して襲われるしすれ違うほとんどの人は何かしら武器を持っている。
日本ならすれ違ったほとんどの人が確実に銃刀法違反で検挙な状態だった。
しかもどうやら魔法まであるみたい・・・。
その日、私は数ヶ月前に就職?(強制だった)した師匠でもある祖父の経営する道場で夕方5時からの小学生を対象とした若年部の指導を終えて休憩してた。
道場は幼児からお年寄りまで、体力作りからファイターまで、をモットーとした簡単に言えば全ての武術をいいとこ取りした祖父が開祖の道場だった。
私はその道場で3番目の免許皆伝状を受け取り、そのまま導師として就職・・・させられたわけだ。
因みに1番の免許皆伝状を祖父自身が持ってる、・・・その辺りウケ狙いなのかよく分かってはいないがウケ狙いだったらあらゆる意味で面倒なので聞いてはいない。
そして数日前から誰かに見られている様な、観られている様な、視られている様な・・・そんな感覚を意識のある時間ずっと覚えていた私は初めてその感覚が発生している場所を突き止め、視線を合わせたところから始まる。
「・・・ぇ?何コノ丸いの??」
今私が居る部屋は導師と祖父がつけた役職・・・まぁ世間一般でいう師範っていうか先生・教師専用の休憩室兼ロッカールーム+事務室も兼ねられてる部屋で、視線を向けた場所にその様な物はなかったはずのモノがそこにはあった。
水晶の様で向うが透ける程透明だけど、不思議と色を感じ尚且つ生き物の様にその色が蠢いている・・・そんな不思議な直径50cm程の球体がずっとそこに在ったかの様に鎮座していた。
「こんなの無かったよなココに・・・」
指導する前にココに来てタバコを一服し着替えた時にはこんな物ココには無かった記憶がある。
というか10畳程の部屋にロッカーから事務机3セット、仕切りで区切られた応接セットまで入ってるこの部屋にそんな大きな球があったら邪魔でしょうがないはずだ。
「まぁ〜師匠か誰かが私の指導中に・・・って思いたいけどなぁ・・・」
ここ数日のあの感覚がこの球から発せられている以上それはないなとありえない現象を前に冷静を装って球を観察する。
「・・・いつまで見てんの、さっさと来る」
「喋ったし!・・・ってうわっ!?」
次の瞬間、気付いたら上も下も無い周りも真っ暗な空間に居て・・・。
でもその球体は先程の距離にしっかり見えてるからなんだかなぁと、外面だけはせめて冷静に・・・内心はもう脳ミソがペースト状になってそうなぐらいグチャグチャな状態で呆けていた。
「・・・はい、到着っと。ココは世界と世界を繋ぐ刻の狭間で、君の所の言語で言えば亜空間みたいな所。僕は、ん〜世間一般で言う神ね。で、最近・・・って言っても500年ぐらい前からだけど、他の世界が増えてきて管理が行き届かなくなってきちゃったから〜君にとりあえず世界を1つ任せようと思って連れてきたの。まぁ人から神へ昇華って事ね。ん、心配しなくても大丈夫だよ、ちゃんと“適任者”を選んでるから。君の仕事は大きく分けて2つ。1つは世界管理、っていってもその世界の意思決定は君だからこんな風になればイイなぁって思っていれば大体は自然とそうなっていくから。でもその世界の人間とか動物の様な意思を持つ者は、君が元人間で元から神じゃないから管理外ね。元から神だとそっちもすんなり行くから僕は羨ましいんだけど。・・・っと、だから君は世界に対してはその意思・・・ぁ、僕達は“大いなる意思”って言ってるけどソレを使っていれば問題は無い。だけどたまに人間とかって僕達の意思に反してとんでもない事をしでかすじゃない?だからソレを上手くコントロールするのがもう一つの仕事でそっちは“小なる意思”って言ってる。。まぁその世界の中の君自身に関しては大いなる意思でどうとでもなるから。知りたい事があったら大いなる意思に検索かければいいし、やりたい事があったらそれに合う様に自分を創ればいいし。そういった事は世界に行ってから追々(おいおい)理解すればいいとして・・・ココまではいいかな?」
・・・私のこの状態で今の台詞を全部きちんと理解できている“人”は一体何人居るのでしょう・・・
「・・・理解できるわけあるかっ!!」
っと、普通はこうなるだろう?
「も〜面倒な人だなぁ〜。もう一度言うよ?ココは「マテッ!」・・・なに?僕だって忙しいんだからね?」
話を初めからやり直され尚且つ途中で止められたその球体はなんとなくムッとした雰囲気でもって私を見てると感じるが、だからって先程と同じ事を繰り返させる気は毛頭ないわけで。
「だからって一息に喋られても理解が追いつかないだろうがっ!っていうかその一息長過ぎだっ!初めから少しずつ、相手の理解が追いついてから次を喋った方が結果的に早く終わる事を学習しろ!」
そう言われて変な球も考えを改めたのか、承諾の意思・・・らしきものを感じられたのでそのまま待ってみる。
「ん〜わかった。じゃぁ初めから・・・今居るこの場所は「刻の狭間だろ?私が居た地球とは別の、世界と世界を繋ぐ為の世界。」・・・うん、んで僕は「神だろ?胡散臭さも神級だし。」・・・・・・う・ん、で、君を連れてきた理由は「私に神なんてやらせようとしてんだろ?適任だとか色々言ってたけど世界1つなんて私には大き過ぎて無理だと思うぞ?」・・・・・・・・・・・・一気に言っても理解してない君?・・・あ〜理解してるしてないじゃなくてそもそも信じてないと・・・。」
「ん、普通に考えて信じろって方が無理でしょ。というか聞く気なんて更々(さらさら)ないから。出口何処?帰るし。」
信じろって方が他人との線引きが親族にまで完全に及んでる現代人的には無理でしょ。
「ぁ〜そうだよねぇ〜・・・。最近そういった風潮のお陰でコノ説明部分に時間がかかっちゃってサァ〜普通にウザいんだよネェ〜僕だって管理してる世界いくつもあるわけだし忙しいんだよ・・・。」
なんて、いきなり愚痴モードに入ってる変な球。
「だからさっさと理解する!コレは妄想でも夢でも幻でもなく、げ・ん・じ・つ。」
「ぁ〜はいはい、私は神に元居た世界とは別の世界を管理するべく選ばれココ刻の狭間に放り出された人。選ばれた理由ってのが世界の管理者が増え続ける世界に対応し切れなくなってきたから。んで私はその世界に行って“大いなる意思”と“小なる意思”を使って管理していくと。・・・こんな御託はどうでも「ん、ちゃんと理解してるっぽいね。」・・・あのなぁ」
コノ理解してもらえたみたいで結構結構的な雰囲気の変な球どうにかしてくれませんかコノ世界の神様とやら。
「じゃぁとっととその世界に送るから。後よろしくね〜」
「ぉぃマテッ!!話は・・・って聞けぇぇぇっ!!!!」
っていってる傍から私の身体が透け始め、外面も取り繕えなくなって慌てる慌てる大いに慌てる。
「もう無理ぃ〜♪いってらっしゃーい。ぁ、忘れてた。他の神と話したい時は世界の外に出るって念じればココに来るから多分誰か居るでしょ。んじゃぁねぇ〜頑張ってー」
この、恨まれて然るべき状態でお別れの言葉を聞いた直後に私の姿はコノ場所から消え、意識を失った・・・ように思う。
・・・コレが、あの糞馬鹿の名前まで教えてもくれなかった一日目・・・マジ最悪、人生最大の悪日決定。
漸く、2話目が・・・連載の次話投稿の仕方が分からずに色々試して早数時間とか
・・・多分絶対誰かやってる事をやってましたハイ。
時間でなおすと数時間だけど日付になおすと3日とかフト気付けばマニュアルあるじゃんorz・・・とか・・・ハァorz